サイト内検索は導入して終わりではない 安定運用の秘訣とは
萩原さんは、NTTレゾナントに相談した当初の様子をこう振り返る。
萩原 「何でも検索できるように」という当社の思想に興味を持っていただけたことが、強く印象に残っています。アパレルでこうした検索を実現した前例は現状ほぼ存在しないと当社は自負していますが、他業種でプロダクトとコンテンツの検索結果を同時に表示している実績を紹介いただき、実装イメージが容易にできた点も選定の決め手となりました。加えて、検討段階からエンジニアの方が打ち合わせに参加して、実現性や開発の進めかたを話してくれた点も心強かったです。
北岡(NTTレゾナント) シップス様はサイト運営にしっかりとした思想をお持ちで、やりたいことが非常に具現化されていました。それらを反映するにはデフォルトの検索機能を導入したり、要望にただ応えたりするだけでなく、技術面や運用面からもサポートする必要があると考えました。
サイト内検索は導入して終わりではなく、その後どう運用するかが成功を大きく左右します。シップス様に余計な負荷をかけることなく、安定した運用ができるかどうかは最初のすり合わせが肝心です。物理的な実装可否だけでなく、運用面での現実性を判断するためにも、当社では打ち合わせの初期段階から積極的にエンジニアを加えるようにしています。
導入決定後は、ECベンダーも加えた3社で週に1回程度の打ち合わせを実施。「やりたいことが明確でありながらも、実現方法がわからなかった」と語る萩原さんは、北岡さんをはじめとするgoo Search Solutionチームのサポート体制について、このように続ける。
萩原 こうした大規模な改修にはデータ連携も欠かせませんが、ECベンダーとの調整もリードしてくださり、エンジニアの方々の優秀さを感じました。私自身、デジタルに携わりながらも、システムにものすごく明るいというわけではありません。やりたいけれど技術的には現状難しい点に対して、ただ「できません」と伝えるのではなく、「こうすればできます」と代替案を提示してくれたり、場合によっては「こうしたほうがより効果を上げることができます」と想像以上の良案を提案してくれたりする。そんな柔軟性や堅実さに感心しました。
とくに印象的だったのは、ハッシュタグ機能を実装検討する際のやり取りです。SNSの普及にともない、「タグる」という行為が一般化しているため、SHIPS 公式サイトの検索においても実装したいと考えたのですが、その際に検索対象をハッシュタグのみにするのか、各コンテンツのタイトルや本文などのキーワードも含めるのか、どこまでを検索対象とするかで議論になりました。こうした議論はあらゆる可能性があるため、正解はないものと言えますが、サイトの特性や当社のお客様を踏まえてしっかりとした意見をくださり、コミュニケーションを取りながら進めることができたと感じています。
北岡 シップス様にももちろん予算があるため、いかに金額を抑えながらもやりたいことを最大限実現するかが鍵だと思っていました。今回は「検索結果をタブ表示する」という前提で開発が進んでいたため、最初にご要望としていただいていたオプション機能を見直して必要のないものは削り、オリジナル機能の開発にあてるといった調整も行っています。もっとも大事にすべきは「SHIPS 公式サイトのお客様にフィットするか否か」と考え、意見をお伝えするように心がけていました。
2021年9月にSHIPS 公式サイトのリニューアル自体は完了したが、goo Search Solutionを活用した検索の磨き込みはまだ始まったばかりと言える。収集したデータの活用やさらなる利便性を顧客へ提供すべく、萩原さんはこう意気込む。
萩原 データなしに実現するのは難しいという理由から、リニューアル時にあえて実装を見送った機能も存在します。これらは2次、3次フェーズという形で対応していこうと話しているため、お客様の動きを見ながらアップデートができればと思います。
北岡 シップス様とは、常に新しいことに取り組んで一歩前に進もうという共通認識を持ち、攻めの改修ができていると感じています。検索の磨き込みは、王道と言える取り組みを行うだけでなく、シップス様のやりたいことと、目の前にいるお客様の動きを見てフィットする形を見つけながら進めるものです。ご要望に対して、当社は今後もデータという裏づけを持って意見をお伝えしていきます。