カインズが採用した『不正注文検知サービス O-PLUX』とは
カインズが導入した、かっこ社の『不正注文検知サービス O-PLUX』は、ひとことで言えば、ビッグデータの活用によって不正注文を事前に検知するサービスだ。統計分析手法を用いた独自のルールで、属性や「ふるまい」からあやしい注文を検知するほか、利用企業全体のネガティブデータベースを共有し、日々更新しているのが特徴。
『O-PLUX』の仕組みは非常にシンプルで、ECサイトで受注した注文データをアップロードすると、自動で「OK、NG、保留」の審査が行われるというもの。審査の基準は利用企業ごとに設定でき、そこで「保留」となったデータのみを担当者が目視で審査すればよい。
「僕がいいなと思ったのは、それぞれの企業ごとに異なる不正注文の特徴を、1つひとつ一緒にチューニングしてくれるところ。パッケージを導入して終わり、あとはEC事業者で運用してくださいだと、そのチューニングは不可能ですから」
実は竹永さん、通販業界歴は20年の超ベテランで、『O-PLUX』についてもサービス自体は知っていたという。ソリューションを見る目も肥えた竹永さんから見ても、魅力的なサービスだったわけだが、はじめに説明を受けてから実際に導入するまで、1年ほど時間がかかった。
「いろいろ検討や調整に時間がかかったというか(笑)。不正注文を100%防げるなら即導入してもよいとのことだったんですが、さすがにそれは難しいという説明だったので。ルールのチューニングで精度を高めていくという方法もあるわけですし。
人間の目で、目視でチェックするのと比べたら、工数としても大きな改善になるでしょうし、そもそもそのチェック作業を、人間がやることに意味があるのかという視点から説得しました。カスタマーサービスの部署の者が、毎朝、全件の注文をチェックしていましたからね」
『不正注文検知サービス O-PLUX』の導入が決まると、EC事業者がやるべきは、自社なりの「不正注文のルール」を設定することだ。
「そこは、カスタマーサービスの部署に一任しました。彼らが一番、困っていて、情報を持っているので、直接かっこさんに相談してもらうことにしたんです。家具や家電が狙われやすそうだから、あらかじめルールの中に組み込んでおく、といったアドバイスはしましたけれど。僕の仕事としては、不正防止率を具体的にどう上げていくか、KPIのような数値目標を作ることです。そこが握れるかどうかで、サービスを導入したことへの評価が決まってくるでしょうから」