必要なのはデータに基づく根拠 それに気づかない現場の課題とは
顧客に響く商品開発や無駄のない仕入れには、説得力のある根拠が必要だ。しかし、それに気づき、実行に移している企業は少ないのではないだろうか。結局は感覚的な判断に頼っていたり、時間が足りず諦めていたりと、根拠を持って判断できていないのが本音だろう。
「今までの経験値で施策の実行などを判断している企業では、データ活用により得られる売上の伸びしろを見落としている場合があります。それでは、本当に比較すべき競合他社や参入の余地があるカテゴリーを見誤っていても気づかないでしょう。
また、ご提案の際、EC運営の担当者の方から『市場で売れている商品がわからない』『新商品の開発に向けた定量的な判断材料がない』『効果的な広告の打ちかたがわからない』といった声もお聞きします。こうした課題を自覚していても次の打ち手がないという企業は多く見受けられます」(具さん)
これらは、データに基づいて施策を練るための土台がないからこそ抱えている課題だといえる。その中でも「小売とメーカーではそれぞれが違った課題を持つ」と具さんは続ける。
「小売では、調査や分析の時間が十分に確保できず、施策を立てようにも経験値頼りになってしまいがちです。世の中で売れている商品やそのカテゴリーがわからなければ、どのくらい仕入れて良いか判断するのは難しいです。結果的にやみくもに商品を仕入れ、売れ残ってしまうことになります。
一方、メーカーの場合は企画や開発などに対して専任の担当が在籍している場合が多く、調査や分析に時間をかける傾向があります。ただ、市場調査においてどうやって判断材料を収集すれば良いかわからなかったり、人員と工数を割いて新商品を開発・販売し始めるころには他社が類似商品ですでにシェアを占めていたり、日々移り変わるトレンドを逃してしまうケースが散見されます」(具さん)
施策の判断材料として十分なデータを収集することに加え、タイミングを逃さない素早い分析が必要なのだ。しかし、多くの企業がそれに気づいていない、もしくはツールの導入に踏み切れていないという実状がうかがえる。
最大2014年まで遡ることができる膨大なデータ量とシンプル操作 小規模からでもNintでデータ活用を
企業が持つ課題の裏を返せば、データの活用は直近で売上を上げるための一手、さらには本来狙うべきターゲットや市場の発見につながるということ。つまり、現場の担当者と経営どちらの目線に立ってもプラスに働くといえる。では、時間とリソースの少ない中小企業で、そもそもどうやってデータを活用するのか。主要3モールである楽天市場・Yahoo!ショッピング・Amazonを横断してデータを提示するNintには、「複雑な分析も容易にする機能が備わっている」と丸尾さんはいう。
「Nintには大きく3つの機能があります。
ひとつめは、業種分析です。楽天市場・Yahoo!ショッピング・Amazonにおける各カテゴリーの流通額推移やカテゴリー別シェア率などをグラフで可視化するため、季節ごとの市場の動向や新規カテゴリー参入時の見極めに役立ちます」(丸尾さん)
「ふたつめのショップ分析では、自社と競合他社の動きを比較することが可能です。広告施策、ポイントおよび価格の変更履歴、各商品の売上、月次や年間のデータなどが閲覧でき、効果的な施策の実行につながります」(丸尾さん)
「3つめには商品分析があり、カテゴリー内の売れ筋商品を確認できます。たとえばインテリアを扱う小売店であれば、『インテリア・寝具・収納』で検索すると同じジャンル内で過去30日間の売上が高い順に商品名を表示します。これにより、他店とのシェアの比較、売上の高い商品の市場規模とトレンドの調査に割いていた工数の削減が期待できます」(丸尾さん)
通常、大量のデータを収集し分析するには手間と時間がかかるもの。Nintでは、楽天市場は2014年、Yahoo!ショッピングは2015年、Amazonは2017年からそれぞれデータを蓄積しており、すでに必要な情報が揃っている。さらにその活用のハードルが低い点にも強みを持つ。管理画面では、左から業種分析・ショップ分析・商品分析の順にメイン機能が並び、直感的な操作で実践的なデータ活用が可能だ。
具さんはここで「経験値に頼った判断におけるいちばんの落とし穴は、比較対象とすべき競合他社や参入すべき市場を見つけられず、せっかく立てた施策が間違った方向へ向かってしまうこと」だと強調する。
「Nintが提供する他社のデータは、本来見ることができません。比較対象としていた競合他社が実は自社よりも売上額が非常に高い、逆に低いといった実態を知るには、このデータが不可欠です。実際に、今までの競合他社をNint のショップ分析で検索してはじめて、適切な比較対象を選定できていないことに気づくケースも珍しくありません。
また、アクセサリージャンルを展開している小売店の実例では、メンズかレディースかといったカテゴリーの市場規模を正しく掴めていなかったことから、Nintを通じた分析後、取り扱う製品のカテゴリーを大きく入れ替えたこともあります」(具さん)
