夢や願望も含めて「やりたいこと」を洗い出す
これまでは、ブランド立ち上げ初期やShopify活用を検討している方、始めたばかりの方に向け、「Shopifyアプリ活用のメリットとビジネスの初動に役立つアプリ」や、「Shopifyでストア構築を行う前後で取り組むべきこと」についてお伝えしました。今回は、応用編としてShopifyアプリの機能をフル活用する方法やカスタマイズについての考えかた、Shopify活用の将来性についてご説明します。
Shopifyは、月額29ドルと比較的安価に利用できるプランから、エンタープライズ企業の販売に対応できるソリューション Shopify Plusまで取り揃えており、さまざまなフェーズの企業・ブランドがメリットを享受できるカートと言えます。拡張性が高い点に魅力を感じて選ぶ方も多いですが、立ち上げやリニューアル時に注意すべきポイント、つまずきがちなポイントから、まずは考えていきましょう。
ECサイトを1から立ち上げる、もしくは既存ECサイトをリニューアルする場合、皆さんはShopify活用の有無にかかわらず、要件定義を行うはずです。基本中の基本ですが、ここで必ず「やりたいこと」はすべて出し切りましょう。後から「あれもやりたい」「これもやりたい」となってしまうと、そこまで描いてきた地図を書き換えなくてはなりません。すると、さまざまな部分に綻びが生じてしまうため、この時点で夢や願望も含めた全体像を描いていきます。
なお、最初のリリース時に全部の要件を満たそうと気負う必要はありません。むしろ、夢や願望を含めている以上、初めから要件をすべてクリアすることは不可能です。そこで必要なのがフェーズ分けです。
ShopifyでのECサイト構築における重要なポイントは、上手にShopifyアプリを活用すること。最初は既存のアプリを活用して売りかたを確立し、売上や事業規模拡大とともに生まれる「かゆいところに手が届かない部分」を満たすために、Shopifyアプリのカスタマイズを行ったり、自社オリジナルの機能開発を外部に依頼したりする。こうした手順を踏むのが理想です。自身がどのような道筋をたどるべきか明確にするためにも、要件定義とフェーズ分けは時間をかけて行うことをおすすめします。
要件定義を行い、全体像が見えた後にShopifyアプリの選定を行います。ここで役立つのが、要件定義の際に提示した夢や願望にあたる項目。既存のShopifyアプリでもデザインに手を加え、各ECサイトにフィットした表示に整えることは、ある程度可能です。しかし、ロジック部分にまで手を加えたい場合は、Shopifyオリジナルのテンプレート言語 Liquidを用いた改修や、ShopifyやShopifyアプリのAPIを使った機能開発に着手するとよいでしょう。
私がこれまでかかわってきた案件では、「カート機能のカスタマイズをしたい」というご要望が多く寄せられていました。会員情報からロイヤリティの高い顧客を判別し、特別なディスカウントを行う、ある一定の条件を満たした顧客に向けノベルティーを配布する、ギフトラッピングにチェックが入っていた際に異なる注文指示を出す、といったように、企業・ブランドならではのサービス提供を行う際には、カスタマイズやオリジナル機能の開発が必要となります。