経験は重要。しかしデータから判断する選択肢が増えたこともまた重要
――たとえば最近では、「カゴ落ち」対策などが流行っていますが、データ統合を実現するとどのような違いが生まれてくるのでしょうか。
平原 カゴ落ちはあくまで、カゴ落ちしたユーザーだけのデータですよね。それだと、やはり施策の対象となる母数が少ないんですよ。
データ統合する際は、カゴ落ちを含めたすべての行動データを取得します。100人のかご落ち対象がいて20人に効果があるだけでは、CVRは高いですが、効果として小さいですよね。それを40人、50人にするためにカートに入れていなくても効果が高い(親和性が高い)ユーザーを抽出し母数を増やす必要があります。
対象顧客を拡張していくためには、すべての行動履歴データ、会員データ、商品データ等を用いた抽出ロジックが有効です。当社はそういったデータを保持しており、施策に活かしています。
鈴木 ECサイト自体や商品詳細ページがあまり見られていない、というケースも増えているんですよ。たとえばソーシャルメディアや、コーポレートサイトで商品を紹介するブログ記事から購入に至っていたりすることもあります。そういった一歩先のマーケティングを実現するのが、我々の目指すところですね。
――データの統合と可視化が実現すると、ビジネスはどう変わりますか?
平原 経験豊富な人の判断を「ナレッジベース」と呼んだりしますが、それは非常に重要ですし、決して否定しません。しかし、データから判断するという選択肢が1つ増えたことは重要だと思うんです。それにより、経験が浅くても短期間で成果を上げられるようになるのであれば、人材の育てかたも変わっていくでしょうから。
鈴木 情報がブラックボックス化しているケースは結構ありますよね。マーケターやアナリスト、エンジニアなど、それぞれの職種の中だけで閉じて共有されていない。それはやはりオープンにしたほうがいいと思います。情報をみんなで共有して、悪くなることはないはずです。
――今後の展望をお聞かせください。
平原 当社はディープラーニングの技術を活用した画像解析に強みを持っています。先日、洋服などのアパレル製品に自動的にタグ付けする機能を発表しましたが、これは服の形や色、たとえば、青、ジャケット、三つボタン、メンズ、などをAIが学習するというものです。
従来、人が手作業でやっていたことをAIが一瞬でできれば、生産性は劇的に上がりますよね。また、テキスト情報を付与することでSEO対策や商品検索もしやすくなります。仕組み的にはディープラーニングを使っているのですが、AIを用いた効率化は、さまざまな場面で応用できるのではと考えています。
鈴木 この数年だけでも、商習慣はかなり変わりましたよね。たとえば、ソーシャルメディアから購買に至ることなど、少し前まで存在すらしませんでした。ECサイトに直接来て、買って、帰るという流れはどんどん萎んでいき、きっかけはますます多様化していくと思います。そこにどうやってアプローチしていくのかは、今後の課題だと考えています。(了)
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