企業・ブランドの「一貫性」と「継続的視野」が重要に
Web3に生活者から選ばれる企業・ブランドになるためには、「一貫性」と「継続的視野」を持つ必要があると眞喜志氏は強調する。大切なのは、生活者が企業・ブランドに対して「好き」と感じる、愛着を持てる要素を積み重ねることだと言う。
「前出したように、デジタルは生活者との重要な接点です。生活者は購買体験をする以前から、オンラインで情報収集をする中で企業・ブランドへの期待値を高めています。その後、実際に商品・サービスに触れ、『期待どおりだ』と感じることで、愛着が形成されるのです。
今は、企業・ブランドがウェブサイトやSNSで掲げる世界観と現実を、生活者が答え合わせできる時代です。一貫性のある良質な体験を提供できれば、企業・ブランドに対する生活者の満足度は高まります。さらに、期待値を超えた体験を提供できれば、感動につながって『お気に入り』となり、他者へのシェアや将来的にリピートし続ける強固な関係へとステップアップします」(眞喜志氏)
従来のマス的なビジネスモデルにおいては、店舗・人件費などの固定費がともなうことを前提として各社がスケールを目指していた。一方、D2Cビジネスは金額×売上数量の損益分岐点が低いからこそ、スモールスタートでファンを育むことが可能だ。成功した際の利益増加幅は大きくなるが、たとえ母数は少なくても熱狂的なファンが生まれることで特定層に支持され、リピート・他者への推奨という好循環を生み出すことで、持続的なビジネス展開が可能な時代を迎えていると言えるだろう。
「デジタル起点のビジネスを展開しているとコンバージョン、つまり購買行動にゴールの意識を置きがちですが、リピートにつながる継続的な接点を意識した取り組みこそが重要です。
たとえば商品を開封した瞬間に生まれる感動体験や、『また次も使ってみたい』という前向きな気持ちの創出──つまり、購入後に生活者にどのような体験をしてもらいたいのかという意識が欠かせません。これらを意識して情報発信などを行えば、顧客が企業・ブランドに持つ愛着の要素はより深まっていきます。
購入後の体験をいかにデジタルを介してほかの生活者へ伝えるか。デジタルを介することでより多くの生活者にわかりやすく情報を伝えることができれば、さらなる共感を獲得しやすくなります。自分もひとりの生活者であるいう意識を常に持ち、良質な顧客体験を追求する。良い体験が循環することで、カスタマーサクセスにつながっていきます」(眞喜志氏)