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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

10年続くブランドになる

実店舗から始めたのは正解だった 無名だからこそリアルな接点を重視した「Minimal」の挑戦

 初めまして。「Minimal - Bean to Bar Chocolate -(ミニマル)」の代表 、山下と申します。業界未経験の素人から、チョコレートの企画・製造・販売を手がけるブランドを立ち上げ、2024年12月で10年が経過します。ベンチャー企業の生存確率が、最初の10年間で10%を下回るともいわれる中、比較的初期投資や製造コストがかかる製造業で起業したこの10年は、決して楽な道のりではありませんでした。本連載では、ブランド成長におけるこれまでの課題や変化から、10年続くブランド運営のポイントを全6回にわたって考察。第1回は、前編・後編に分けてこれまでの歩みを振り返ります。

前編はこちら

課題2:ブランディング戦略の立案

 前編で説明したように、Minimalの製法はBean to Barという新しいスタイルです。ブランド立ち上げ当初から、ものづくりの質を追求してきました。その次に注力した点が、“ブランディング”です。

 私は、ブランドを考える観点として、「誰に:ターゲット」「何を:コンセプト」「どのように:手法方法」というシンプルなフレームを使っています。

誰に:ターゲット

 実は、詳細なペルソナの設定はしていません。ペルソナの設定自体は大事だと思いますが、私が具体的にしたのは、20~40代の男女をメインターゲットと設定したくらいです。

 特徴的な点でいうと、通常チョコレートブランドは女性のお客様が9割といわれていますが、Minimalは最初から明確に男性もターゲットとしていたことです。実際の購買比率でも、4割弱が男性のお客様です。コンセプトとの相性や、チョコレートブランドとしての市場性も考慮しています。

 そこからは、自分達とその周りにいる友人をイメージし、「彼ら彼女らが欲しいと思えるブランドか」をコンセプトと行き来しながら、ターゲットを固めていきました。

何を:コンセプト

 コンセプトは「クラフトなものづくりで嗜好品としてのチョコレート体験を提供する」と設定しました。

 「クラフトなものづくり」とは、「クラフトビールやスペシャルティコーヒーさながらに、クラフトマンシップ溢れる世界観と手仕事で、従来のチョコレートの常識になかった新しいフレーバーを含め、世の中への新しい価値とクオリティの提供を重視する」ということです。

 「嗜好品としてのチョコレート体験」は、「チョコレートの素材であるカカオ豆のクオリティにこだわり、その味わいや香りを最大限に表現して、素材そのものの良さや、その周辺の情報・体験まで楽しめる設計にして提供する」ということです。

どのように:手法方法

 Bean to Bar製法がメインですが、これを内包したより広義な手法としてD2Cを選びました(10年前にはまだD2Cという言葉は普及していなかったですが)。10年前の考え方でいえば製造小売ですが、その前後にある研究開発とブランド開発まで含めた、一気通貫したブランド運営モデルを採用しました。

 川上~川下までのビジネスプロセスを管理するのはコストが高く、ベンチャー企業としては資金面のリスクも含めて難易度が高いことでした。しかし、長く続けていくのに、研究開発機能と直接的な顧客接点の2つは外せないと考えたのです。

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この記事の著者

Minimal - Bean to Bar Chocolate - 代表 山下貴嗣(ヤマシタ タカツグ)

カカオ豆の選定からチョコレート製造まで一貫して手掛けるクラフトチョコレートブランド「Minimal -Bean to Bar Chocolate-(ミニマル)」を設立。東京都渋谷区富ヶ谷への初出店を機に都内に4業態4店舗を出店。赤道直下のカカオ農園に自ら足を運び、100%フェアトレードでの買付と、毎...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://eczine.jp/article/detail/14402 2024/04/02 07:00

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