本格的にデータ活用を取り入れていない企業は、獲得できるはずだった売上を手放しているかもしれない。自社理解に加えて、他社理解がこれからの売上を押し上げる。
事例(1) 他社の売上推移と施策から仮説立て 半年で200%の売上を達成
通常であれば見ることができない他社のデータで、効果的な施策の策定を支援するNint。実際に中小規模でも、大幅な売上増加につながった事例がある。
- ジャンル:家具メーカー
- 従業員数:50名以下
- 商品ランクイン数(楽天市場):150品
「本事例ではまず、業種分析で売れている家具のジャンルからトレンドを把握するとともに、『どの時期にどの商品が伸びているのか』を分析しました。中でも売れ行きが好調なショップを管理画面上で選択すると、そのショップが実行した広告施策の一覧が表示されます。この流れで年間を通して売れる商品と最適な広告を見極め、導入から半年後に200%の売上を達成しました」(丸尾さん)
競合他社の売上変動から、どの広告施策が売上に貢献したのかを読み解くことがポイントだという。
「ショップ分析から、競合他社の売上が11月5日に前日の3倍近く伸びていることがわかりました。そこで、前日にどのような広告施策が実行されているかを確認すると、メルマガ会員に向けたメール配信と商品名の変更が行われていました。
ほかにも、ポイント数の確認もできるため、『ポイントを5倍にしたから売れたのではないか』など仮説立てしながら効果的だと考えられる施策を取り入れ、短期間で売上増加が実現しました」(丸尾さん)
事例(2) 仕入れの適正化で売上1.5倍 他社との比較で着実に売上を作る
小売においても、Nintの活用による当を得た仕入れで売上増加が期待できる。その際に使えるのが商品分析の機能だ。前出の事例と同じく少ないリソースの中で運営している生活雑貨店は、Nintの活用で売上を1.5倍にまで引き上げた。
- ジャンル:生活雑貨の小売
- 従業員数:50名以下
- 商品ランクイン数(楽天市場):375品
「本事例で挙げる小売店では、家電も取り扱っています。たとえばドライヤーであれば、まずは型番で商品を検索し他社の販売方法を見ます。
今回は、他社が同じ商品を直近1ヵ月で販売した際の、販売した価格、ポイント倍率、販売量を確認しました。ここで得られるデータから、『商品が売れる見込み』『効果的な施策』『適切な仕入れ量』が判断できます。得られたデータを参考に、仕入れる商品と仕入れ量の適正化を行いました」(丸尾さん)
はじめはひとつの商品から実験的に始めて、少しずつほかの商品も同様に仕入れの適正化を行う。その結果、全体を通して仕入れの適正化に成功。合計で1.5倍の売上増加につながった。
年間を通じた導入支援と継続的なメール配信で自走できる体質へ
シンプルでわかりやすい操作方法が特徴のNintだが、導入時、さらには導入後の継続的なサポートでも着実な事業成長を支える。
「まずは、今後の並走に向けた目線合わせが必要です。キックオフミーティングでは、データを活用する目的や時期を定めた売上目標、現状ある課題を洗い出していきます。
実際に導入した後には、月に1回の導入支援ミーティングを3ヵ月連続で実施し、企業ごとにカスタマイズした活用方法をレクチャーします。レクチャーにあたっては、最後に操作や活用のテストも行うため、実際に身についているのか、自走できる状態にあるのかを認識していただく機会になります。
さらに半年後にもミーティングを行い、実際に売上が上がったなどの成功体験や目標に沿った活用ができているかといったヒアリングを実施します。その後、9ヵ月で更新をむかえるというスケジュールです。
導入後なかなか結果が出ないといった場合でも、効果的な活用方法へ導くポイントを用意しています」(丸尾さん)
契約更新までの間に複数回のレクチャーとミーティングを実施することで、実践的に使えるスキルをつけることが可能。加えて、メール配信による活用ポイントの共有も行われるため、導入後も客観的な視点でアドバイスを得ることができる。
「導入している企業ごとにカスタマイズしたメール配信も、月に1回のペースで実施しています。たとえばどこに成長機会があったのかなど、企業に合わせた活用方法をメルマガとして配信し、分析に取り入れていただいています」(丸尾さん)
コロナ禍を経て、消費者にとってはオンライン上での商品の購入機会が増えた。その流れに乗ってEC 事業に参入する企業も増加。EC 市場はすでに飽和状態といえるだろう。この状況下では、正しいデータ活用が新しい売上を生み出しライバルとの差をつける。
「すでにお話したとおり、感覚や経験値に頼った仕入れと販促では、実際に獲得できるはずの売上に気づいていない可能性があります。すでに膨大なデータが備わっているNintは、効率的にモール全体の市場規模を把握し他社と比較、課題の顕在化が可能です。それにより、データ分析に必要不可欠な『自社を知る』『他者(市場など自社以外の情報)を知る』『比較する』『発見した差異からインサイトを見つける』といった作業を容易にします。
効果的な打ち手を割り出すデータ活用で確実な売上および事業の成長をともに目指し、永続的に支援していきたいです 」(具さん)