グローバルでは「コンテキスト型コマース」がトレンドに
それでは世界では、どのような変化が起きているのだろうか。セールスフォース・ドットコムのグローバルなサーベイである「Eコマース最新事情(ステート・オブ・コマース)」からのデータから、その動向が紹介された。
まず、ECやデジタルマーケティングを実施する企業側に対する、投資・注力対象についての問いでは、BOPIS(店頭受け取りのインフラ)、キャッシュレス決済の強化をあげる企業が多かった。特にキャッシュレスについては、90%が既に対応済という状況だ。また、ECで成功している企業とそうでない企業とでは、「コンテキスト型コマース」への取り組みに大きく差があることがわかったという。「コンテキスト型コマース」とは、ECに、SNSやゲーミフィケーション、音声、仮想現実、ライブコマースなどの“デジタルエクスペリエンス”を加えることだ。國村氏は「通常の買い物だけではない、プラスアルファの魅力を付加することが、世界のトレンドになっている」と解説した。
確かに、10年前のECは、とにかく便利に購入することが目的だった。しかし、近年ではECはスマホを通じてデジタル上のさまざまなコンテンツやサービスとつながり、さらに近年では家電や車などリアルなものとも連携をはじめている。いわばECは、「買い物をする場」から、「体験をする場」に変わりつつあるといえるだろう。それがまさに「コンテキスト型コマース」というわけだ。
その中で、新しい取り組みとして、数々のテクノロジーや仕組みが紹介された。たとえば、3DコンフィグやAR/VR、ショップスタッフのオンライン接客、ライブビデオショッピング、バーチャル+リアル接客など……事例は枚挙にいとまがない。
その中で、米国の「Threekit(スリーキット)」が提供するAR/VRのデモンストレーションが行われた。VR/AR技術によって、店舗に行けない消費者が、当該の商品を疑似的に自宅のテーブルに配置してみることができるというもの。デモンストレーションでは、エスプレッソマシンや椅子が自室に置かれる様子が映し出された。