該当商材は「指名買い」と「衝動買い」のどちらに強いのか
アナグラムでは、ECサイトや商品の特徴に応じて5つに分類する「5タイプ理論」を独自に考案している。
5タイプ理論で分類の軸となるのは、「商品の買われかた」だ。インターネット上の購買行動は「指名買い」と「衝動買い」のふたつに分類でき、商品によってどちらに強いかが分かれると言う。
たとえば、映画の主役が身につけていた高級腕時計をほしくなり、「ブランド名 映画のタイトル」で検索をかけて購入するのは指名買いだ。逆に、通勤中にスマホで高級腕時計の広告を目にしても、高額な商品の衝動買いはなかなか起こりにくい。よって、高級腕時計は指名買いに強く衝動買いに弱い「有名ブランドタイプ」に分類される。
商品数が多く、指名買い中心の有名ブランドタイプは、「ブランド名」「商品名」「型番」「通称略称」といった指名検索ワードにボリュームがあり、検索→検討→購入という導線を辿りやすい。また、商品のベネフィットよりもブランドそのものに魅力を感じ、商品購入が行われる傾向にある。
具体的な配信手法を解説する前に、山元氏は広告配信のポートフォリオを設計する重要性についてこう語った。
「どの媒体やどのターゲットにどれくらいの予算を配分するのか、それを整理したものがポートフォリオです。KPIがECサイト上でのCV・売上などを重視する場合、CPAが低くCVの多い施策はどれなのか、などの仮説を立てたうえで配信することが“滑らない”ための秘訣です」
このポートフォリオによると、有名ブランドタイプは検索連動型広告で指名キーワードを検索された場合や、ショッピング広告で指名キーワードを検索された場合にもっとも獲得につながりやすくなる。
「このふたつを実施していないということは、ユーザーがせっかく指名買いしようと検索してくれているのに、自社ECサイトへの流入経路の選択肢を狭めている状況を意味します。『どの経路で買ってくれても問題ない』というブランド戦略であれば良いですが、自社EC比率を上げ、ユーザーとメルマガやクーポンなどでコミュニケーションを取りたい場合は、必ず実施しましょう」(山元氏)
また、ユーザーが商品の購入を検討する期間も忘れずに想定すべきだと山元氏は語る。検討中に接触することの多いディスプレイ広告関連のリマーケティング、なかでも商品数の多いECサイトでは検討中の商品を広告訴求できる動的リマーケティングの効率が高く、活用メリットは大きい。
第2のタイプは「ニッチタイプ」だ。コスプレ衣装やスポーツのユニフォームなど、限られたユーザーを対象とした商材がここにあてはまる。指名買いも衝動買いもされにくいが、そのぶん競合が少ないという優位性もある。
ニッチタイプの広告配信でもっとも重要なことは、限られたユーザーが検索したときにもれなくリーチすることだ。
たとえばコスプレ衣装の場合、「作品名 コスプレ衣装」といった主要キーワードはもちろん、作品に登場するキャラクターの名前なども網羅することで、限られたユーザーの検索行動に確実にリーチする必要がある。また、検索連動型広告と並行してディスプレイ広告の運用にもチャレンジしてほしいと山元氏は話す。
「特定ユーザーを想定したターゲティング、広告クリエイティブで配信がきちんとできていれば、ディスプレイ広告もコンバージョンにつながります。PDCAを回しながら運用することをおすすめします」