テクノロジーがテクノロジーを生み、足りない部分を補っていく
――“満足しきった生活者”の抱える課題に対して、テクノロジーをどう活用して、どのように解決できると思いますか?
テクノロジーはあくまで道具であり、環境です。ですから、テクノロジー先行型で考えるのではなく、顧客に何を提供するか?が先だと思います。テクノロジーを使いこなせていないというご相談をよく受けますが、課題ドリブン型でないと使いこなすのは難しいでしょう。
課題ドリブン型になるには、自社と顧客の課題を網羅的に抽出、ストックし、それらに重みをつけること。たくさんの課題を目の当たりにするのは宿題を山積みにするようですが、1つひとつ解決していきながらも、常に課題を溜め続ける作業を絶対にやめてはいけないんです。
そのうえでさまざまなテクノロジーに出会い、使いかたや事例を聞いた際に、「うちにも同じ課題があったな」「この課題解決にこのテクノロジーは相性が良いんじゃないか」と紐づく。課題が解決できそうな、1本の道ができるんです。テクノロジーを使いこなせるかどうかは、実際に使う前に勝負は決まっているんじゃないかと捉えています。
――テクノロジーについて、もどかしさやここが足りないと感じることはありますか?
主体者が誰かではないでしょうか。たとえばAIならば、どう使うかを主体的に考えるのはエンジニアのほうが良いと言われています。EC運用者側がAIで解決したいと考える課題が“省略化”だったとしても、AIの可能性はそれだけにおさまらないですよね。「いやいや、AIってもっとこんなことができるんですよ」とエンジニア側に言ってもらわないと、そのテクノロジーの可能性を活かしきれない場合があるんです。
ニュースを見ていると、たくさんのテクノロジーが出てきますよね。B2CだけでなくB2Bにおいてもニーズが多様化したことで、開発が複雑になり、テクノロジーを咀嚼したり、1つのツールがカバーできる領域では足りない部分を補ったりするための新しいテクノロジーが生まれています。つまり、テクノロジーがテクノロジーによって生まれている状態です。
たとえば、膨大な量のデータが取得できるようになり、処理も劇的に速くなりましたが、一方でデータを理解することが難しくなり、処理よりもビジュアルでの表現に重きを置いたテクノロジーが生まれたりしています。このような無限ループが起きていることを、もどかしいとか面倒だと感じる人もいるでしょうが、私はおもしろいと思います。
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