店舗・ECの商品情報を統合 共通の商品カタログを作るには
デジタル基盤を構築するには、「いかに商品情報を整備するか」が重要となる。たとえば、Aという商品ひとつを取っても、色・価格・寸法・商品画像・レビューといったさまざまな「属性」が存在し、その配下には色の場合、赤・青といった「属性値」が紐付いている。グローバル展開をしている場合は、言語・通貨ごとにその量も増えるだろう。
しかし、臼谷氏は「運用を考慮すると、属性は商品でなくカテゴリに紐付ける必要がある」と言う。前者の場合、新たな商品が増えるたびに追記作業が発生するのみならず、カテゴリを移動した際にも書き換えを行わなくてはならない。運用の煩雑さを軽減し、効率的な商品情報の運用をかなえるためにも、「色や寸法などの属性はカテゴリに、属性値は商品に紐付けることがお薦め」と説明する。
続いて商品情報に紐付けるのは、在庫引当を行う先となる倉庫や店舗に関する情報だ。同一商品でも複数倉庫で管理されていたり、生産国・生産時期ごとに別品番として扱われていたりというケースも存在するため、細心の注意を払う必要がある。これらを扱う商品すべてに施した上で、店舗のPOSや倉庫システム、基幹システムなどとつなげることで、ECと店舗共通の商品カタログが完成する。もちろんこうした作業は、ブランド・事業ごとに行わなくてはならない。
臼谷氏は、「この作業を行えば、OMOのコアとなる商品情報のデジタル基盤が整う」と語る。たとえば、ブランドを統合したECサイトやアプリを作ったり、新たなチャネル展開を行ったりする際にも、スピーディーな展開ができるようになる。また、商品情報が連携されていれば、BtoB・BtoC、店舗・EC、国内・国外と顧客のシチュエーションに関係なく、常に整合性のある最新情報を届けることが可能だ。いつでもどこでも、同じ情報を得て購入できる。こうした環境構築は、顧客体験の統一化にもつながる。