「グロース=ロイヤルカスタマーを増やす」 定義づけから着手を
前回の記事では、「Shopify×CRMの基本」について解説しました。今回は実際にShopifyを活用してCRMを行う際に必要なデータ活用の考えかたと、データ基盤構築の方法をお伝えします。
まずは、データ活用を進める際に必要な「グロース」の考えかたについてご説明しましょう。StoreHeroでは、「グロース=ロイヤルカスタマーを増やすこと」ととらえています。ロイヤルカスタマーの定義は、たくさんの商品(数量)を買ってくれる人、購入金額が高い人、購入頻度が高い人、注力商品を購入してくれる人など、企業・ブランドによってもさまざまです。自社で定義したロイヤルカスタマーの人数をひとりでも多く増やし、ビジネスを成長させる。これこそが、グロースの考えかたと言えます。
つまり、「売上を増やしたい」「ビジネスを成長させたい」と目標を掲げるのであれば、同時に「自社が考えるロイヤルカスタマーとは何なのか」という定義づけが必須です。「現時点で何人ロイヤルカスタマーがいるのか」「ロイヤルカスタマーになりそうな顧客はどの程度いるのか」を理解していない状態で突き進んでも、顧客にヒットする施策を行うことはできません。データ活用を始める場合は、必ず足元を固めるところから始めましょう。
その上で、ロイヤルカスタマーを見極めるために必要な情報が何かを洗い出していきます。商材により多少の変化はありますが、主な項目は次のとおりです。
- 顧客の流入チャネル
- どんな商品を見ているか
- 最終的に何の商品を購入しているか
- 性別
- 年齢
- 居住地
- 家族構成
こうした情報を収集できる環境を作り上げれば、顧客に対する解像度を上げ、反応をリアルに感じ取ることができるようになります。
すでに「自社のロイヤルカスタマーはこのような人だ」と想定していた場合も、実データをもって見返すとズレがあったというケースは多々存在します。たとえば「ロイヤルカスタマーは1,000人いる」と思っていても実際は100人程度であったり、「購入が多い40代女性がロイヤルカスタマーだ」と思っていても、実際に購入単価が高いのは30代女性だったりといったことは、往々にして起こり得ます。年間購入金額が10万円以上の顧客でも、すべて自分用に購入しているのか、ギフト用に購入しているかによってお薦めする商品は異なるはずです。こうした乖離がある状態で施策展開をしても、思うような結果を出すことは難しいでしょう。
「データ活用」という言葉を聞くと、つい「AI活用」「機械学習」といった最先端の技術を想像してしまいがちですが、まだ多くの企業・ブランドでは人間の力で定義づけをし、現状を把握するフェーズであると言えます。Shopify活用を進める際には、その点を踏まえて環境構築に取り組んでいただければと思います。