3.モバイルシフトがEC戦略にもたらす影響
とはいえ実際のところ、中小ECサイトにおいて、スマートフォンでの購入は行われているのだろうか。調査結果によれば、直近1年以内の購入でスマートフォンを利用したのは24.2%。20代女性の場合は65.2%となっているが、まだまだ少数派ではある。
だが、経済産業省の「平成26年通信利用動向調査」によれば、パソコンの保有率は減少、スマートフォン、タブレットが上昇している。また、「たとえばインドでは、パソコンを持たない、スマホファーストではなくスマホオンリーになっている」(川連さん)との状況もあり、今後、スマートフォンからのECでの購入は増えていくと考えられる。
強制的な会員登録がカゴ落ち率を高め、最終的には中小ECサイトの利用を減退させているのは、これまで見てきたとおり。だが、会員登録しないにせよ、購入するのに最低限必要な情報は、サイトに入力してもらわなくてはならない。スマートフォンのカゴ落ちを防ぐには、そのステップのユーザビリティを上げる必要がある。そこで注目なのが、2015年5月にリリースされたAmazonログイン&ペイメントや、全世界で1億7900万人が利用するペイパルのID決済だ。
「調査結果では、42%がID決済を利用した経験があるということで、もしかしたらID決済について勘違いされている方もいるかもしれないのですが、それにしても関心の高さが伺えます。ID決済は、簡単に、安全に、あっと言う間に購入でき、会員登録する・しないの選択もユーザーが行える。スマートフォンにおける最高のカゴ落ち対策ではないでしょうか。注目せざるを得ないかなと思います。もちろん、スマホサイトのフロントの最適化も重要です。ASPカートやパッケージのデフォルト設定のままにしておかないのはもちろん、実機で試さない制作会社さんもいるので、ぜひ徹底してください」(川連さん)