記事種別

ビジネスモデルイノベーションを生むX+Oとは 顧客起点の本質に迫る「SAP CX DAY 2019」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • プッシュ通知を受け取る
2019/10/29 11:00

サプライチェーン全体の顧客体験価値向上への取り組み

 冒頭の福田氏の挨拶でも取り上げられた「X」を担当するクアルトリクスからは、カントリーマネージャー 熊代悟氏が登壇。同社が提唱し、SAPとともに新たなソリューションジャンルとして築き上げようとしているのが「エクスペリエンスマネジメント(XM)」だ。

クアルトリクス合同会社 カントリーマネージャー 熊代悟氏

 まず熊代氏は、「顧客や従業員に対し最高のエクスペリエンスを発揮している」と回答したCEOが80%であるのに対し、顧客・従業員側で「最高のエクスペリエンスを体験している」と回答したのは8%という海外の調査結果が示す「エクスペリエンスギャップ」を紹介した。このエクスペリエンスギャップを埋めるのが、クアルトリクスのソリューションだと言う。

 より良いエクスペリエンスを提供したことによって成功し、市場のシェアを獲得した例として、Uberや中国のモバイル決済を紹介。このような革新的なエクスペリエンスを提供するには「積極的にお客様・従業員の声を収集し、分析を行い、改善アクションの実行を日々の業務として行うこと」が重要だと言う。Qualtricsは、それを支援するサービスである。

 Qualtricsは、主に「Research Core」「Customer Experience」「Employee Experience」「Product Experience」「Brand Experience」の5つの機能から成り立つ、調査プラットフォームである。 インテリジェンス分析機能IQシリーズにより、テキストや統計、予測分析を網羅し、即改善アクションにつなげられるのが強みだ。

 クアルトリクスは2002年に創業し、その後しばらくは主に大学など研究機関を主な対象としていたが、大学を卒業した人たちが企業に入社してからも利用したいとの声を受け、2010年に一般販売を開始したという経緯を持つ。2015年にアジアへ、2018年に日本に進出したばかりだが、導入企業はグローバルで1万社、日本でもすでに100社を超えると言う。

 今回のイベントテーマであるCXの視点で見ると、クアルトリクスの顧客の間ではNPSがブームになっているが、その取り組みには課題も少なくないと言う。

NPSのよくある間違い

  • いち側面のNPSスコアのみ測定し、経営判断に至っている
  • NPSのスコア値のみが、グローバルな社内環境でひとり歩きしている
  • 全体のスコアを分析するが、改善アクションにつながっていない
  • プログラム運用に企業の一部門のみしか活動していない
  • 実際にお客様とタッチポイントがある従業員への結果報告が数ヵ月後でかつ、全体結果の共有でしかない

 「実際は組織全体で測定・分析・改善アクション実行を運用し、お客様に対して、お客様のフィードバックが有効に改善されているかを、お客様自身に感じていただくことが重要だ」と述べ、QualtricsユーザーであるKDDI ソリューション事業本部 渡部友巌氏を紹介した。

KDDI株式会社 ソリューション事業本部 ソリューション事業企画本部
ソリューションマーケティング部 CS推進グループ グループリーダー 渡部友巌氏

 KDDI 法人事業のCX活動は、TCS(Total Customer Satisfaction)を掲げ、2012年~2015年は「J.D.Power 1位」をKPIに、2015年末からNPSも加える運びとなり、2016年からJDP1位を「キープさせていただいている」(渡部氏)のが現状である。

 NPSの推進にあたり、「調査手法の統一」「調査対象拡大」「お客さまフォローの導入」という3つの課題があった。ひとつ目の「調査手法の統一」については、TCSを掲げているからこそ、社内でさまざまな調査が進行していた背景から、リレーショナル(会社、人財、商品)調査に統一し、トランザクション手法を統一。「調査対象拡大」については、担当者が懇意にしている「聞きたいお客さま」から「すべてのお客さま」(除外対象者は除く)に変更。そして調査後の「お客さまフォローの導入」に関しては、批判的なお客さまにクローズドループを実施して徹底することになった。

 次のステップとして「NPS経営へ」。だが、ここにもふたつの課題があった。ひとつは「NPS調査統合とクローズドループの仕組み」であるが、これはさまざまな調査機能を網羅し、改善のアクションを日々行うことを目的としたソリューションであるQualtricsの導入により、解決できたと言う。

 ふたつ目の「経営陣に対するリソースを割く判断材料」については、NPSのスコアと売上・解約に明らかな相関関係があることを見える化し、幹部に提言。NPS推進を継続するべく、ソリューション事業本部長をトップとした体制も整えた。

 その結果、KDDIソリューション事業のNPS評価の推移は、2016年度1桁、2017年度1桁が、2018年度はマイナス2桁に。これは主に、NPS推進における課題だった「調査対象拡大」を改善したことで、真の姿が見えるようになったからだと渡部氏は言う。2019年度は、さらにNPSを拡大していくため中期計画に「NPS経営」を掲げ、NPSの方針に「NPS調査対象拡大」「クローズドループを強化」を記載し推進中。

 「サービスの提供開始時点から幸いなことにサブスクリプションモデルで行ってきました。これまでは獲得すること、社外調査課題を対策することに重きをおいてきましたが、これからは『守ること』についてはNPSをはじめとするデジタル施策で強化し、これまで以上にお客さま満足を強化していけたらと考えています」


  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • プッシュ通知を受け取る

関連リンク

バックナンバー

連載:ECホットトピックス

もっと読む

2016年02月の人気記事ランキング

All contents copyright © 2013-2020 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5