CPAを左右する 運用で気をつけるべき3つのポイントとは
では、獲得目的でYouTube広告を開始して、適正なCPAで獲得するにはどうしたら良いのだろうか。肥田氏は、よく耳にする課題を次のように紹介した。
これらの課題は、抽象化すると大きく3つの課題にまとめることができる。
- 運用ベストプラクティス
- クリエイティブ
- 効果検証
上記のポイントを押さえれば、YouTube広告においてCPA改善を図ることができると言う。
まずは「運用ベストプラクティス」について、肥田氏は金融系企業がYouTube広告でCPA改善を実現した事例を紹介した。同事例は、クリエイティブなどに変更を加えず、YouTube運用のベストプラクティスを踏襲しているか否かで、どのようにCPAが変化するかを示したものである。設定踏襲前に7万円近いCPAは、踏襲後には約1万6,000円にまで改善、最終的には1万2,000円ほどまで改善が進んだ事例となっている。
「クリエイティブ以外を改善してもCPA改善につながりづらいと考える人も多く、見落としがちなポイントですが、運用のベストプラクティスは成果を左右する重要な要素になります。そして、運用のベストプラクティスで重要なのは『配信フォーマット』『入札戦略』『ターゲティング』の3つです」(肥田氏)
ひとつめの配信フォーマットについては「CV獲得目的の場合、『TrueViewアクション』を選択すべき」と説明した。広告の最適化対象は配信フォーマットによって異なるが、TrueViewアクションはCVしやすいユーザーに最適化して配信することができるためだ。
ふたつめの入札戦略では、TrueViewアクションの場合「tCPA(目標CV単価)入札」と「CV数最大化入札」のふたつが存在するが、機械学習の観点から後者がおすすめだと説明した。
「機械学習に必要かつ最適なボリュームは、1週間に35件以上のCVと言われています。入札戦略においても、この条件を満たせるようにフォーマットを選ばなくてはなりません。
CV数最大化入札は、その名の通りCV数の最大化を目的に配信が進むため、tCPA入札よりもCV数が増えるケースが多いです。そのため、初速においては機械学習を安定化させることを最優先に、CV数最大化入札で開始すると良いでしょう。tCPA入札への切り替えは、1週間あたり35件以上のCVを2週間以上継続して獲得できた際に検討するのがおすすめです」(肥田氏)
1週間あたり35件のCVを獲得する予算確保すら難しい場合は、「フォーム到達やサイト流入のクリック数といったマイクロCVも含めて必要なデータ量を担保すると良い」と肥田氏は続ける。このほかにも、入札戦略の重要点として機械学習の学習期間について言及。「学習には2週間程度必要なため、初速はCPAが高くなる可能性があるが、その間は大きな変更を加えないことを意識してほしい」と伝えた。
3つめのターゲティングでは、CV獲得目的の場合は「リマーケティング」と「カスタムインテント」から始めることをすすめると説明した。とくに後者は、過去7日以内に特定の語句を実際に検索したユーザーに広告配信が可能となっており、新規ユーザーへの配信ながら効率的に獲得ができるターゲティングとなっている。
最後に肥田氏は、カスタムインテントの注意点とともに、改めてベストプラクティスの踏襲が重要なことを次のように説いた。
「カスタムインテントでは300~500のキーワード数、もしくは月間100万imp以上が推奨値ですが、この値を下回って設定しているアカウントを多く見てきました。推奨値を下回るとCPAに悪影響を及ぼすため、ぜひ配信時には推奨値が満たされているか確認してみてください。
YouTube広告でもリスティングやディスプレイ広告同様に媒体が推奨する設定が数多く存在します。それらを踏襲するだけでも、先述した事例のように大きくCPAを下げることができますので、ぜひ1つひとつの設定を見直してみてください」(肥田氏)