ECサイトを継続して運用していくには、集客に力を入れることが重要です。集客につなげる方法はさまざまありますが、その中の1つとして「SEO対策」があげられます。SEO対策は地道に取り組んでいく必要があるので、中長期的な視点を持って必要な施策を実行していきましょう。この記事では、ECサイトのSEO対策を行っていく上でのポイントや注意点を解説します。
ECサイトのSEO対策は必要
ECサイトの集客を図るために、SEO対策は必要です。なぜ必要であるのかの理由について解説します。
中長期的な視点での集客が大切
SEO対策はGoogleなどの検索サイトにおける表示順位を上げるためことを目的としています。自店で取り扱っている商品をユーザーが検索したときに、サイトが表示されなければそもそもECサイトの存在すら認知してもらえません。そのため、ECサイトを運営する上でSEO対策は欠かせない施策といえます。
SEO対策には、サイトの構造を改善するテクニカルな部分と、発信する情報を強化していくコンテンツとがあります。どちらもすぐに効果を求めることはできませんが、継続していくことで効果が出てくるので、中長期的な取り組みとして進めていくことが大切です。集客を図るにはWeb広告を活用するといった方法もあり、集客のためにかけられる予算や目的に応じてうまく使い分けていくことが大切です。
SEO対策によってある程度の集客を達成できた時点でWeb広告を展開すれば、少ない広告予算でも成果に結び付けられる可能性があるでしょう。普段からSEO対策に取り組んでいき、集客の状況に合わせて他の方法と組み合わせていく方法もあります。
ECサイトの市場規模は拡大している
ECサイトから商品を購入する人は年々増えています。経済産業省が公表しているデータによれば、国内の電子商取引は2020年で19.3兆円となっており、年々成長を遂げています。
2010年の市場規模が約7.7兆円だったときと比べれば、金額ベースでは10年間で2.5倍以上の伸びを達成しています。ECの需要が増加している背景には、インターネットを利用する多くの人が、ネットショッピングを使っている点があげられます。
しかし、市場規模の拡大に伴い競合他社もECサイトを数多く立ち上っており、従来の取り組みを継続しているだけでは思うように集客につながりません。SEO対策は、競合他社との差別化を図り、自店の魅力を高めていく手段のひとつになりうるでしょう。
【コンテンツ対策】オリジナリティを打ち出そう
競合が多いECサイトでは、サイト構造の改善ではなく差別化を図りやすいコンテンツ制作をSEOとしてお勧めします。ここでは、他店と差をつけるためのコンテンツ対策について紹介します。
1.キーワードの選定
ECサイトの訪問者を増やしていくためには、ターゲットがどのようなキーワードで検索するのかという視点を持つことが重要です。自社が取り扱っている商品・サービスと関連性の高いキーワードを選ぶ必要がありますが、必ずしも検索回数の多いビッグキーワードばかりを選べばいいというわけではありません。
3語以上の単語を組み合わせたロングテールキーワードや競合が少ないキーワード、購入につながるキーワードなどをさまざまな角度から検証していきましょう。一般的に、キーワードが長くなるほど検索回数が少なくなりますが、ユーザーの検索意図が明確になるので特定のユーザーに的を絞った展開が行えます。
Googleキーワードプランナーなどのツールを利用して、自社の商品・サービスにマッチしたキーワードを丁寧に拾い上げていきましょう。そして、検索キーワードのニーズに見合った、検索にヒットしやすいコンテンツを作り出してみましょう。
2.独自のコンテンツを作成
オリジナリティのあるコンテンツを作成することは、Googleなどの検索エンジンから高い評価を得られるポイントだと言えます。もちろん、独自性だけでなくユーザーにとって有益な情報を提供するコンテンツでなければなりません。
例えば、小規模なECサイトが「スニーカー」というキーワードでスニーカーの商品ページをランクインさせることは難しいでしょう。しかし「スニーカー 加水分解」などの絞り込んだキーワードの記事コンテンツを作成することで、検索上位を狙うことができます。社内のスニーカーに詳しいの方が監修に入れば、さらに独自性の高い記事が作成できるでしょう。
自社で取り扱っている商品やサービスの特性を踏まえ、競合サイトと比較をしながら、どのようなコンテンツであれば差別化できるのかを検討してみましょう。
3.タイトル・ディスクリプションの最適化
タイトルやディスクリプションは、検索結果でユーザーの目に最初に触れる部分であり、この段階で興味や関心を抱いてもらわなければ、ECサイトにアクセスしてもらうことすらできません。そのため、ユーザーの気持ちを惹きつけるような工夫をする必要があります。
タイトルについては、狙っているキーワードなど重要度が高い言葉を盛り込みましょう。ディスクリプションは、思わずクリックしたくなるような文言を考えることが大切です。狙っているキーワードで上位表示されているサイトを見ながら、どのようなタイトル、ディスクリプションが良いか考えてみましょう。
4.画像の最適化
ECサイトという性質上、多くの画像を使うので画像の最適化は重要な課題だと言えます。画像の代替テキストである「alt属性」に画像内容を適切に記述すると、検索エンジンにコンテンツの内容を正しく伝えることができます。
また、大きなサイズの画像を軽量化することも大切です。画像が適切なサイズに圧縮されていなければ、ページの表示速度が遅くなってしまうので注意しましょう。
【内部対策】サイトの内部構造や仕組みを改善
ECサイトの検索順位を押し上げるために、コンテンツの充実や内容のチェック、内部リンクの最適化などを行うことを内部対策と呼びます。内部対策として重要になるポイントを解説します。
