膨大な潜在顧客と出会えるのがTikTok Shopの魅力
━━元々ライブコマースに注力されていた貴社が、TikTok Shopの活用に至った背景を教えてください。
佐々木 私たちは2017年からライブコマースに取り組んでおり、2023年頃からはTikTok上でLIVE配信を行いながら、購入は外部のECサイトへ遷移していただく形で運用していました。しかし、外部サイトへの遷移は決済までに複数のステップが存在するため、どうしても途中での離脱が課題となっていました。
佐々木 その中でTikTok Shopが登場しました。これにより、LIVE配信の視聴から決済完了までがTikTokアプリ内でワンストップで完結できるようになったのです。この「シームレスな購買体験」は、離脱を防ぎ、コンバージョン率(CVR)を高める上で非常に相性が良いと考え、いち早く活用を決めました。
また、TikTokには圧倒的なユーザー数がいます。彼らは単にモノを探しに来ているだけでなく、余暇を楽しみに来ているユーザーです。TikTok Shopが提供する「ディスカバリーEコマース」を実現しており、他のプラットフォームよりも潜在的な顧客に出会いやすい点も大きな魅力でした。
中井 TikTokのレコメンドシステムはとても優秀です。ユーザーの趣味嗜好の「先」を見に行くような仕組みになっているため、ユーザー自身も気づいていない潜在的なニーズにヒットする商品を提案できます。
他のプラットフォームではフォロワー数が露出に直結しやすいですが、TikTokではフォロワーが少なくても、コンテンツとユーザーの相性が良ければユーザーに見てもらえます。つまり、フォロワー数に依存せず、コンテンツの中身で勝負できるのが大きな特徴です。
月90本のショッピングLIVE配信の裏側
━━月間2億円以上(2025年8月~10月)を売り上げているとのことですが、どのような運用体制で配信を行っているのでしょうか。また、TikTok Shopならではの特徴についても教えてください。
佐々木 私たちの制作体制は、全体の責任者であるプロデューサーの下に、10名ほどのディレクターがいます。1回の配信は約3時間で、これを月に約90本実施しています。ディレクターたちが企画を練り、アシスタントディレクターと共に配信を作り上げています。
制作部隊以外にも商品の仕入れを行うバイヤー、物流、カスタマーサポート、ささげ(撮影、採寸、原稿作成)、SNS運用チームなど、総勢40名ほどのメンバーが関わっています。LIVEクリエイターも9名在籍しており、それぞれの身長や得意なジャンル(コスメ、アパレルなど)、ターゲットとする時間帯に合わせて最適な企画にアサインしています。
売上につながるショッピングLIVE配信の秘訣とは
━━ショッピングLIVE配信で売上を高めるために、現場ではどのような工夫をされていますか。視聴者を惹きつけるポイントがあれば教えてください。
佐々木 私たちが一番大切にしている指標は「滞在維持率」です。いかに視聴者に長く配信に留まってもらうか。そのためには、商品のセールストークのテンポや尺よりも、「LIVEクリエイターのおもしろさ・エンターテインメント性」にフォーカスしています。
たとえば、視聴者さんの名前を呼んでみたり、コメントをくれる方の職業や家庭環境などをメモして覚えていたりします。「〇〇さん、昨日の運動会はどうでしたか?」といったように、前回の会話を踏まえたコミュニケーションを行うことで、強い信頼関係を築いています。
また、正直さも重要です。「こういう体型の方には似合わないので、買わないでください」とはっきり伝えることもあります。こうした信頼の積み重ねが、約8割という高いリピート率に繋がっています。
現在は毎月1,000名以上の新規購入者が増え続けていますが、これも「ぞうねこちゃんねるはおもしろい、信頼できる」というブランド自体へのファン化が進んでいる結果だと考えています。特定のクリエイターだけでなく、「箱推し」してくれるファンが多いのも強みですね。
効果を倍増させる、TikTok広告の秘訣
━━今回は広告も活用されたとのことですが、具体的にどのような目的で、どのような広告メニューを使われたのでしょうか。
吹原 広告活用には大きく2つの軸がありました。1つ目は、「ショッピングLIVE配信中のリアルタイム視聴促進」です。ライブコマースは「その場での出会い」と「熱量」が重要ですが、オーガニックの流入だけでは限界があります。そこで、配信中に広告を出し、今まさに盛り上がっているショッピングLIVE配信へユーザーを誘導しました。
