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ビジネスモデルイノベーションを生むX+Oとは 顧客起点の本質に迫る「SAP CX DAY 2019」

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2019/10/29 11:00

コニカミノルタの目指すビジネスの変革とカスタマージャーニー

 特別講演には、コニカミノルタ 常務執行役 仲川幾夫氏が登壇。同社は、2014年度から前中期経営計画「Transform2016」を掲げ、創業事業である写真フィルム・カメラ事業から撤退後、オフィスやプロフェッショナルプリント事業などB2Bビジネスモデルへの転換に成功、2017年度からは新中期経営計画「SHINKA2019」を掲げ、B2B2P(P:People, Professional)課題提起型デジタルカンパニーを目指し、邁進している。

コニカミノルタ株式会社 常務執行役 デジタルワークプレイス事業部
兼 DXブランド推進部 兼 IT企画部 担当 仲川幾夫氏

 課題提起型デジタルカンパニーの中核となるサービスが、複合機とオフィス内のITシステムを統合し、 働き方や業務改革を次世代へ進化させる統合プラットフォーム「Workplace Hub」だ。このWorkplace Hubの上市に向けて、コニカミノルタではカスタマージャーニーマップの再定義を行った。

「全社改善のリレーショナル調査は行ってきましたが、現場改善のリアルタイムなトランザクション調査が必要になると考えました。販売会社からは、なぜトランザクション調査が必要なのかという問いかけもありましたので、既存のお客様、離反したお客様へのオフラインのインタビューも行い、カスタマージャーニーを可視化していきました。あるトランザクションのペインポイントが離反の原因になっているという事実を明らかにし、販売会社の幹部を巻き込んで改善のアクションに結びつけていきました。トランザクション調査の調査回収にQualtricsを活用しています」

 最後に仲川氏は、企業の持つ顧客データを統合・分析、カスタマージャーニーを可視化することで顧客中心の事業改革を支える統合データプラットフォーム「カスタマージャーニーDMP」を紹介し、将来的には働き方改革や地域活性化にもつなげていきたい考えを述べた。

顧客起点のエクスペリエンスを創るデジタルトランスフォーメーション

 コニカミノルタ 仲川氏、SAP カッシアーノ氏をパネリストに迎え、SAPジャパン 富田裕史氏のモデレートにより、パネルディスカッションが行われた。

 前の講演で、コニカミノルタが「Workplace Hub」のリリースをきっかけにカスタマージャーニーマップの再定義を行ったとあったが、イノベーションを起こす際にはやはり再定義が必要なのだろうか(富田氏)。

「ITサービスはお客様を獲得して終了ではなく、その後も利活用していただくことでお客様にとっては価値になり、我々にとってはベネフィットになります。さらにデジタルが登場し、マーケティングの手法も大きく変わりました。お客様と直に接している現場も巻き込んだうえで、使い続けていただくことも含めた、カスタマージャーニーマップを再定義する必要があったのです」(仲川氏)

「顧客の獲得でなくLTVに注目し、長期的に使い続けていただくことで売上アップを図ること。製品だけでなく、サービスを売るモデルにシフトしていること。自分たちの顧客だけでなく、顧客のお客様も視野に入れ、お役に立とうとすること。これらがコニカミノルタのようにイノベーションに成功した企業の共通点であり、そうした企業を私はCXリーダーと呼んでいます」(カッシアーノ氏)

 イノベーションを起こそうとすれば、反対勢力も出てくるもの。そうした人たちも含めた、社内外の巻き込みかたとは(富田氏)。

「お客様とともに、イノベーション・ワークショップをやることもあります。時間と労力をかけ、お客様を巻き込んでいくことが重要なのではないでしょうか」(仲川氏)

「この仕事を始めた頃に、CIO(Chief Information Officer)に会いに行くと断られることが多かったのでやりかたを変えました。当時CIOは、財務面からリスクを軽減することを考えがちだったのです。そうではなく、スタートアップ企業のように一緒に創造するという姿勢にしたのです。ゼロリスクで20%程度の完成度のものを作り、テストし、うまくいきそうなら次の段階に進めるというものです。それを2年ほど続けると、反対勢力に抵抗されることも少なく、うまくいくようになりました。巻き込む相手には、価値を提案して感じてもらい、責任感を持ってもらうことが重要です」(カッシアーノ氏)

 日本のものづくり企業は、モノの提供からサービスの提供に変わろうとしている。そのイノベーションは、誰がリードするとうまくいくのだろうか(富田氏)。

「Workplace HubはIoT機器の統合プラットフォームであるため、各事業を横断する『IoTサービスPF(プラットフォーム)開発統括部』を設置しています。プラットフォームはあくまでツールであって、それを使って事業で利益を出してこそですよね。トップからは『SHINKA2019』のようなストラテジーが出されるけれども、現場の仕事は、事業部とプラットフォーム開発側がいかに協力してやっていくかだと考えています」(仲川氏)

「国によって方向性が異なりますが、CDO(Chief Digital Officer)かCIO(Chief Innovation Officer)がその役割を担います。サイロ型ではなく、エンドトゥエンドで見ることが重要です。そしてイノベーションには変化を信じ、自由な権限を持つトップのコミットメントが重要です」(カッシアーノ氏)

 ITにおけるエコシステムにおいて、外部パートナーとうまく連携するにはどうしたらいいのか(富田氏)。

「パートナー企業から見たコニカミノルタの魅力は、中小企業を中心とした顧客基盤。ぜひ一緒にやらせてくださいと言っていただけます。サブスクリプションで課金ができるモデルも、魅力に感じていただけるようです」(仲川氏)

「iPhoneを購入する際に、Apple Storeのような周辺のサービスも含めて購入しますよね。テクノロジーも単一のサービスを購入するのではなく、ネットワーク効果を期待してたとえばSAPのエコシステムを買うというふうになってきている。同一のエコシステムの上で同じターゲットに対して、たとえば小売とメーカーがチームで取り組むといったことで、万人にメリットがある形にすることができるでしょう」(カッシアーノ氏)


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