エンゲージメントとは、「約束」や「契約」といった意味を持つ英単語で、ビジネスにおいては、主に企業・ブランドと顧客との間の親密度や信頼関係、結びつきの強さを指して用いられる。これは「顧客エンゲージメント」とも呼ばれる概念である。
一般的に、エンゲージメントが高い顧客は単に製品やサービスをリピート購入するだけでなく、ソーシャルメディアでの積極的な口コミ、フィードバックの提供、ブランドの推奨など、より能動的でポジティブな行動を取る傾向があるといわれている。
顧客エンゲージメントの重要性
顧客エンゲージメントの向上は、企業にとって認知拡大と売上向上に直結する重要な要素である。エンゲージメントの高い顧客は、新規顧客の獲得に要するコストと比較してLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)が高く、長期にわたって企業に価値をもたらし続ける傾向がある。ブランドの「ファン」として、自然な形で成長を後押しする彼らは、企業・ブランドにとっては極めて貴重な存在であるといえる。
特に顧客が様々な選択肢を持てるeコマース(EC)においては、あらゆるオンライン上の接点を通じて、単なる購入だけでなくサイトへの再訪問、コンテンツ閲覧、UGCの創出(レビュー・SNS投稿)といった多角的なアクションを起こせる環境を作り、エンゲージメントを深める必要がある。こうすることで、顧客ロイヤリティの確立が実現できる。
EC事業者・ECサイト運営者がエンゲージメントを高める方法の具体例
顧客エンゲージメントを向上させるには、まず訪問者数やリピート購買率、サイト滞在時間などから現状把握をすることが欠かせない。その上で、顧客との接点を適切に増やし、質の高い体験を提供することが肝要となる。具体的には、次のような施策が挙げられる。
- パーソナライゼーション:顧客の購買履歴や閲覧履歴に基づいた、個別最適化された商品レコメンドや情報提供
- 質の高いコンテンツ提供:ブログ記事、動画、Q&Aなど、顧客の課題解決や興味関心に応える有益なコンテンツの継続的な発信
- 迅速かつ丁寧な顧客サポート:チャットbotやFAQ、有人対応などを通じた、購入前後の疑問や問題に対する迅速な解決
- SNS活用とコミュニティ形成:顧客との双方向コミュニケーションを促し、ブランドへの愛着を育む場を提供する
- ロイヤリティプログラム:ポイント制度や限定特典などを通じて、リピート購入を促し、顧客の特別感を高める
- メールマーケティング:セグメントされた顧客リストに対し、MAやCRMツールなどを活用してパーソナライズされた情報やキャンペーンを配信する
エンゲージメントの測定方法
エンゲージメントは、様々な指標を用いて測定することが可能である。
- ウェブサイトの行動指標:サイト滞在時間、ページビュー数、セッションあたりのページ数、直帰率、リピート訪問率など
- 購買行動指標:リピート購入率、購入頻度、平均購入単価、LTVなど
- SNS指標:いいね、シェア、コメント数、フォロワー数、言及数など
- 顧客の声:NPS(ネットプロモータースコア)、CSAT(顧客満足度)調査、レビュー評価など
また、Google アナリティクス4(GA4)においては、ユーザーがウェブサイトやアプリで「“意味のある操作”を行ったセッション」を指す指標として「エンゲージメント」が新たに導入された。具体的には、10秒以上継続したセッション、コンバージョンイベントが発生したセッション、または2ページ以上閲覧したセッションなどがエンゲージメントとしてカウントされる。これにより、単なる訪問数だけでなく、ユーザーの行動の質をより正確に把握することが可能になっている。
その他のエンゲージメント
エンゲージメントは、顧客との関係性以外にも用いられることがある。たとえば、従業員が会社に抱く関心や愛着、貢献意欲を示す指標は「従業員エンゲージメント」と呼ばれる。これは、組織の生産性や離職率に大きく影響するため、近年注目度が高まっている概念である。
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