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「4ヵ月間で価値を再確認した」 GIFTFUL 飯髙氏がギフト市場の可能性と拡充すべき体験を考察

 冠婚葬祭などのイベントが多数中止・延期されたコロナ禍。思うように集えない、会えない中でもお祝いや感謝の気持ちを伝えたい人々は、ソーシャルギフト・eギフトに活路を見出した。この数年で、利用者だけでなくサービス提供・導入事業者も増える同市場へ、受取手が「選び直せる」という新機軸をもって2023年4月に参入したのが、「GIFTFUL(ギフトフル)」だ。創業者の一人である株式会社GiftX 代表取締役 飯髙悠太氏に、ユーザーの動きや生の声に触れた上で発見・再確認した今後のギフト市場の可能性について話を聞いた。

「便利さだけで追求していいのか?」 自問自答から生まれたGIFTFUL

 「おめでとう」や「ありがとう」の気持ちをものに託して伝えるギフト。商材と需要がマッチすれば、事業者にとって売上を底上げする可能性が大きな領域といえる。しかし、贈り手・受取手の思考に目を向けると、「喜んでもらえるか」「何が欲しいかわからない」といったように迷いや悩みが購入の見送りにつながったり、「気持ちはありがたいが、不必要なものをもらってしまった」など後ろめたい気持ちを生んでしまったりと、相手を思いやるがゆえの難しさがあるのも事実だ。

 そんなペインポイントを解消するのが、2023年4月に生まれた選び直せるソーシャルギフト「GIFTFUL」だ。飯髙氏は、前職ホットリンクの同僚 石塚悠悟氏と2022年6月にGiftXを創業。「起業思考はあまりなかった」と振り返りながらも、大きな決断をした背景にはコロナ禍の経験があったと説明する。

「初回の緊急事態宣言時、先行きが不透明な中で様々なビジネスパーソンと議論しましたが、みんな口を揃えて『アフターコロナの世界は、“元通り”になるわけではない』と語っていました。

 また、働き方や暮らしを含め様々な面でDXが進むと同時にメンタルバランスを崩してしまう人が増えるなど、社会課題と向き合う機会も増え、『便利さだけを追求していいのか? 人の温かみが伝わることは重要じゃないのか?』と、改めて考えさせられたのです」

株式会社GiftX 代表取締役 飯髙悠太氏
株式会社GiftX 代表取締役 飯髙悠太氏

 テクノロジーが急速に発展する中で、「人の温もりや感謝の気持ち、思いやりなど、なくしてはいけないものまで失われている気がする」と危惧した飯髙氏は、同様の考えをもつ石塚氏と意気投合し、起業を決意。「人」軸で世の中に不足するプロダクトを考えていったが、最初はBtoCのサービスを想定していなかったという。

「僕らはこれまでBtoBビジネス支援に数多く携わってきました。その経験から、創業当初は企業の採用課題解決など異なる方向性のプロダクトを検討し、テストマーケティングも行っていたのです。しかし、独立直前の2022年春に改めて課題の洗い出しをしたところ、『人と人との関係性から生まれる選択』に目が向きました」

 社会課題解決に貢献するには、失われているものの大切さと向き合い、世に気づいてもらうアプローチをしなければならない。たとえば、プロダクトやサービスを選ぶ際に、今はAIによるレコメンドなど便利かつ的確なアドバイスをするものも増えているが、飯髙氏は選択する際に「●●さんが薦めているから」「●●さんが担当しているプロダクトだから」といった「人間的な感情」を加味していることに気がついた。そこから思考した結果、行き着いたのがギフト市場だ。

「eコマースの力を借りれば、物理的に遠くにいて会えない人やコロナ禍のようにやむを得ず会えない状況下でも、相手のためにギフトを選び、想いを伝えられます。これは、対個人だけでなく法人向けにもビジネス機会創出、既存関係の維持などの側面から貢献できる領域だと考えました」

理想から逆算して「選び直し」に行き着いた

 「人の温もり」という失いたくないものからギフト市場に活路を見出した飯髙氏だが、既に市場にはカタログギフトや金券を主に扱うeギフトなど、様々なサービスが存在している。こうした先を行くプレーヤーにただ追随しても、世の中にイノベーションは起きない。そう考えた飯髙氏は、差別化を図るために「相手を想う気持ちやサプライズ精神といった温もりを引き立たせる方法に着目した」という。

「『この人はこんなアイテムが好きだろう』と想像しながらお店へ足を運び、商品を選んでサプライズで渡す。これがギフトの醍醐味であり、理想形です。しかし、『関係性がそこまで濃くないので、相手が望むものを選べない』といったケースもあるでしょう。こうしたギフトを贈る際の障壁をどうやったらなくせるか考えた結果、GIFTFULでは『選び直せる』という選択肢を用意しました。

 『想いを込めてギフトを選ぶ』という温かさを残しつつ、『受取手が望むものを手に入れられる』という選択肢を提示する。その先には、コミュニケーションが生まれます。あるべき未来から逆算した結果が、『選び直せるギフト』だったのです」

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この記事の著者

景山 真理(カゲヤマ マリ)

フリーランスのライター。EC店舗、タウン情報誌制作会社、マーケティング支援企業などへの勤務経験を経て、ウェブメディアや雑誌をはじめとする紙媒体のライティングの仕事をしています。専門領域はデジタルマーケティング、コンテンツマーケティング、ECのセールスメルマガ、仕事・働きかた、デジタルトランスフォーメーションです。 ウェブ●Mari Kageyama Writing Works

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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