ポイント交換開始記念で展開された25%増量キャンペーン
2021年3月16日、LINEポイントがPayPayボーナスに変更可能となったことが発表され、それを記念して同日から「超PayPay祭 ポイント交換開始記念 だれでも最大25%増量キャンペーン」が開始された。
LINEポイントは、LINEユーザーがLINE Payを使うことをはじめとして、LINEというプラットフォームで提供される各種サービスの利用やショッピング、広告視聴などによって獲得できるポイントのことだ。Visa LINE Payクレジットカードの利用では、利用額の2%が還元される。
ユーザーが貯めたポイントは従来、LINE Payによる決済時に使われたり、LINEの人気アイテムとなっているスタンプの交換に使われたりすることが多かった。今回のポイント交換開始により、新たな選択肢がLINEユーザーに対して提示されたことになる。なお、LINEポイントをPayPayボーナスに交換することは可能だが、その逆は対応していない。
行われたキャンペーンの概要は次のとおりだ。
超PayPay祭 ポイント交換開始記念 だれでも最大25%増量キャンペーン
- 開始日:2021年3月16日から3月31日まで
- 最低交換ポイント:25ポイント以上
- 交換単位:25P(ポイント)、100P、1,000P、5,000Pの4種類
- 手数料:無料
- 交換比率:「LINEポイント」1ポイントにつき、「PayPayボーナス」1円相当
- 付与上限:500円相当/回および期間
- 付与予定日:2021年4月下旬以降(実際の付与日は4月19日)
入れ替わったスマホ決済の首位
LINE PayとPayPayが同じZホールディングス内という強みを活かしてこのキャンペーンを展開したのは、スマホ決済の上位入りを狙ってのこと。キャンペーンの期間が2021年3月ということで、2020年および2021年のスマホ決済ランキングにどのような変化があったのか見てみよう。
参照するのはオリコン顧客満足度調査だ。2020年9月1日に発表された調査によると、スマホ決済サービスランキングトップ10の1位はメルペイ、2位は楽天ペイ、3位は楽天Edy、4位d払い、5位モバイルWAON、その後はPayPay、ファミペイ、LINE Pay、nanacoモバイル、モバイルSuicaと続いている。
LINE Payは8位、PayPayは6位というポジションだ。この時点ではメルペイや楽天ペイに大きく水をあけられている。
では次に、2021年5月の同調査結果を見てみよう。1位はPayPay、2位は楽天ペイ、3位はモバイルSuica、4位d払い、5位楽天Edy、その後はファミペイ、nanacoモバイル、auPay、メルペイ、LINE Payと続いている。
LINE Payは10位、PayPayは1位という結果だ。LINE Payは順位を2つ落としたものの、PayPayや6位から1位へジャンプアップした。
そのほかに目立つ変化といえば、メルペイが大きく順位を下げたことや(1→9位)、モバイルSuicaが3位内に入ったこと(10→3位)、モバイルWAONがランクから外れ(5位→ランク外)、その代わりにauPayがランクインしたこと(11→8位)だろう。
PayPayがZホールディングス(ソフトバンクグループ)傘下で設立されたのは、2018年6月だ。スマホ決済サービスの後発として、大掛かりなキャンペーンを次々と展開してきたことはテレビCMなどでお馴染みだろう。3月の超PayPay祭りも奏功し、PayPayは見事1位に躍り出た。
LINE Payはランキングこそ上がらなかったが、満足度は微増している。69.78点から70.5点へと0.72ポイント上昇した。しかし、2020年トップ10の平均70.1点に対し、2021年トップ10の平均は72.3点と平均が2.2点上昇しているため、点数からするとLINE Payのサービスは満足につながっていないと推測される。
2020年の1位メルカリの強さは、同社が2019年に四半期の売上を100億円台に乗せ、翌年には各四半期の売上を約150億円まで伸ばすという成長を遂げたことが一因だ。メルペイは、その勢いを逃さず、メルカリユーザーの支払いに定額払いというシステムを導入し、そのことが満足度に影響を与えているといえるだろう。
2020年2位および3位の楽天ペイと楽天Edyは、楽天市場での買い物に紐づいているのはもちろんのこと、2020年5月にはアプリにSuica機能を搭載したことも影響していると考えられる。楽天ポイントからSuicaへのチャージを可能にし、Suicaチャージで楽天ポイントが貯まるという双方向性を実装した。2021年、楽天Edyは順位をふたつ下げたが、モバイルSuicaは急上昇を果たした。
2021年のランキングを見てわかるように、LINE PayとPayPayの連携で、結果的にはLINE Payの力不足が浮き彫りになってしまった格好だ。その一方で、PayPayは、冒頭の超PayPay祭りが盛り上がりを見せ、決算回数、加盟店数、登録者数ともに前年比約1.5倍と、Zホールディングスのeコマース事業に大きく貢献した。
激化する競争で生き残りをかけるスマホ決済サービス
ご紹介したとおり、スマホ決済サービスの勢力図は、この1年で大きく変わった。2020年および2021年のオリコン顧客満足度調査を比較してみると、次の表のようになる。
総合順位 | 2020年 | 2021年 | 順位変動 (昨年) |
||
---|---|---|---|---|---|
サービス名 | 総合得点 | サービス名 | 総合得点 | ||
1 | メルペイ | 70.42 | PayPay | 73.9 | ↑(6) |
2 | 楽天ペイ | 70.33 | 楽天ペイ | 73.3 | → |
3 | 楽天Edy | 70.29 | モバイルSuica | 73.2 | ↑(10) |
4 | d払い | 70.27 | d払い | 72.9 | → |
5 | モバイルWAON | 70.21 | 楽天Edy | 72.5 | ↓(3) |
6 | PayPay | 70.14 | ファミペイ | 72.3 | ↑(7) |
7 | ファミペイ | 69.99 | nanacoモバイル | 71.9 | ↑(9) |
8 | LINE Pay | 69.78 | auPay | 71.7 | ↑(11) |
9 | nanacoモバイル | 69.62 | メルペイ | 70.6 | ↓(1) |
10 | モバイルSuica | 69.49 | LINE Pay | 70.5 | ↓(8) |
11 | auPay | 69.41 |
この2年間、順位が安定していたのは、楽天ペイ、楽天Edy、モバイルSuica、d払い、ファミペイ、nanacoモバイル、auPayの7つのサービスだ。いずれも各業界大手が提供するサービスだが、LINE Payのように2022年4月までにPayPayに統合されるというケースもある。
スマホ決済サービスを選択する際の基準となるのは、加盟店数とユーザー数に加えて、その決済方法にあるといえる。スマホ決済は、QRコード・バーコード決済と非接触決済の2種類だ。非接触決済には、ランクインしている楽天Edyに加えて、おサイフケータイ(NTTドコモ)やApplePay、GooglePayなどがあり、競争相手は少なくない。
スマホ決済サービスは、激化する競争で生き残りをかけて熾烈な競争を繰り広げている。1年後のランキングがどのようになっているのか、目が離せない。