“自己解決”をする8割の顧客にアプローチ 「CXone Digital」で提供する未来の顧客体験
続いて安藤氏は、前ページで挙がったコンタクトセンターでの情報収集やナレッジマネジメントを、コンタクトセンター以外の顧客接点にまで広げるソリューション「CXone Digital」を紹介した。同ソリューションは、NICE Ltd.が2021年に行った数々の戦略的買収で獲得した多彩なテクノロジーを「CXone」に反映し、コンタクトセンター以外の顧客の動線を追跡できるよう昇華させたものだと言う。
「商品やサービスに疑問や不安がある時、コンタクトセンターにアクセスするのは顧客全体の約2割だと言われています。つまり、約8割の顧客が検索エンジンやSNS、ECサイトの閲覧など“自己解決”を行っているのが実状だと言えます。『CXone Digital』は、この8割の顧客にもアプローチを行い、行動を把握・分析することで、包括的なCX向上に活用しようという考えかたに基づいて開発されたソリューションです。反映先としては、FAQやチャットボット、ECサイトの動画コンテンツ、SNSなど多岐にわたります」
商品やブランドの認知度を拡大させるためのマーケティングに注力する事業者でも、購買後のサポートやサービスを充実させることまで手が回らないケースも少なくないだろう。コンタクトセンターが得意とするカスタマーサービスを、マーケティングで対象とする幅広い顧客層にも提供することができれば、“自己解決”を行う8割の顧客の満足度向上につながる。つまり、顧客を良く知るコンタクトセンターが、AIとともにコンタクトセンターの枠を超えて顧客とのコミュニケーションを考えることで、より適切な顧客体験を創出しようというわけだ。
具体的には、「CXone Digital」のサービスのひとつである「CXone Expert」がGoogleと連携し、コンタクトセンターにアクセスしていない8割のユーザーの情報を取得。取得した情報を分析することにより、たとえばECサイトのFAQが役に立ったか、コンテンツがどの程度見られているかといった評価がかなう。そしてその評価に基づき、改善策を考えていく。
「顧客はFAQを見ても解決しないことがある場合に、コンタクトセンターへの問い合わせを行います。そうした顧客の疑問や不安をオペレーターが解消することができれば、その回答こそ現時点で最高のソリューションだと言えます。そして、この回答をナレッジとしてFAQに反映することが、“自己解決”を行う8割の顧客のCXを向上させる近道となりますが、即時反映は難しいと考える事業者も多いのではないでしょうか。そこに「CXone Expert」を活用することで、自動化の仕組みを構築。FAQの更新性を高め、内容もより充実させることができます。また、FAQの課題解決力が向上することで、コンタクトセンターへの負担を軽減し、顧客の問い合わせに対してより手厚いサポートを行うことも可能になると考えています」
実際に、アメリカの家電メーカーWhirlpool Corporationでは「CXone Expert」の活用によってコンタクトセンターへの問い合わせが減り、年間コストを約2,000万円削減したと言う。さらにコンタクトセンターにおける一次解決率も約80%に向上。これは顧客接点の改善に加え、オペレーター自身のスキルアップデートも同時に実現したことが大きい。
こうして「CXone Expert」でナレッジマネジメントが強化された次のステップとして、顧客を課題解決に導く「導線の設定」を行う必要があると安藤氏は言う。ウェブ上で顧客を有機的な情報へと導く「CXone Digital」の機能「CXone Guide」を紹介した。
「日本ではAIを用いたナレッジマネジメントに労力を割き、 “自己解決”のサービスを構築するために苦戦を強いられている大規模事業者が多いと感じています。そこで当社は、『CXone Expert』の会話モデルでナレッジマネジメントを自動的に抽出し、最適化する方法を考えました。さらに『CXone Guide』が必要に応じて最適化されたコンテンツに顧客を誘導することで、点から線、線から面のCX向上が実現。顧客にとって最適なサービスを効率的に提供できるようになります」
さらに安藤氏は、「これまでAIを用いた自動化は、言語が壁になり進まないことも多かった」とした上で、「CXone」および「CXone Digital」は日本語での会話をリソースとして学習するため、日本の事業者での導入もスムーズに行うことができると、日本市場の発展に貢献する意気込みを見せる。そして最後に、ECにおけるAI活用が進化した先の未来図について次のように語った。
「コンタクトセンターなど、問い合わせ対応の多くは顧客のアクションを待つ“受け身業務”となります。しかしAIが進化すれば、顧客が『必要になった頃』などを見極めて、過剰だと感じさせない程度のアプローチを掛けることも可能になるはずです。そして、そうしたプロアクティブなコミュニケーションが可能になれば、デジタル上のセルフサービスによる新たなCX向上が実現します。このように、今後コンタクトセンターの可能性が広がりを見せる中で、『CXone』の導入事業者はその進化を自動的に享受できるようになることでしょう」
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