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アパレルのCVR向上・返品率低減に貢献 情報感度の高い顧客を動かすOMOを考える

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2020/10/20 11:00

ハッピーなカスタマーは最高のマーケター 店頭でスマートフォンを活用する意義

 iPhoneの登場を機にスマートフォンが世に普及し、今や実店舗にいながらスマートフォンを使って情報収集するという行為は、当たり前のように行われている。顧客にとっては、その場でより多くの情報を得ることができるため利便性が向上したと言えるが、実店舗側から見ると店頭が商品を吟味する場として活用されてしまい、手に取った商品を他社のECサイトなどで購入されてしまうといった機会損失が起きていることも事実だ。

「スマートフォンの普及による影響には善し悪しがありますが、顧客が店頭でスマートフォンを使うことを止めることはもはや困難です。大事なのは、企業が顧客の店頭でのスマートフォン活用を推進し、満足のいく体験提供に協力することと言えます」(山﨑氏)

 そのための取り組みが、口コミの表出やコーディネート提案だ。スマートフォンでほかの顧客の意見や試着例を見れば、「これなら自分の大事なお金を払って買っても満足できそうだ」という納得感を持って購入してもらうことができる。

 実店舗における顧客のスマートフォン利用は、顧客体験向上に限らず、スタッフ満足度の向上という副次的な効果ももたらすと山﨑氏は語る。顧客のスマートフォンを通じて、スタッフのアクションがトラッキングされることにより、自身の成果をマネージャーや組織から正確に評価してもらえるからだ。向上心の強いスタッフがこれまで以上に熱心に接客と向き合うようになるなど良い影響が見込めることから、顧客のスマートフォン利用をはじめとするOMOには、積極的に取り組む価値があると言える。

 今後、X世代、Y世代、Z世代と呼ばれるデジタルネイティブ層が増えていくにつれ、企業と顧客の向き合いかたが変貌することは避けられない。情報収集を熱心に行い、必要なものだけを所有し、体験への投資に積極的で、かつ自分が情報発信者になることをいとわない若年層のカスタマーは、レビューや口コミを非常に重視する傾向があると山﨑氏は話す。

「ハッピーなカスタマーは、最高のマーケターです。商品を良いと思ってもらうためには、ほかのカスタマーが幸せな買い物をして『良かったです』と言うのがもっとも効果的でしょう。レビューのみを扱うメディアは今のところ存在しませんが、YouTubeやInstagramなどのSNSを通じて、カスタマーが発信する情報はどんどん増えています。Amazonがここまで躍進した理由のひとつにも、初期からレビューを重視していたことが挙げられます」(山﨑氏)

 現行の多くのレビューシステムは総合評価が主流で、どのような年代・性別のレビュアーが評価したか、どの項目が評価されているかなど、レビューの細かな提示に取り組んでいる企業はまだ少ない。同一商品へのレビューでも、40代の男性と10代の女性では評価のポイントが異なるのは当然だ。山﨑氏は「今後レビューの仕組みが整備され、情報量が爆発的に増えていくのでは」と予想する。


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