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【2023版】ECプラットフォームとは?種類や選定ポイントを紹介


 ECサイトを構築する際に必要なECプラットフォーム。モール型やASP、オープンソースなどさまざまな種類があり、自由度や導入に必要なコストなどが異なります。今回は、そんなECプラットフォームの各種類の特徴やサービス例を紹介します。

 オンラインでの購買行動が盛んに行われる現代においては、小売事業者のECサイト運営は一般的になってきました。しかし、自社ECサイトを立ち上げる方法は多岐に渡るため、その点が参入障壁となっているのも事実です。

 そこで本記事では、ECサイト構築を実現させる「ECプラットフォーム」について、その種類を紹介し、各社が導入する際の選定基準を論考します。

ECプラットフォームとは?

 
ECプラットフォームのイメージ

 ECプラットフォームとは、ECサイトを構築・開設するために必要な、ベース部分のソフトウェアやシステムを総称した用語です。

 ECプラットフォームを活用すれば、自社商品を取り扱うECサイトをインターネット上に展開し、顧客に当該サイトを通じて購買行動を行ってもらうために必要とされる機能を実装できます。

 プラットフォームに実装されている主要機能はおもに「フロントエンド」「バックエンド」に分けられ、それぞれ次のようなものがあります。

フロントエンド機能

バックエンド機能

  • 商品企画
  • 仕入れ製造
  • 商品登録サイト更新
  • 集客
  • 受注管理
  • 在庫管理
  • 梱包配送
  • アフターフォロー
  • 分析改善

 ECサイトを新規に立ち上げる場合、まずはプラットフォームを選定しなければなりません。

ECプラットフォームの種類

ECプラットフォームの種類のイメージ

 ECプラットフォームの種類には、次のようなものがあります。

  • ECモール
  • ショッピングカートASP
  • オープンソース
  • クラウドEC 
  • ECパッケージ
  • フルスクラッチ

 次項より、それぞれのECプラットフォームの特徴と代表的なサービス例を紹介します。

ECモール

 

 ECモールは、単一のサイトに複数のネットショップが集まっているプラットフォームのことです。代表的なものとしては、Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどが挙げられます。

 大手ECモールは認知度や集客力が非常に高く、出店に関しても個人・企業を問わず気軽に行えます。セキュリティに関しても強固なシステムを築いているため、安心して利用できるでしょう。さらに、システム次第ではアクセス解析などの機能がついている点もメリットです。

 ただし、規模の大きいECモールを利用しようと思えば、出店料やロイヤリティ、広告費といったコストがかかります。 また、自社の競合も出店していた場合、同一サイト内で競争が発生することになるため、長期的にECモールのみに依存するのはリスクが高いでしょう。

 ここで、代表的なECモールについて、それぞれ紹介します。

Amazon

 

 世界規模で展開するAmazonは、ECモールの代表格です。日本においても非常に多くのユーザーが利用されているため、出店すれば自社商品の認知拡大につなげられるかもしれません。

 新規出店のハードルも低く、「大口出品」「小口出品」の2プランから選択できるのが特徴です。 なお、「FBA」という有料サービスを利用すれば、商品の保管や配送、返品対応までAmazon側で対応してくれます。

楽天市場

 楽天市場は、日本国内ではAmazonと並んで利用されているECモールです。楽天カードをはじめとする同社の他サービスとの連携や高いポイントの還元率も相まって、多くのユーザーに利用されています。

 出店に関しては、1年契約のプランが3種類あります。プランごとに月額出店料やシステム利用料、サービス利用料、決済サービス利用料が設定されています。

Yahoo!ショッピング

 Yahoo!ショッピングは、Amazonや楽天市場に並ぶ大手ECモールです。出店時の初期費用や月額のシステム手数料、売上ロイヤルティーが無料であるため、上記2つに比べて低コストで利用をスタートできます。

 ただし完全無料というわけではなく、各キャンペーンやアフィリエイトパートナー、決済サービスを利用すると手数料が加算されます。

ショッピングカートASP

 

 ショッピングカートASPは、ECサイトを構築するために必要な基本機能が揃ったプラットフォームサービスです。ベンダーが用意した機能を、契約後すぐに利用してECサイトを構築するため、自社でサーバーを用意する必要がありません。

