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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

今こそ考えたい アパレル企業と販売スタッフのネット活用法

デジタル活用でアパレル店員はより進化できる これからの時代を生き抜くための意識と実践法

 2020年春、多くの実店舗企業が前代未聞の長期間にわたる営業休止を経験しました。この出来事は、今後の実店舗でのものの売りかた、販売スタッフの対面接客のありかたに少なからず変化をもたらすのではないでしょうか。この連載では、「今後、販売スタッフも自身の能力を活かしてチャネルをまたいだ活躍をしてほしい」と考えるファッションコンシェルジュのウメザキアスカさんが、自身の経験を踏まえ、アパレル企業と販売スタッフのこれからを語ります。第2回のテーマは、「これからの時代を生き抜くための意識と実践法」についてです。

これからの販売員が持つべき意識とは ポイント3点を解説

 こんにちは。ファッションコンシェルジュのウメザキです。アパレル業界の実店舗も6月頃より営業を再開していますが、以前のように元通り……と楽観視できる状況ではありません。今回の出来事を経て、自分に何かできることはないのかと危機感を持った販売員の方に、引き続きアドバイスができればと考えています。

 実店舗の営業休止を機に、デジタル接客に取り組むアパレル企業も増えてきましたが、まだまだ浸透していると言えるほどではありません。この記事では、元販売員の視点から、変化する状況の中で販売員がどのような形でお客様をサポートし、提案をすることができるのか一緒に考えたいと思っています。ぜひ、自身のこれからのキャリアを考えるきっかけとなれば嬉しいです。

 具体的な行動について解説する前に、まずこれからの販売員が持つべき意識についてお伝えいたします。ポイントは、次の3点です。

1. デジタルを自分ごととしてとらえる

 自分は実店舗の販売員だからECの売上は関係ない。と他人ごとのように見るのではなく、「同じ自社の売上である」と自分ごととしてとらえてください。自分に関係することだと思うところから、新たな道は始まります。今いるブランドはそこまでEC化が進んでないから……と言う方もいるでしょう。しかし、これからのキャリアを考えると、販売員として転職をする際もデジタルを避けて通ることはもはやできません

 「デジタルはよくわからない」と敬遠してしまいがちですが、ECでの販売もSNSでの訴求も、実は店頭で普段行っていることの延長線上にあること。これからの時代、実店舗とECをつなぐには、販売員の存在は必要不可欠です。自粛期間中、営業休止により店頭に立てず、自分にできることはないかと自発的に個人のSNSアカウントで発信を行っていた方もいるかもしれません。営業が再開した今、休止期間中に行っていたデジタルの取り組みとアナログ(対面接客)両方の良さを活かせば、可能性はより広がります。デジタルが得意な販売員はチャンスですし、不得意だと思っている方も今はSNSなど簡単に挑戦できる場がたくさんあります。ぜひ自分ごとととらえ、チャレンジしてみることをおすすめします。

2. お客様から得た声を積極的に本部に発信する

 今は「STAFF START」を導入し、販売員からの情報発信を促したり、販売員から積極的に現場の声を収集したりする企業もありますが、こうした環境構築ができている企業はまだ一部です。ツールが導入されていなくても、販売員の皆さんはぜひ現場の声を本部に発信してください。本部に所属する方々にも、販売員が意見を言える環境を作っていただきたいです。実店舗の営業が再開し、再びお客様と直接接することができるようになった販売員は、恐らくこれまでとは異なる多くの気づきを得ているはずです。発信した内容がすぐに反映されるとは限りませんが、販売員の皆さんは現場を知る立場から発信し続けることを決して諦めないでください

 私は過去にこういった経験があります。以前‪担当していたブランドでは、ショッピングバッグが大型店舗へ優先的に配布されており、地方の自店では在庫が不足し、苦情につながっていました。多くのお客様は、ショッパー欲しさに平場ではなく、ショップへ来店している状況。百貨店の袋だと恥ずかしい……という若い世代のお客様から、平場の商品も一緒にギフトラッピングしてほしいと言われることもあったほどです。

 メンズはギフトが多いこと、ブランドの売上が急激に伸びていく過程ではショッパーが重要であることを営業に伝え、自店だけでなくブランドの今後のためにも数を増やしてほしいと依頼しましたが、現場レベルでは改善がなく、私は本部にいる自身の上司やカスタマーセンター長、支店長にも連絡を入れました。ショッパーはお客様が持ち歩くことで自然と宣伝になるというプラスの面と、ブランドのショッパーを持つことがステータスとなっている状況下で対応しないのは機会損失である旨を伝えたのです。

 当時好調だったブランドで、このように危機感を持ち、意見を伝える人間はほとんどいませんでしたが、結果的に自店でも潤沢にショッパーが使えるようになりました。元々経費が増える予定だったのかもしれませんが、伝えなければ変わらなかったことかもしれない、とも思っています。

 現場ではいつも通り、小さなことと見過ごしてしまいがちなことが、実は企業にとっては重要なことも多いです。それぞれ立場が違えば、与えられる役割も違い、見える世界も変わります。現場の状況をわかってもらえないとただ嘆くのではなく、相手は知らないだけかもしれないから、まずは知ってもらうように努力をする。そして、共有することで得た知見をお互いにものづくりや提供するサービスに反映させていく。D2Cだけがお客様の声を吸い上げる仕組みではありません。自ら積極的に発信することで、周りからも意見を求められるようになり、結果的に販売員として社内社外どちらからも信頼を得られるようになります。

3. お客様に対し、実店舗とデジタルのつなぎ役になる

 ECでは衝動買いが少ないとも言われていますが、実店舗とデジタルの間に販売員が入り込めば、どちらのメリットも活かした販売が可能となります。実店舗とデジタルが分断されている状態なのであれば、自らがつなぎ役となるのです。すでにデジタル活用が進んでいる企業にならい、ぜひ自店や個人のSNSなどを活用して、登録方法のレクチャーや情報発信を行ってみると良いでしょう。

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この記事の著者

ウメザキアスカ(ウメザキアスカ)

ファッションコンシェルジュ  長崎県出身。アパレル販売歴18年、うち店長歴は17年。長崎・福岡の百貨店にて、婦人服・紳士服を販売、プチプラからプレタポルテのブランドまで幅広く担当。出産後は専業主婦を経て、ファッションコンシェルジュとして東京・神奈川でファッションのアドバイス、ショッピング同行、オンライン相談を行う。 ホームページ:パーソナルスタイリスト ウメザキアスカ Twitter:@asukaumezakiT

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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