オン・オフの行動データを「KARTE」でワンストップ連携
ナノ・ユニバースのDX施策について、2015年から参画しているのがプレイドだ。2011に創業し、2015年に顧客体験プラットフォーム「KARTE(カルテ)」の提供を開始しており、TSIはローンチ直後から導入しているという。KARTEは、リアル店舗で普通に行われているような人対人のコミュニケーションや接客をオンラインでも実現することを志向している。
顧客のリアルタイムな行動や感情を解析し、それに合わせた施策を配信するという考えかたに基づいている。ECサイトやアプリなどのオンライン上でKARTEが解析可能な情報(例:顧客がその瞬間に滞在しているページや流入経路など)とKARTEの外部で保持している情報(例:POSで保持している購買データなど)をKARTEで突き合わせすることで、顧客をセグメント分けし、現在ではオン・オフ問わずその顧客に合った施策を配信できるようになっている。
当初KARTEのセールスとしてTSIの施策に参画し、現在実装中のリアル店舗へのチェックイン体験施策においてプロダクトマネジャーを務める中野氏は、「KARTEでは、リアルタイムに顧客1人ひとりのデータを解析し、それを分析して人として可視化、実際のアクションまでワンストップでつなげていける。今回はさらにOMO的な文脈で、実店舗で顧客が体験する施策に還元するところまで進めている」と語り、「以前からナノ・ユニバース様にはKARTEを活用いただき顧客行動データを解析・蓄積していたが、2021年11月末のチェックインや店舗専用画面のリリースで、より顧客の体験を点から線として、パーソナライズされた価値を提供できるようになった」と述べた。
店舗専用のアプリ画面には、既存のチェックイン“来店スタンプ”機能が表示され、そこにスタンプを押して“チェックイン”することで、新たにさまざまな店舗専用ページが利用できるようになった。店舗専用ページには、店舗の情報と顧客の行動情報が紐づけられており、パーソナライズされた内容になっている。参照データとしては、ナノ・ユニバースが持つ「POSデータ」、KARTEで分析された「Web閲覧履歴」、商品マスター情報による「入荷日」、顧客自身が登録している「お気入り欄」などがあり、それらを掛け合わせていくことで、「店内のベストセラー」や「おすすめのコーディネート/アイテム」、「店内の新着商品」、「お気に入りの商品」などが表示されるようになっている。
中野氏は「これまでの店舗体験では、たとえばWebサイトでは当然表示されている『ベストセラー』も閲覧が難しかった。そうした情報の非対称性のようなところをうまく解消していくことも、この施策の狙いのひとつ」と語った。