吹原 2つ目は、「事前の告知とフォロワー獲得」です。ブラックフライデーのような大型企画の前には、事前に期待感を高めるための告知広告や、アカウント自体に興味を持ってもらうためのフォロワー獲得広告(コミュニティインタラクション)を実施しました。これにより、ショッピングLIVE配信の時間帯にはリーチできない層にもアプローチできました。
吉岡 TikTok Shopには「GMV Max」という、売上(ROI)を最大化するように最適化された広告ソリューションがあります。これには商品販売に特化したものと、ショッピングLIVE配信の視聴に特化したものがあり、今回は両方を活用いただいています。
吉岡 自社のショッピングLIVE配信だけでは、どうしてもリーチできるユーザー数に限りがあります。広告を使うことで、まだ見ぬユーザーに商品を届け、「HERO SKU(ショップのGMV急進のドライバーとなるSKU)」を生み出すきっかけを作ることができます。売れているアカウントこそ、さらなる成長のために広告を活用すべきです。
吹原 クリエイティブに関しては、過去のショッピングLIVE配信の盛り上がったシーンを切り抜いて広告素材として使用しました。「韓国で話題のコスメが買える」「この悩みを持つ人必見」といったフックを作り、ショッピングLIVE配信の臨場感をそのまま広告で伝えることで、クリック率を高める工夫をしました。
取り組みによって得られた成果
━━TikTok Shopと広告の活用を通じて、実際にどのような成果が得られましたか。定量的な実績も含めて教えてください。
佐々木 おかげさまで、月間のGMV(流通取引総額)は2億円(2025年8月~10月)を超えています。これは間違いなくTikTok Shopを活用したおかげです。TikTok内で購入が完結するため、新規ユーザーの購入ハードルが下がり、結果としてリピート率も向上し続けています。
また、数字以外の成果として、「ぞうねこちゃんねる」の知名度が飛躍的に向上しました。これまで8年間ライブコマースやってきましたが、今では「TikTok ShopといえばCellest」と言われるようになり、大手企業からの問い合わせやメディア取材も急増しています。
吹原 広告の成果としても、非常に高いパフォーマンスが出ています。2ヵ月間(2025年8月~10月)で延べ約2,000万回以上のインプレッションを獲得し、膨大な潜在層にリーチできました。特にTikTok Shop上での広告のROI(投資対効果)は67倍という驚異的な数値を記録しています。
当初は売上規模に対して広告費の比率が低かったのですが、広告を適切に投下することで、さらに売上が伸びるという好循環が生まれました。「コミュニティインタラクション」という機能を使ってショッピングLIVE視聴画面へ誘導した施策も、クリック単価を抑えつつ高い効果を生み出しました。
取り組みの学びと今後の展望
━━今回の取り組みから得た学びを教えてください。
佐々木 TikTok Shopでは毎月のように大きなイベントやランキングバトルが開催されています。個人で戦うのが難しくなる中、私たちは「チーム力」で勝負しています。90時間連続ショッピングLIVE配信のようなタフな企画も、組織だからこそ実現できました。「何を売るか」以上に「どう売るか、誰が売るか」が問われる時代になっています。
中井 TikTok Shopとしても、月末のイベントや「トクトクセールLIVEチャレンジ」などのキャンペーンを通じて、さまざまな運営強化のサポートを実施しています。こうしたプラットフォーム側の支援策をうまく活用いただくことも、成功の鍵になります。
━━最後に今後の展望を教えてください。
佐々木 私はずっと「ライブコマースのインフラ化」を掲げています。ライブコマースは単なるECではなく、人生を楽しくするエンターテインメントです。TikTokという巨大なプラットフォームの力を借りて、もっと多くの人にこの新しい購買体験を届け、当たり前の文化にしていきたいと考えています。
吹原 ライブコマースはまだ新興市場であり、マーケティングの正解がない領域です。だからこそ、Cellest様のようにスピーディーに意思決定し、トライアンドエラーを繰り返す姿勢が重要だと学びました。今後もTikTok Shopの進化する機能を最大限活用しながら新しいチャレンジを続け、市場全体の発展に貢献していきたいです。
【ライブコマース導入や運用の効率化を考えている方におすすめ!】
Cellestでは、2017年の業界参入以来蓄積してきたノウハウを生かし、ライブコマースの導入支援や関連情報の発信に力を入れています。代表佐々木へのライブコマースに関するご相談や、業界情報に興味がある方は、Cellestの問い合わせフォームからお問い合わせください。
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