コンバージョン(Conversion)は「転換」を意味する英単語であり、ウェブ・ECマーケティングの文脈においてはウェブサイトやECサイトで設定した最終的な成果(目標達成)を指す。具体的には、ウェブサイトやECサイトを訪問した見込み客が、会員登録、資料請求、サービスの契約や商品の購入など、運営者が意図する特定の行動を起こし、顧客あるいはサービス利用者へと「転換」することを意味する。
コンバージョンの定義は、ウェブサイト・ECサイトのゴール(目的)をどこに設定しているかによって変化する。たとえば、ECサイトにおいては、最終的な「商品の購入完了」が最も一般的なコンバージョンとして設定されるケースが多いが、扱う商材やサービス形態によっては会員登録、無料サンプルの請求、メルマガ登録なども重要なコンバージョンとなり得る。情報提供を主とするサイトでは資料ダウンロードや問い合わせ、メディアサイトではメルマガ登録や記事の購読完了などといったアクションがコンバージョンと定義づけられるように、設定され得る項目は多岐にわたる。
サイト運営やマーケティング施策を成功させるには、自社のビジネスモデルに合ったコンバージョンの設定やそこに向けたユーザー導線の設計、戦略策定といった事前準備が極めて重要となる。
なお、コンバージョンがサイト訪問者数や広告のクリック数に対してどの程度の割合で発生したかを示す指標が「コンバージョン率(CVR: Conversion Rate)」である。CVRが高いほど、ウェブサイトやマーケティング施策が効果的であると判断される。
ECサイトにおけるコンバージョンの定義例
eコマース(ECサイト)運営において、コンバージョンと定義づけられる主な行動は次のとおり。商材やビジネスモデルによって適切なKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)やKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)は異なるため、それらを踏まえて判断すると良いだろう。
- 商品の購入完了:最も一般的で最終的なコンバージョン。ECサイトの売上に直結する主要な目標となる
- 会員登録:顧客情報の獲得、リピート購入促進の基盤となる重要な指標といえる
- 無料サンプルの請求・カタログダウンロード:見込み客の獲得、リードナーチャリングの第一歩となる
- 問い合わせ・見積もり依頼:すぐに売上にはつながらないが、高額商品やBtoB(B2B)商材の購買プロセスにおける重要なステップとしてコンバージョンとして定義づけられるケースは多く存在する
- メルマガ登録:顧客との継続的なコミュニケーションチャネルの確保、長期的な関係構築に寄与する
- カートへの商品追加:最終購入に至る手前の重要なステップであり、「マイクロコンバージョン」として分析することで、離脱ポイントの特定や改善に役立つ
これらの行動は、ECサイト運営者がユーザーに取ってほしいと考える「価値ある行動」であり、オンラインビジネスの成長に直結する要素であるといえる。
コンバージョンを向上させることで得られるメリット
コンバージョン率(CVR)の向上は、企業・ブランドに次のようなメリットをもたらす。
- 売上・利益の最大化:既存のアクセス数からより多くの成果を生み出すため、直接的に売上と利益が増加する
- ROI(広告費用対効果)の向上:同じ広告費を投じても、コンバージョン率が高ければCPA(顧客獲得単価)が改善され、広告投資の効率が飛躍的に向上する。
- 顧客獲得コストの削減:効率的な顧客獲得が可能となり、マーケティング全体のコスト削減に寄与する
- 事業成長の加速:効率的な顧客獲得と売上増加は、EC事業全体の成長を加速させる強力な推進力となる
CVRをアップさせるためによく行われる施策例
CVRを高めるための施策は多岐にわたるが、ECサイトでは特に次のような施策がよく行われる。これらの施策は、ユーザーの利便性を高め、購買意欲を刺激することを目的として行われるものである。
- UI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス)の改善:LPO(ランディングページ最適化)やサイトデザインの最適化、直感的なナビゲーション、フォーム入力の簡素化など、ユーザーが迷わずスムーズに目的を達成できるような設計を行う。ユーザビリティを高めるうえでは、特にモバイルフレンドリーなデザインは必須である
- 商品ページの充実:高品質な商品画像や動画、詳細かつ分かりやすい商品説明、顧客レビューやQ&Aの掲載により、ユーザーの購買意欲を高め、不安を解消する
- 決済プロセスの簡素化と多様化:購入までのステップ数を減らす、入力項目を最小限にする、多様な決済方法(クレジットカード、QRコード決済、後払いなど)を提供し、ユーザーの離脱を防ぐ
- 信頼性の向上:セキュリティ証明(SSL)、企業の連絡先情報、返品・交換ポリシーの明確化、顧客の声や実績の提示などにより、ユーザーの不安を解消し、安心して購入できる環境を整える
- 限定性・緊急性の訴求:タイムセール、数量限定、在庫表示、カウントダウンタイマーなど、ユーザーの「今買うべき」という心理を刺激し、行動を促す
- サイト表示速度の改善:ページの読み込み速度が遅いとユーザーは離脱しやすいため、画像の最適化やサーバー環境の改善などで高速化を図る。これはユーザー体験とSEOの両面で重要となる
CVRの改善とともに着手したい施策例
CVR改善に取り組むには、次のような施策やツール導入を合わせて行うことが推奨される。これらは単にCVRを高めるだけでなく、ウェブサイト・ECサイト全体の健全性と集客力向上にも寄与する。
- アクセス解析ツールの活用:Google アナリティクス 4(GA4)などのツールを用いて、ユーザーがサイト内でどのように行動しているか、どこで離脱しているかなどを詳細に分析し、データに基づいた課題特定と改善策の立案を行う
- ヒートマップツールの導入:ユーザーのマウスの動きやクリック箇所、スクロール範囲などを可視化し、ユーザーがコンテンツのどこに注目しているか、どこで迷っているかを視覚的に把握する
- A/Bテストの実施:改善施策(例:ボタンの色、文言、レイアウトなど)を複数パターン用意し、実際にユーザーに表示してどちらがより高いCVRを達成するかを科学的に検証する
- 顧客フィードバックの収集:アンケート、レビュー、チャットでの問い合わせなどから、顧客の生の声や不満点を収集し、直接的な改善に生かす
- SEO/SEMとの連携:質の高いトラフィック(コンバージョンしやすい見込み客)をサイトに呼び込むために、SEOやSEM(検索エンジンマーケティング)を最適化し、集客とコンバージョン改善を両輪で進める
- 顧客体験(CX)全体の向上:ウェブサイト上だけでなく、購入前から購入後までの顧客との全ての接点において、一貫してポジティブな体験を提供することで、長期的な顧客ロイヤルティと持続的なコンバージョンにつなげる
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