1.販売の終わったページの対策
販売が終了した商品ページについては、速やかに削除しましょう。ページをそのままにしておけば、ユーザーに余計な手間を取らせてしまいますし、販売の機会を失う恐れがあります。
また、無駄なページがあることでサーバーに負荷がかかり、サイト全体の表示速度が遅くなる可能性もあるでしょう。こまめにサイトのメンテナンスを行い、不要なページがないかをチェックすることが大切です。
2.重複コンテンツの改善
重複コンテンツとは、ドメイン内または複数ドメインにまたがって存在している似たようなコンテンツのことを指します。意図的に重複コンテンツをアップすれば、検索エンジンから低評価を受ける原因となり、検索順位を下げてしまう恐れがあります。
しかし、ECサイトでは気づかない間に重複コンテンツが発生していることがあります。例えば、サイズや色違いの商品を別のページとして登録していたりするケースです。
対処法としては、canonicalタグなどソースコード上で重複対策をするか、サイズや色違いの商品は1つのページで購入できるようにして重複コンテンツが発生しないようにすることです。また、ECサイトでは画像だけのページを作ってしまうことがありますが、自然流入してくるユーザーにとっては意味のないページなので発生させないようにしましょう。
※canonicalタグ:複数の重複ページの中から検索エンジンに優先して評価をさせるページを伝えることができるタグ
3.内部リンクの最適化
Web上に数多く存在するサイトは、クローラーと呼ばれるロボットが常に巡回しています。クローラーは主に内部リンクをたどってサイト内を巡回するため、内部リンクの最適化は検索順位に上昇に影響を与えます。
例えば、関連度の高いページ同士を内部リンクでつなげば、リンク先の評価を高めることができます。またユーザビリティ向上にもつながり、サイト全体の評価を高めることになるでしょう。ほかにも、サイトマップを作成してサイトの構成を一目で分かるようにするなど、クローラーが巡回しやすくユーザーが見やすい内部リンクを設定しましょう。
4.ディレクトリ構造の最適化
ディレクトリ構造とは、フォルダ構造とも呼ばれるもので、Webサイトを構成しているフォルダやファイルの構成を指します。ディレクトリ構造はシンプルな構成にしておくことが大切であり、クローラーから認識されやすくなり、サイトの管理も取り組みやすくなるといったメリットがあります。
ECサイトを立ち上げてからディレクトリ構造を変更するのは、新しいページにリダイレクト処理を行ったり、サイトマップを作り替えたりなど大変な作業が発生します。作業量が多ければ、それだけサイトを改修する費用もかさむので注意が必要です。余分な手間や費用をかけないためにも、最初からシンプルな構成でサイトを設計しましょう。
SEO対策を行った後の注意点
ECサイトのSEO対策を行っても、さらに見直す点はあります。どのような点に気をつけていくべきかを見ていきましょう。
ページ表示速度を改善しよう
ECサイトでページの表示速度が遅いと、ユーザーの離脱率が高まる傾向があります。せっかく魅力的なページを作っても、閲覧してもらう前に離脱されれば、販売する機会を失ってしまうでしょう。
まずはページの表示速度を計測するツールを使って、どの程度の速さでページが表示されるのかをチェックしましょう。その上で、商品の画像を圧縮するなどの対策を行い、ストレスを感じずにサイトを閲覧できる環境を整えてみてください。
常時SSLの設定を行おう
ECサイトでは多くの個人情報を取り扱いますが、代表的なものとしてクレジットカード番号などがあげられます。適切なセキュリティ対策が行われていないECサイトであれば、ユーザーはカード番号の入力をためらうでしょう。
GoogleではECサイトに限らず、すべてのWebサイトにSSL化を推奨しています。SSLとは、Web上でのデータのやりとりを暗号化することでセキュリティを高める仕組みを言います。
顧客目線に立って、安心して利用できるサイト環境を整える取り組みの1つとして、SSL化に取り組んでみましょう。
サイトの導線を見直そう
商品ページにたどり着くまでの導線が複雑であれば、ユーザーは途中で購入をあきらめてしまう恐れがあります。商品の購入までの導線はシンプルであるほうが良く、ユーザビリティの向上と成約率のアップにもつながります。
ユーザーがどのページから入っても、スムーズに購入ページにたどり着くように設計するのがポイントです。また、カートの位置を目立つところに持ってくるなど、購入者目線でサイトの導線を考えることが大切だと言えます。
モバイルフレンドリー対応
モバイルフレンドリーとは、スマホユーザーを意識して表示を最適化し、ページの閲覧性や操作性を高めることを指します。スマホの普及によって、ECサイトにおいてもスマホユーザーを念頭に置いた施策を実施していく必要があります。
Googleはページがモバイル対応をしているかを重視しており、スマホの閲覧に適していないページは検索順位が下げられてしまいます。Googleが無料で公開しているモバイルフレンドリーテストツールを使えば、ECサイトがスマホでの閲覧に適しているかが分かるので、チェックしてみましょう。
まとめ:顧客目線でECサイトのSEO対策に取り組もう
多くのユーザーから利用されるECサイトを目指すには、商品の充実だけでなく、継続的にSEOコンテンツ対策に取り組んでいくことも必要です。必要な施策を実行しても、すぐに目に見えた成果を感じられない場合も多いですが、地道に取り組んでいくことで徐々に良い反応を得られるはずです。顧客目線に立って、さらに利用しやすいECサイトにしていくことが、結果的に集客へつながる流れを作っていくでしょう。