最大2014年まで遡ることができる膨大なデータ量とシンプル操作 小規模からでもNintでデータ活用を
企業が持つ課題の裏を返せば、データの活用は直近で売上を上げるための一手、さらには本来狙うべきターゲットや市場の発見につながるということ。つまり、現場の担当者と経営どちらの目線に立ってもプラスに働くといえる。では、時間とリソースの少ない中小企業で、そもそもどうやってデータを活用するのか。主要3モールである楽天市場・Yahoo!ショッピング・Amazonを横断してデータを提示するNintには、「複雑な分析も容易にする機能が備わっている」と丸尾さんはいう。
「Nintには大きく3つの機能があります。
ひとつめは、業種分析です。楽天市場・Yahoo!ショッピング・Amazonにおける各カテゴリーの流通額推移やカテゴリー別シェア率などをグラフで可視化するため、季節ごとの市場の動向や新規カテゴリー参入時の見極めに役立ちます」(丸尾さん)
「ふたつめのショップ分析では、自社と競合他社の動きを比較することが可能です。広告施策、ポイントおよび価格の変更履歴、各商品の売上、月次や年間のデータなどが閲覧でき、効果的な施策の実行につながります」(丸尾さん)
「3つめには商品分析があり、カテゴリー内の売れ筋商品を確認できます。たとえばインテリアを扱う小売店であれば、『インテリア・寝具・収納』で検索すると同じジャンル内で過去30日間の売上が高い順に商品名を表示します。これにより、他店とのシェアの比較、売上の高い商品の市場規模とトレンドの調査に割いていた工数の削減が期待できます」(丸尾さん)
通常、大量のデータを収集し分析するには手間と時間がかかるもの。Nintでは、楽天市場は2014年、Yahoo!ショッピングは2015年、Amazonは2017年からそれぞれデータを蓄積しており、すでに必要な情報が揃っている。さらにその活用のハードルが低い点にも強みを持つ。管理画面では、左から業種分析・ショップ分析・商品分析の順にメイン機能が並び、直感的な操作で実践的なデータ活用が可能だ。
具さんはここで「経験値に頼った判断におけるいちばんの落とし穴は、比較対象とすべき競合他社や参入すべき市場を見つけられず、せっかく立てた施策が間違った方向へ向かってしまうこと」だと強調する。
「Nintが提供する他社のデータは、本来見ることができません。比較対象としていた競合他社が実は自社よりも売上額が非常に高い、逆に低いといった実態を知るには、このデータが不可欠です。実際に、今までの競合他社をNint のショップ分析で検索してはじめて、適切な比較対象を選定できていないことに気づくケースも珍しくありません。
また、アクセサリージャンルを展開している小売店の実例では、メンズかレディースかといったカテゴリーの市場規模を正しく掴めていなかったことから、Nintを通じた分析後、取り扱う製品のカテゴリーを大きく入れ替えたこともあります」(具さん)
本格的にデータ活用を取り入れていない企業は、獲得できるはずだった売上を手放しているかもしれない。自社理解に加えて、他社理解がこれからの売上を押し上げる。