記事種別

CVRに固執しない施策が売上をアップさせる 三陽商会が取り組むレコメンドシナリオとは

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • プッシュ通知を受け取る
2018/07/31 12:00

「カートでの押し売りはしない」「空き時間に見たくなるサイト」
三陽商会流レコメンド活用の極意

――現在進めていらっしゃる、レコメンドに関する最新のお取り組みをお聞かせください。

花輪 現在A/Bテスト中なのが、商品詳細ページでのスクロール率が90%を超えた後に離脱する可能性の高いユーザーに対し、別の切り口の商品をレコメンドするという施策です。スクロール率が90%以上で離脱するということは、「ちゃんと見たけど欲しい商品ではなかった」と推測することができますので、別の切り口で商品をご提案するわけです。これは、WEB接客ツールと連動して実施しています。まだ実施期間は短いのですが、CVRはレコメンド施策を実施しなかったユーザーの1.8倍、購入金額も2倍近くと、高い実績が出ています。

なお、サンヨー・アイストアでは、「レコメンドの鉄板施策」とも言われるカート内でのレコメンドは実施していません。その代わりに、送料が発生してしまうユーザーに対して、送料無料になる金額に達するように促す「ご一緒にこちらの商品はいかがですか?」というレコメンドをカートへの投入金額や投入商品のデータを基に行っています。カートに入れた後に別の商品をレコメンドされても、場合によっては迷ってしまい、離脱してまう可能性もありますが、あと少しの金額で送料無料になるのであれば、ユーザーにとっても有益な情報なのではないかと思います。

安藤 カートでのレコメンドは鉄板施策ではありますが、購入を決め、決済まで進もうとしているユーザーを迷わせてしまう可能性もあると思います。良い意味で迷っていただく分にはありがたいのですが、結果として購買をあきらめられてしまうなら、あえてカート内でのオススメはせず、そのまま購入手続きをしていただくほうがいいという考えです。なお、デザインも含めたカート自体の表示方法と、カート内でのレコメンド表示の有無の関係など、色々とテストも検討しています。

――これからレコメンドを導入する企業さん向けに、アドバイスをお願いします。

安藤 導入目的をきちんと決めると成果が出やすいと思います。そのうえで、参考になりそうな事例をたくさんお持ちのベンダーさんに、検討時点で色々と質問や相談をしてみるのが良いと思います。目的を決めてツールを導入しても、想定したような成果が出ない場合もありますから、導入後にも色々と相談に乗っていただくことができ、迅速に対応してくださるところとだと、とてもやりやすいと思います。

花輪 他のサービスやツールとの連携がしやすいと、導入後の拡張性が出ます。レコメンドで言えば、サイト内、MA、WEB接客など、さまざまなツールと連携する可能性がありますが、それぞれ分けてしまうと、AIレコメンドの学習も浅くなりますし、設定業務やデータ連携なども煩雑になります。マーケティング担当者が運用しやすいよう、サイト内だけに限定しないレコメンドツールがオススメです。

そして、「じっくりと相談できるパートナー」というのも重要なポイントです。「アイジェント・レコメンダーは行動分析型のAIレコメンドエンジンです」。こう聞いただけで、単純にすごそうですよね(笑)。でも、実際に導入段階に入っていくと、「このページではどういうロジックのレコメンドにすれば良いのか?」など、細かい確認が必要です。そういった相談に腰を据えて向き合ってくれるパートナーを選ぶと、導入時はもちろん、導入した後のPDCAを回す際にも、しっかりとチューニングできる体制が整うのではないかと思います。

また機能面でも、「アイジェント・レコメンダー」は管理画面がそのままレポート画面になっているため、社内で「この施策の成果は?」と突然聞かれても、即答することができます(笑)。データを落として、加工してレポートにして、という手間が省けるので非常に便利です。

――レコメンド施策について、また今後のEC運営の展望についてお聞かせください。

花輪 ECサイトでは、お客様にとって最適な商品により早く出会っていただきたいと思っています。その一環として、シルバーエッグさんにご協力いただきながら、サイト内のA/Bテストに取り組んでいます。レコメンドを表示しているエリアで、シーン毎にどのようなレコメンドロジックがより効果があるのかを比較し、精度を上げていこうと思っています。

安藤 EC全般について言えば、スマホが中心になっている現状を考えると、「ちょっとした空き時間に見たいサイト」にならなくてはいけないと考えています。レコメンドによる探しやすさ、見つけやすさも重要ですが、お客様が頻繁にサイトに来たくなる理由がなくていけない。そのための施策のひとつとして、コンテンツの充実にも取り組んでいます。自社のウェブマガジンである「SANYO StyleMAGAZINE」とECサイトのコンテンツをうまく連動させて、メディア的な機能も持つECサイトにしていく。そして、お客様がふらっと立ち寄ったときに、そのお客様が見たいコンテンツや商品が表示されるようにしていきたいと思っています。

最初は購入目的でなくても、サイト内のページをいくつか見ているうちに、買いたい気持ちが盛り上がってくることがあると思います。従来は、確度の高いお客様に広告を当てて、サイトに来ていただいたらすぐにコンバージョンしてもらうというような設計を重視していました。もともと購入意欲が高いお客様に対して、その精度も高めていく施策ですが、今後は、ライトなユーザーの滞在を長くする工夫も必要だと感じています。レコメンドなどを活用して、コンテンツを読みたい方にはコンテンツを、今すぐ商品を探したい方にはしっかりナビゲートする。そういったことをやっていきたいと思います。

また、弊社は実店舗も持っており、2015年にはECと実店舗の会員データを統合しました。今後はECサイトだけでなく、店舗での接客時に、店舗のスタッフがレコメンド機能を活用できるような仕組みも考えていきたいと思っています。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • プッシュ通知を受け取る

バックナンバー

連載:ECで困ったらまずこの1冊!ECzine編集部がおくるEC駆け込み寺~今さら聞けないCVRアップ術~

2018年09月の人気記事ランキング

All contents copyright © 2013-2020 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5