「決めきれない」人に向けた情報発信
2つ目の取り組みが、クラフトビール定期便サービス「ひらけ!よなよな月の生活」の販売ページの分析とリニューアルだ。
定期便サービスは、ヤッホーブルーイングが今、最も力を入れている事業の一つ。定期的に製品を配送する定額制サービスで、レギュラー製品の他、期間限定や地域限定醸造の製品も販売する。会報誌や会員限定ストア、新作ビールの先行販売などの特典もある。
リニューアル前の同ページのヒートマップでは、その月に配送可能な製品を紹介する「選べるビールはこちら!」というコンテンツを50%以上の人が閲覧し、かつ熟読していた。一方、ページの最下部に配置した、商品を入れる「かご」や料金などの情報は、10%前後しか閲覧されていなかった。
さらに、サイト内を回遊せずに離脱した「直帰」のユーザーに絞って分析すると、お届けビールの紹介が終了する部分での離脱が多いことがわかった。また、リンクが貼られていない画像にクリックの反応が多くあり、詳細な情報が得られると顧客が勘違いしている可能性もあった。
ヤッホーブルーイングでは、これらの分析から得られた気付きを改善に活かした。
「お届けビールの紹介が熟読されていることから、『興味を持っているが決めきれない』人が多いことがわかります。そうした顧客には、料金やお届け頻度などの情報が必要ですが、最下部にあるためほとんど見られていません。大切な情報をもっと上部に配置し、閲覧しやすくすることが改善になります」(桂馬氏)
この分析ではもう一つ大きな気付きがあった。期間限定ビールを紹介するバナーへのクリック数が顕著に多かったことだ。「ビールについて知りたいという顧客の強いニーズがわかった。そのため、各ビールの情報をわかりやすく提示する改善も必要だった」と桂馬氏は話す。
そこで、同社は分析結果を反映し、製品紹介や購入に関する情報のコンテンツを改善。製品紹介では限定製品と定番製品を並べてわかりやすく表示し、画像も大きくした。画像をクリックすると、詳細情報がポップアップで表示される。また、料金やお届けの時期に加えて、コース変更や解約についての情報をページ中盤に配置し、記載内容もわかりやすく変更した。
リニューアル後のヒートマップでは、料金などの情報を掲載している部分が、閲覧比率25~50%の領域に入るようになった。わかりやすい表示にしたことでミスクリックも減ったという。