EC購入率30%UPを実現 機能の“融合”で未来のコマースを創出
柴田氏は「One Tempo」の導入事例として、「AI診断」機能を活用して商品の購入率を向上したバッグブランドを紹介した。同ブランドでは、ポップアップイベントで店頭に「AI診断」を搭載したサイネージを設置。顧客がサイネージの前に立つとその姿がAIカメラで解析され、各人に合わせたお薦めの商品を表示する仕組みとなっている。商品の詳細は二次元コードを介してECと連携し、購入までの導線を構築。同経路でECにアクセスした顧客は、通常の購入率を大幅に上回り、イベント期間中のECサイト売上が38.3%アップしたと言う。
また、バーチャル店舗「3D空間ストア」についても、都市部にしか実店舗がなく、地方の顧客がなかなか来店できない小売企業において、顧客の課題解決や新たな価値提供などが期待される。3D空間でバーチャル店舗内を散策できるだけでなく、「オンライン接客」やチャット機能などを活用することで、商品を見て質問したり、情報を確認したりといった「手に取る以外」の体験をすべて提供できるようになると言う。さらに、「ライブコマース」や「パーソナルコンシェルジュ」などの機能を足し合わせ、購買体験をよりリッチにしていくことも可能となる。
「これまでデジタルの購買体験は、検索やレコメンドがメインでした。しかし今後は、オンラインでも接客を受けてセレンディピティ(商品との偶然の出会い)を創出する購買体験が一般化していきます。たとえば、『One Tempo』では、『ライブコマース』機能で1:N(1人から不特定多数へ)の接客も可能ですが、さらに詳しく説明を受けたい顧客は、『パーソナルコンシェルジュ』機能で1:1(1人対1人)の個別相談へシームレスにつなげることもできます。他社のソリューションでもライブコマースは実施できますが、複数の機能を包括的に揃える同ソリューションでは、各ソリューションや機能の組み合わせで、より快適な購買体験を実現することができます」(口脇氏)
さらに今後「One Tempo」では、AIカメラを活用して実店舗における顧客の導線計測や情報の出し分けなど、リアル店舗のテクノロジー活用も予定。実店舗とECの融合によるCX、およびEXをより進化させていく。最後に両氏は、「One Tempo」を介して小売企業に伝えたいメッセージを次にように語り、インタビューを締めくくった。
「今後は、店舗ビジネスを主とする企業もデジタルネイティブな企業になることが必要です。それは単純にソリューションを導入するだけではなく、企業文化や組織構造ビジネスモデルの改革が欠かせません。電通デジタルは『One Tempo』を通じて、DXによるビジネス変革はもとより、企業が自発的にDXを推進できる体制構築を伴走支援します」(口脇氏)
「改革は一度起こせば良いわけではなく、イノベーティブな状態を継続するからこそ価値が生まれます。今後も多くの小売企業が柔軟に変化し続けられるよう、電通デジタルとして何ができるのか、常に考えながら『One Tempo』を進化させていきます」(柴田氏)
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