 ショッピングカートASPには基本料金が無料のサービスも存在し、BASEやSTORES、Shopifyなどが有名どころでしょう。ただし、それらも全ての機能を無料で利用できるわけではなく、売上に応じた手数料が発生するのが一般的です。

 ショッピングカートASPなら、大手モール型プラットフォームに依存しないECサイト運営を短期でスタートできる点がメリットで、費用自体も後述するクラウドECやECパッケージよりも安く抑えられます。

 高度な追加機能やオプション、サポートを受ける場合は別料金となるケースが多いものの、これからECサイトの運営をスタートしたいと考えている企業ならモール型と並んで選択肢に挙がるでしょう。

 次の代表的なサービスについて解説します。

  • BASE
  • STORES
  • MakeShop
  • Shopify

BASE

 BASEは、基本料無料で利用できるASP型のプラットフォームです。追加で発生した費用の支払いにはクレジットカード決済だけでなく、コンビニ決済や銀行振込も可能です。

「BASE DESIGN MARKET」という、クリエイターが制作したデザインを採用したフォーマットを利用できるサービスもあります。

STORES

 STORESは、無料の「フリープラン」と、有料の「スタンダードプラン」が用意されているASPです。Instagramとの連携や予約販売、顧客管理、アクセス解析など、ECサイト運営に求められる基本機能はひと通り利用できます。

MakeShop

 MakeShopは、あらかじめ充実した機能が実装されていて、ECサイト構築の際の選択肢が比較的広いASPサービスです。カード決済手数料自体はかかるものの、それも業界最安値の水準で、無料サービスにはない豊富なテンプレートやデザイン編集が強みです。

Shopify

 Shopifyは世界的に利用されているプラットフォームで、日本には2017年に上陸しました。在庫管理がしやすく、世界各地で利用、言語もカバーされているため、越境ECも見据えた利用に適しています。

オープンソース

 

 オープンソースとは、一般的に公開されているソースコードを利用し、自社、あるいは外部制作会社の手でECサイトを構築する方法です。

 オープンソース型のプラットフォームの中には、無料公開のものもあるため、いちからECサイトを構築するのに比べて少ないコストや短いスケジュールで、自社の要件に合ったECサイトを作れます。

 自社に専門知識を有する技術者が在籍しており、リソースの確保ができる場合はオープンソースでのECサイト構築も検討できるでしょう。ただし、オープンソースにはマニュアルが存在しないことも多く、ソースが公開されているためにセキュリティ面で不安が残る点にも留意が必要です。

 次の代表的なオープンソースについて紹介します。

  • EC-CUBE
  • CS-Cart

EC-CUBE

 EC-CUBEは、国内シェアNo.1のオープンソースソフトウェアです。基本機能が網羅されているだけでなく、カスタマイズもしやすいため、ECサイトの規模に関係なく使えます。

 日本製であることや無料で利用できることから、安心して利用できるでしょう。

CS-Cart

 CS-Cartは越境ECに向いているオープンソース型のECサイト構築パッケージです。多言語・他通貨に対応しており、ソースの利用自体は無料ですが、必要機能がパッケージングされた有料版もあります。有料版では、提供企業側のサポートを受けられる点もメリットです。

クラウドEC

 

 クラウドECは、クラウド上に用意されているECサイトに必要な各種機能を、契約後すぐに利用できるプラットフォームです。ほかの構築方法では自社サーバーにシステムをインストールする必要がありますが、クラウド ECはインターネット上のサービスであるためインストールは不要です。

 類似するショッピングカートASPよりもカスタマイズや外部連携がしやすく、ASP型のように自社でサーバーの保守・運用も必要ありません。

 一方で、クラウドECはコスト面の負担が大きい点がネックです。規模的には中〜大クラスのECサイトでクラウドECを用いるのが一般的で、月々数十万円のランニングコストが求められます。

 そのため、自社でほかに売り上げの柱を持っている、あるいは既にECサイトがある程度育っているという事業者におすすめのプラットフォームといえます。

 次の代表的なクラウドECサービスについて紹介します。

  • ebisumart
  • w2ソリューション
  • Commerce Cloud

ebisumart

 ebisumartは、拡張性の高さがポイントのプラットフォームです。導入企業は2022年時点で700社ほどですが、NTT西日本やヤマハといった大手企業にも採用されていることから、信頼性が高いといえます。

w2ソリューション

 w2ソリューションは、国内の中規模・大手事業者を対象にした、多機能性や拡張性の高いクラウド型ECプラットフォームです。オムニチャネルや商品の定期通販など、自社のビジネス要件に合わせたプランを選択できます。

