「Retail Without Borders」は、ヨーロッパにおいては最大規模のマーケットプレイスカンファレンスと位置づけられており、日本での開催は今回が初めてとなる。DHLジャパン、ZigZag Global、楽天、イーベイ・ジャパンなど、越境ECをリードする企業が集結し、最新トレンドや越境ECにおけるポイントについて共有した。
DHLジャパン「早ければ集荷の翌日にアメリカ本土へ」
国際エクスプレスサービスを提供するDHLジャパンによる基調セッションは、「越境ECにおける物流(法令/通関・関税)のポイントと最新情報」がテーマ。同社 営業企画部 ビジネスディベロップメントスペシャリストの峰崎正行氏は、DHLジャパンの強みである「スピード」について、セッションの冒頭でこう語った。
「DHLエクスプレスでは、集荷から現地に配送するまでを一気通貫で行っています。現地の輸入側の申告や通関の手続きはもちろん、最終的にお客様の手元に届けるところまでを担っています。日付変更線の関係もありますが、我々がピックアップした日の翌日に、アメリカの本土にまでデリバリーすることも可能です」
越境ECにおける物流のポイント、というテーマのなかで、峰崎氏が「いちばん多くお問い合わせをいただくもの」として挙げたのは、「関税」である。オーストラリアにおいて、関税やオーストラリア独自の税金「GST」が免税対象であった1000豪ドル未満の商品についても、今後免税措置が撤廃されることに触れ、EC事業者が注意すべき点について言及した。
「越境ECの高まりもあって、このオーストラリアの例のように、免税撤廃などの見直しがさらに進んでいくと見込んでいます。各国での税関や通関の仕組みは、ますます変貌を遂げていくはずです。そういった法規制の変更などの最新情報をどのようにキャッチしていくか。そこがEC事業者の方にとって、ひとつの課題になるのではないかと思います」
また、DHLジャパンとして今後取り組んでいきたいことについて尋ねると、同社の大前正志氏は「安定したリードタイムの維持」だと話す。
「早く届くサービス、というのがお客様にとって当たり前になっていくので、それを維持するだけでなく、より早くより便利なサービスを提供するというところが、今後は求められていくと思います。そういった部分への投資はもちろん、イノベーションへの資本投下も進めています」