販路を拡大した二つの事例 売上増の理由は○○
実際に個人ユーザーが法人化し、現在も事業成長を続ける事例として、2011年にスタートした食品ECサイト「かわしま屋」がある。
国内外の生産者・職人から仕入れた商品を販売している同サイト。取扱商品数は、2023年時点で600点以上にのぼる。当初は代表者が自宅の冷蔵庫を倉庫にして、一人で自社ECサイトの編集や出荷作業を行っていたが、現在はスタッフ数40名規模のEC事業者へと成長を遂げた。売上も順調に伸長し、今では倉庫を併設したオフィスを構えている。
「かわしま屋」の事業成長を後押ししたのが、健康や食に関する記事の掲載、YouTubeを通じたレシピの紹介など、積極的な情報発信だ。商品の購入+αの価値提供が評価され、GMOペパボ主催のコンテスト「カラーミーショップ大賞2023」で大賞に選ばれている。
「『カラーミーショップ大賞』は、各ユーザーが努力してきた成果を紹介し、かつ当社が感謝を伝える場でもあります。ユーザーの事業規模が変化しても、変わらず濃いコミュニケーションを取るのがモットーです」(寺井氏)
また、2010年に自社ECサイトをオープンし、卸売りから直販へ販路を切り開いた秋田県発の「じゅんさいときりたんぽ 安藤食品」も、「カラーミーショップ byGMOペパボ」で事業成長を実現した事例の一つだ。
同サイトが取り扱う水草の一種「じゅんさい」は、一般的に知名度が高いとはいえない。そのため、SNSを通じたオンラインコミュニケーションを強化するなど、集客に力を入れている。加えて、「じゅんさいとは?」「秋田県の観光情報←じゅんさい次郎が勝手におすすめ!」といった記事を自社ECサイト内で公開している。
「ECサイト運営では、商品の魅力を適切に伝えるために、視覚的なデザインやSEO(検索エンジン最適化)を意識した情報発信が欠かせません。ほかにも、定期的にコンテンツを更新することで、お客様の興味を引きつけ、リピーターを増やす効果も期待できます。こうした取り組みを効率的に実現するのが、WordPressの活用です。記事制作やメディア運営が容易にでき、より多くの顧客にリーチできる仕組みを構築できます」(太田氏)
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「当社は、WordPressで自社ECサイトと同一ドメイン内に情報発信の場を無料で開設できる『カラーミーWPオプション』を提供しています。実際に、同サービスを通じてコンテンツ作りに力を入れている『じゅんさいときりたんぽ 安藤食品』は、2023年の年間売上高がスタート時の数十倍にも成長しました」(太田氏)