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ECzine Academy(イーシージン・アカデミー)とは、自社ECのプロフェッショナルの育成を支援する講座の総称です。ECzine編集部が企画し、基本となる「2日でわかるEC構築・運営基礎講座」ほか、その時々のトレンドをいち早く学んでいただけるようテーマ別講座をご用意しています。

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ECzine Day 2022 August

2022年8月30日(火)10:00~16:10

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季刊ECzine

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ECzine Day 2021 Autumn レポート(PR)

OMO実現に欠かせないデジタル基盤の整備 EC担当者が顧客エンゲージメントを構築しやすい仕組み作りを

 オンライン・オフラインで提供する顧客体験の融合が、ブランドにとって大きな課題となっている。そこで必要となるのが、双方をスムーズに連携し、柔軟に変化できる「デジタル基盤」だ。2021年9月3日開催の「ECzine Day 2021 Autumn」にて、長年顧客企業の課題解決に取り組んできたSAPジャパン株式会社 SAP Customer Experience事業本部 ソリューションエンジニアリング部長の臼谷悠太氏が、IT部門やSIベンダーに頼らずに顧客エンゲージメントを高める仕組みの構築方法をテーマに登壇。企業の組織・システムなどさまざまな検討ポイントについて解説した。

在庫引当問題の解決なしにOMOは実現できない

SAPジャパン SAP Customer Experience事業本部 ソリューションエンジニアリング部長 臼谷悠太氏
SAPジャパン株式会社 SAP Customer Experience事業本部 ソリューションエンジニアリング部長 臼谷悠太氏

 セッションの冒頭にて臼谷氏は、東京駅周辺の写真を掲示し、このように語る。

「美しい街並みは、綿密な開発計画や基礎工事の上に成り立っていますが、OMO推進でも同じことが言えます。デジタル基盤という基礎部分を作り上げた上で、どのような顧客エンゲージメントを提供するか。このような順番で考えていく必要があります」(臼谷氏)

 臼谷氏は、まずOMO型コマースの代表的なパターンと、それに付随する業務プロセスを3つ紹介した。ひとつめは、受注・決済・在庫引当・配送のすべてを基本的にはECで行う「EC完結」パターン。ふたつめは、受注・決済までをECで行い、店舗で在庫を引き当てた後、配送もしくは店頭で受け渡しを行う「BOPIS(Buy Online Pick-up In Store)」パターン。3つめはECで受注し、決済以降を店舗で行う「EC予約・店舗取置」パターンだ。

セッションスライド

 臼谷氏は、「SAPジャパンの顧客企業にはいずれのパターンも存在するが、多くの企業がある共通の課題を抱えている」と言い、事例をふたつ紹介した。

事例1:国内アウトドアブランド

 売れ筋商品が店舗の在庫として確保されており、ECの在庫が常に不足している状態となっていた。ECでの売上が販売スタッフに還元されず、店舗の評価にもつながらなかったことが原因。

事例2:国内ファッションブランド

 ECで予約した複数商品の取置や決済を、ひとつの店舗でまとめて行うことができない状態となっていた。店舗が在庫を買い取るシステムで、商品が資産として店舗に紐付いているため、ほかのチャネルから自由に動かせなかったことが原因。

 これらに共通して存在するのは、「在庫引当」に関する問題だ。本来は、顧客がどこからアクセスしても同様に在庫引当をすべきだが、それが実現できなかったために売り逃しが発生していたという状況を冷静に見つめる必要がある。現在も商品在庫の管理と店舗の評価が密接につながっている多くの企業には、現場を混乱させることなく、スムーズに実現できる「チャネルに依存しないデジタル基盤」が必要というわけだ。では、それはどのようにして整備できるものなのだろうか。

「店舗在庫を引き当てる場合は、『評価をどのように店舗に渡すか』を同時に検討する必要があります。この点がクリアになれば、適切な形でデジタル基盤を構築し、OMOを推進することが可能です」(臼谷氏)

