フリクションの発生ポイントと対策方法 6つの事例を紹介
カスタマーサクセスに注力するSprocketは、顧客企業を支援するにあたり生じる可能性が高いフリクションを想定。それらに対する改善策として、実際のシナリオ事例を作成している。本セッションでは、その中からECサイトにおける改善事例を6つピックアップして紹介した。
フリクション1:どこに行って良いかわからない
情報量が多いトップページなどの直帰率が高い場合は、「サイト内に選択肢が多すぎる」「検索したい商品が思いつかない」といった理由が考えられる。そこで有効となるのが、ポップアップを用いて「何をお探しですか」と呼びかける「声かけ」だ。
来訪後に一定時間が経過したユーザーに対し、迷っていることを前提に表出する。とくに商材や選択肢が多いサイトに有効であり、緑茶を販売するECサイトで「贈答用?」「自家用?」という声かけから案内を行ったことで、購入完了改善率が109%となった事例もあると言う。
フリクション2:どんなサービスかわからない
ユーザーが初めて見る商品・サービスを提供するECサイトでは、「よくわからないままページを閉じてしまう」といった動きが頻発する。これに対しては、商品・サービス内容の紹介動画を流すなど、来訪直後に概要を紹介することでユーザーの興味を惹きつけ離脱を防ぐことが可能だ。遺伝子検査キットを販売するECサイトで内容紹介の動画をポップアップ表示したところ、124%の購入完了改善率を記録している。
フリクション3:ページが縦長すぎて内容を覚えられない
LPなど情報量が多いページの場合、スクロールしているうちに主題や内容の理解が難しくなり、離脱してしまうケースも存在する。これに対しては、重要なポイントにスクロールを要するポップアップを設置することでユーザー理解を深め、離脱の改善が期待できる。ある化粧品メーカーのLPでは、効果効能をアピールするポップアップを設置したところ、購入完了改善率が106%となった。
フリクション4:商材の存在に気づいていない
ユーザーが潜在的に必要としているものでも、「自分には関係ない」という思い込みで目に留まらないケースは往々にして存在する。この場合は「商品・サービスを知っていますか」といったアンケート形式のポップアップを活用し、「ユーザーに気づきを与えると良い」と深田氏はアドバイスする。ここでは、百貨店のECサイト内でクレジットカードの紹介を行い、カード申込完了改善率を170%に押し上げた事例を紹介した。
フリクション5:付帯情報をチェックしていない
商品詳細ページなどで、本来必要としているにもかかわらず、サイズや素材などの付帯情報を「なんとなく見過ごし、離脱してしまった」というユーザーは一定数存在する。この場合は、付帯情報を先に伝えることで購入検討につなげることが可能だ。深田氏は「商品のサイズを確認してください」というポップアップや、購入方法についての案内を商品詳細ページに表示することで、購入完了改善率115%を記録したアパレルECサイトの事例を見せた。
フリクション6:コンバージョンにあたって不安が解消できていない
購入ページに行くまで会員登録や決済の方法がわからないなど、コンバージョン前にユーザーが抱える不安を解消できていないことが離脱に影響している場合も存在する。FAQページに記載していても、「ページに到達しにくい」「読むのが面倒」といった理由で閲覧されていないことも多い。
この場合、「何か不安はありませんか」という質問とともにFAQをまとめたポップアップを表示すると効果的だ。なお、購入ページで表示する場合は、「FAQページに遷移させずに、ポップアップ内で表示することが大切」だと深田氏は言う。
このポップアップ活用について深田氏は、「A/Bテストで表出させるタイミングや内容の最適化を図る必要がある」と解説。こうしたフリクションの発見と対策を繰り返し行えば、ECサイトで安定した成果を出すことが可能になると言う。
「紹介した対策方法がすべてのECサイトに当てはまるわけではありません。特性によっても変化するため、『フリクションを探す』という視点で自社のECサイトを見直し、それに適した対策を自ら考えることが大切です。これらを徹底すれば、結果として顧客満足度やコンバージョン率の向上につながっていくでしょう」(深田氏)