Commerce Cloud

 Commerce Cloudは、Salesforceが提供しているサービスです。「同社が提供するCRM(顧客管理)・SFA(営業支援)プラットドームである「Sales Cloud」と連携することで、パーソナライズされた最良の提案・商談を行うことができるでしょう。

ECパッケージ

 

 ECパッケージとは、ECサイトに必要な機能がワンパッケージになった製品を指します。後述のフルスクラッチと異なり、ある程度の必要機能が最初から揃っていて、自社サーバーにインストールする形で使用します。

  インストールしたシステムにカスタマイズを施したり、別のシステムと連携させたりすることで機能を拡張できます。

  ただし、ECパッケージはカスタマイズの幅が広い分費用が高額であるため、年商の高い大規模なECサイトに向いているといえます。

フルスクラッチ

 

 フルスクラッチとは、ゼロからECサイトを作成する方法です。実装するシステム要件を自社で自由に決められるため、デザインや必要機能など、求める要件に応じてカスタマイズができます。

  つまり、本稿で紹介したプラットフォームを“利用しない”構築方法です。最大のメリットはカスタマイズ性が高い点です。サイト構築時はもちろん、構築後の改善や機能追加なども柔軟に行えます。

 一方、自社でのシステム開発・インフラ整備が必要で、コストや時間がかかる点がデメリットです。開発には専門スキルを持つ人材が必要ですが、社内にいなければ外部の制作会社に依頼することになります。その場合はさらにコストがかさみ、スピード感も落ちてしまいます。

 フルスクラッチでの構築は、資金や人材などのリソースが社内に十分にあり、独自の開発やカスタマイズを多く取り入れたい企業に向いているといえます。

ECプラットフォームの構築方法ごとの比較

  
ECプラットフォームの構築方法ごとの比較のイメージ

 見てきたとおり、ECサイトを構築するためのプラットフォームはさまざまな種類が存在します。各構築方法の費用やカスタマイズ性などを改めて整理したのが次の表です。

構築方法 初期費用 月額費用 カスタマイズ性 構築期間
ECモール ~10万円 ~10万円 × 短い
ショッピングカートASP ~30万円 ~10万円 × 短い
オープンソース ~300万円 ~50万円 長い
クラウドEC 300~500万円 10~50万円 短い
パッケージ 300~1,000万円 30~100万円 短い~長い
フルスクラッチ 1,000万円~ 50~100万円 非常に長い

自社にあったECプラットフォームの選定方法

 
自社にあったECプラットフォームの選定方法のイメージ

 ECプラットフォームは、自社が扱っている商材や市場状況、ポジショニングによっても「どの種別のシステムを選択するべきか」が異なってきます。留意しておきたいのは、どのプラットフォームを採用するにしても、ECサイトの運用計画が不明瞭なままでは“ただ予算を使って終わり”になりかねないという点です。

 たとえば、自主に運用ノウハウがなく、見込み顧客へのアプローチ手段も策定されていない状態でいきなりカスタマイズ性の高いオープンソースなどに挑戦しても、期待する効果は得られないでしょう。

 そのような場合は、提供企業側でテンプレートを用意してくれているECモールか、ショッピングカートASPから始めるほうが適しているといえます。

 このように、ECプラットフォームの選定においては、まずは自社で販売する商材や顧客の特性を明確した上で、適切な運用計画を策定しなければならないのです。

まとめ

 ECプラットフォームを活用すれば、スムーズなECサイトの立ち上げ、運営を実現します。本稿で紹介したとおり、プラットフォームのタイプごとにそれぞれ特徴があります。たとえば、「モール・ASP型は低コストなものの自由度が低い」「クラウドECを含むパッケージ型はプラン次第」などです。

 ECサイトを立ち上げた後、効果的に売り上げ拡大につなげるためには自社にマッチしたプラットフォームを選定する必要があります。

 自社だけではナレッジが不足していると感じられる場合には外部専門家の意見も取り入れつつ、ECサイト事業の“入口”となるプラットフォーム選定を成功させましょう。

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この記事の著者

EC研究所(イーシーケンキュウジョ)

ECについての情報を調べ、まとめてお届けします。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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