店舗・ECの商品情報を統合 共通の商品カタログを作るには

 デジタル基盤を構築するには、「いかに商品情報を整備するか」が重要となる。たとえば、Aという商品ひとつを取っても、色・価格・寸法・商品画像・レビューといったさまざまな「属性」が存在し、その配下には色の場合、赤・青といった「属性値」が紐付いている。グローバル展開をしている場合は、言語・通貨ごとにその量も増えるだろう。

 しかし、臼谷氏は「運用を考慮すると、属性は商品でなくカテゴリに紐付ける必要がある」と言う。前者の場合、新たな商品が増えるたびに追記作業が発生するのみならず、カテゴリを移動した際にも書き換えを行わなくてはならない。運用の煩雑さを軽減し、効率的な商品情報の運用をかなえるためにも、「色や寸法などの属性はカテゴリに、属性値は商品に紐付けることがお薦め」と説明する。

 続いて商品情報に紐付けるのは、在庫引当を行う先となる倉庫や店舗に関する情報だ。同一商品でも複数倉庫で管理されていたり、生産国・生産時期ごとに別品番として扱われていたりというケースも存在するため、細心の注意を払う必要がある。これらを扱う商品すべてに施した上で、店舗のPOSや倉庫システム、基幹システムなどとつなげることで、ECと店舗共通の商品カタログが完成する。もちろんこうした作業は、ブランド・事業ごとに行わなくてはならない。

セッションスライド

 臼谷氏は、「この作業を行えば、OMOのコアとなる商品情報のデジタル基盤が整う」と語る。たとえば、ブランドを統合したECサイトやアプリを作ったり、新たなチャネル展開を行ったりする際にも、スピーディーな展開ができるようになる。また、商品情報が連携されていれば、BtoB・BtoC、店舗・EC、国内・国外と顧客のシチュエーションに関係なく、常に整合性のある最新情報を届けることが可能だ。いつでもどこでも、同じ情報を得て購入できる。こうした環境構築は、顧客体験の統一化にもつながる。

顧客情報基盤の構築と並行して良好な関係構築も忘れずに

 OMOの推進においては、「顧客情報基盤の構築」も欠かせない。その第一歩として必要となるのが、どのチャネルでいつ誰が購入したのかを、すべてのチャネルで把握できるようにする「チャネルをまたいだ顧客IDの統合」だ。

セッションスライド

 これを実現するには、店舗でアプリなどを活用して会員証をデータ化するところから始める必要がある。登録者に対して顧客IDを作成した後に、年齢・性別などの属性情報やいつ・どこで・何を購入したかという行動情報、そして同意を得た上で住所などの個人情報を紐付け、単一の基盤に統合する。すると、顧客単位でのLTVの可視化や、チャネルを越え企業全体で顧客とコミュニケーションすることが可能になる。ここで臼谷氏は、個人情報管理のポイントを付け加えた。

「GDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)など各種法規制への対応も忘れてはなりません。チャネルごとに管理企業が異なるケースでは、企業を跨いだ同意管理の仕組みが求められます。また、同意は継続的に取得し続けなければなりません。これらを踏まえると、顧客の属性情報と同意情報は分離して管理すべきです」(臼谷氏)

 属性情報と同意情報を同一に管理すると、プライバシーポリシーが更新されるたびに顧客情報の刷新と同意を得る作業が発生し、企業・顧客双方の利便性が損なわれてしまう。個人情報管理をグループ内の他企業に任せている場合は企業間の同意も必要となり、現実的な運用方法とは言えない。こうした状況は、「プライバシーポリシーが更新された際に、再同意を自動的に取得し続ける仕組みの構築により回避することができる」と臼谷氏は説明した。

