「定義」を知りたい人への訴求は可能か
最後は、現在取り組んでいるクラフトビール紹介ページの分析だ。これは、クラフトビールの定義などを紹介して新規顧客に興味を持ってもらうためのコンテンツ。「クラフトビールとは」というキーワードのGoogle検索結果でトップになったこともある。
ここでは、冒頭でクラフトビールの定義を説明。次に自社製品を紹介し、その下に各ビールの楽しみ方などが見られるリンクを設置。そして最下部で「はじめてセット」を紹介している。
アクセスや来訪者の属性を分析すると、ほとんどが新規ユーザーで、直帰率は約70%と非常に高い。そして、外部流入による訪問が約90%。検索して情報を得ようとする来訪者が大半ということだ。桂馬氏は「いかに回遊性を高めるか、そして購買に結びつけるかが改善の肝になる」と話す。
ページのヒートマップを見ると、最上部の「定義」のエリアに閲覧や熟読が集中している。また、クラフトビールの種類や原材料などのコンテンツも熟読やクリック数の反応が強い。一方、製品紹介の部分は熟読されておらず、クリックもほとんどない。直帰したユーザーに絞ると、冒頭の定義の部分に熟読反応があるが、同時に離脱も多くなっている。定義を確認してすぐに離脱する人が多いと考えられる。
「定義を確認してすぐにページを離れる顧客に、製品のアピールができるのか。興味を持ってもらえる可能性はあるのか。そんな疑問がありました」(桂馬氏)
そこで活用したのが、Google Search Consoleと連携したキーワードの分析機能だ。この分析によると、「クラフトビール」というキーワードは「通販」や「缶」という言葉と同時に検索されていることがわかった。製品を探している人も多いということだ。
「分析から、『このページと製品紹介の相性は悪くないのではないか』という気付きが得られました。しかし、実際に製品紹介を見てくれる人は10%程度です。改善案としては、画像を増やして詳細な製品紹介コンテンツを作ることや、『はじめてセット』の表示位置を上げることが考えられます」(桂馬氏)
「なんとなく」から「行動・ニーズを把握」へ
セッション終盤で桂馬氏は、User Insightの導入で得られた成果について、「顧客の行動を可視化することで、具体的な改善策を考えられるようになった」と振り返った。
「従来は『なんとなく』の感覚で改善策を検討していましたが、顧客の行動やニーズをベースに検討するように変化してきました。引き続き、ニーズに応える魅力的なサイトを目指し、分析と改善を繰り返していきたいです」(桂馬氏)
このように、User Insightを活用した分析では、ページの「見られ方」が直感的にわかる。それをもとに改善を重ねることで、新規顧客の獲得や顧客体験の向上を図れる。
嶋田氏は最後に「アクセス解析ツールの大きなニュースとして、旧Google Analytics(ユニバーサルアナリティクス)の計測終了があり、実際に当社への相談も増えてきている」と明かした。企業サイトの効果を高めるツールとして、User Insightなどのサービスがさらに重要性を増していくだろう。