 また、「顧客が自分自身で情報を管理できる仕組みを提供することも、良好な関係構築には必要」と臼谷氏は続ける。たとえば、ニュースレターの定期購読やパーソナライズされたコンテンツの提供を顧客自身が設定できる仕組みになっていれば、希望する商品の在庫が入った際にメールを受け取り、すぐに自分が好むチャネルで購入することも可能だ。

 こうした情報提供は、顧客IDなどの基盤構築のみならず、顧客と合意が取れた上で実現するものと言える。つまり、顧客体験を向上させるには顧客から信頼を得なくてはならないということだ。そのためには、どのチャネルに訪問しても同じ商品情報を閲覧し、同じ購入体験ができる環境の提供は欠かせない。チャネルに依存しないデジタル基盤を構築し、信頼関係を築くことができれば、顧客からより多くの情報を収集することが可能となる。その後、さらにAIなどのテクノロジーを活用すればレコメンドの精度も高まり、自然と顧客とのつながりも強固なものとなっていくはずだ。

IT人材に限らず、現場のEC担当者が運用可能なシステム構築を

 OMOの実現には、前出した商品情報と顧客情報のデジタル基盤構築が必要となるが、これらを整えた上で実際のチャネル拡張・顧客エンゲージメント構築を実行するのは「現場のEC担当者であることが望ましい」と臼谷氏は語る。その理由として、顧客行動の変化に対応するには俊敏性が求められることを挙げた。

 同氏は、「オンラインにおける顧客行動は大きく変化し、各チャネルに押し寄せるトランザクション量が増えている」と説明した上で、受け止める企業側がIT人材の確保に苦戦していることに言及。IT人材の育成には数年を要することや、新たに雇用するにもIT人材自体が少ないことなどから、「IT人材の確保と対応すべき顧客行動に大きなタイムラグが生じており、チャネル拡大・顧客エンゲージメントの領域については、既存のEC担当者が運用できる仕組みでなくてはならない」と強く訴える。

 もちろん、IT企業をパートナーとして委ねる部分があっても問題はない。しかし、変化にスピーディーに対応するには、EC担当者の活動可能範囲を広げることも大切だ。そのために、「既存の人材が容易に運用できる仕組み作りは欠かせない」と臼谷氏は言う。

セッションスライド

 ここで臼谷氏は、顧客行動の変化に迅速に対応した事例として、THE BODY SHOPのコロナ禍における取り組みを3つ紹介した。ひとつめは数週間で新しい配送センターを立ち上げたこと。ふたつめは、カスタマーサポートの人員を30人から300人に増やしてライブチャットや電話などでの相談に対応し、併せて電話で注文した商品を店舗で受け取るサービスを開始したこと。そして3つめは、3ヵ月で世界中に18のサイトを開設し、DXを加速させたことだ。

 同社の取り組みについて臼谷氏はこのように語り、セッションを締めくくった。

「THE BODY SHOPは何もないところから、これらの施策を速やかに実現できたわけではありません。すでに商品情報や顧客情報の基盤を整備していたからこそ、複数チャネルの展開や、顧客エンゲージメントを高めるコミュニケーション施策を短期間で実施できたのです。SAPジャパンは、SAP Customer Experience ソリューションを通じ、デジタル基盤の構築・整備以外にも、さまざまな方法で前進する企業に伴走していきます」(臼谷氏)

▼SAPジャパンは、企業のCX向上を支援するイベント「SAP CX DAY 2021」を2021年11月18日(木)13:00よりオンラインにて開催します。

アシックス、エイチ・ツー・オー リテイリング、Mizkanなど、カスタマーサクセス、従業員満足、企業としてのパーパスを追求しつつ新たに事業成長の基盤を築いている先進企業より、その取り組みをご紹介いただきます。

開催概要
  • イベント名:SAP CX DAY 2021
  • 開催日時:2021年11月18日(木)13:00 ~ | オンライン開催
★詳細・参加お申し込みは「SAP CX DAY 2021」イベントページから

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