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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

D2Cブランドから学ぶ、進化するBX(ブランド体験)(AD)

【バルクオム×wevnal対談】D2C×AI活用は勝算あり?成長する組織の行動規範と接客思想に迫る

 多くのD2Cブランドが生まれ、熾烈な競争が繰り広げられる現代。顧客から継続的な支持を得てブランドとしても成長し続けるには、購買体験のみならず、購買後のコミュニケーションも含めた「BX(ブランド体験)」の磨き込みが欠かせない。BXプラットフォーム「BOTCHAN(ボッチャン)」を提供する株式会社wevnal 代表取締役の磯山博文氏が、D2Cブランドに商品開発や顧客交流に対する思いや今後の展望を聞く当連載。今回は、株式会社バルクオム Domestic SBU/LTV Div./Division Managerの西部好範氏に、同社のCRM戦略や組織文化について話を聞いた。

支援側では変革できないもどかしさからバルクオムへ

磯山(wevnal) 西部さんは、バルクオムさんでCRM領域の統括を行っているとのことですが、日々どのような業務に携わっているのでしょうか。

西部(バルクオム) 肩書きの「Domestic SBU」は、国内販売部門を指します。そこでDivision Managerとして、主に自社ECのCRM、カスタマーサービス、データ分析まわりを担当しています。

磯山 バルクオムさんに参画したのは2023年だとお聞きしましたが、それまでもeコマースやデジタルマーケティング、CRM領域のお仕事をされていたのでしょうか?

西部 テレビショッピングを手がける企業で通販領域の経験を積み、一度はコンサルティング側に回りました。そこで多くの企業支援に携わりましたが、支援側の立場だと改善するにも限界があると気づいてしまったんです。

 たとえば、新規獲得チームとCRMチームの間に分断が生じるような組織形態になっていたとします。支援側から見ると、BX(ブランド体験)向上に向けて一本筋の通った施策ができるよう、「組織変革をしたほうが良いですよ」とアドバイスはできますが、それを実行するかは各社次第です。こうしたもどかしさを経て、「そろそろまた事業会社側に戻りたいな」と思っていたところで縁があり、バルクオムへの参画を決めました。

株式会社バルクオム Domestic SBU/LTV Div./Division Manager 西部好範氏

「自社ECの顧客を大切に」を形にしたマイレージプログラム 

磯山 実際に入社してみていかがですか? 支援側に立ち、様々な企業の課題と直面してきたからこそ見えるバルクオムさんの強みもあると思いますが。

西部 バルクオムでは、製品開発からブランディングやクリエイティブ制作、顧客に製品を届けた後のCRMまで、D2Cブランドとしてすべてを社内で完結できるような組織作りがなされています。

 また、国内販売部門の中にビジネス戦略の専門部隊を有しているのも特徴です。このチームは、日常的に各チャネルのマーケティング動向を追い、リサーチした結果を基にバルクオム全体の戦略を立案してくれます。僕が見てきた限り、この社員規模でここまで一貫性した体験作りに専念できるチームがある企業は知りません。だからこそ、強いブランドメッセージや施策展開ができるのだと痛感しています。

磯山 「世界のメンズビューティーをアップデートする」というビジョンと、「メンズスキンケアブランド世界シェアNo.1」というミッションを掲げ、創業から10年で今や海外進出まで実現しています。いわば「成熟期」といえる状況かと思いますが、創業期から変わらぬことや現在直面している課題について、お聞かせください。

西部 製品の展開は「THE BASIC」というブランドコンセプトに基づき、各カテゴリー1製品で勝負するようにしています。絞り込む分、誰が使ってもクオリティーが高いと思えるものを提供する考えは、創業当初から変わっていません。

 これまでは、良い製品を作るプロダクトアウトの考え方と、マーケットインの発想を取り入れた認知施策が功を奏して市場拡大に成功してきました。次のステップとして「認知はしているが未購入」の層に対し、どうアプローチしていくかが課題です。アーリーアダプターからマジョリティ層に認知が広がる中で、どうすれば購買のキャズムを超えていけるか。向き合わなければならないポイントの1つと思っています。

磯山 定期コースの顧客に向けた「マイレージプログラム」も好評だと聞いています。こちらについても教えてください。

西部 CRM領域を管轄する立場上、起点となる新規顧客増だけでなく、既存顧客のロイヤル化も大きな課題であることは間違いありません。そこで、バルクオムでは定期コースのご購入金額の10%をマイレージとして還元しています。

 こうした施策は定番化していますが、多くの企業は貯まったポイントを購入金額から差し引くといった、値引施策に利用しているケースが多いでしょう。しかし、バルクオムではポイント保有者しか受け取れないオリジナル製品への交換など、ブランド体験向上や愛着醸成につながる設計を施しています

磯山 それはやはり「自社ECで買ってくれる顧客を大事にしたい」という想いからなのでしょうか?

西部 そうですね。バルクオムの製品は既に自社ECだけでなく、モールやリアルチャネルなど、いろいろな場所で手に取れますが、D2Cブランドとしてはやはり「直接交流できる顧客」を最も大事にしたいと思っています。そのため、自社ECの定期コースが常に最安値であり、充実した顧客体験を享受できる手段であるよう設計しています。マイレージプログラムは、その体験をより深みあるものにする重要な取り組みです。

「LEAN」と「DEFINE」がバルクオムの強みに

磯山 組織の強みについて話す中で、CRMを統括する西部さんから新規獲得の話が出てくる意外性も少々感じました。バルクオムさんでは、組織の分断を解消するためにあえて担当領域の重なりを作るようにしているそうですが、その意図を教えてください。

西部 部署ごとに役割は異なりますが、D2Cブランドで働く全員が持つべきビジネス視点は「LTVをいかに上げるか」です。そのため、代表取締役CEOの野口(卓也氏)も基本的にLTVをベースに会話ができるような目標設計や呼びかけをしています。CAC(顧客獲得コスト)を追うだけでなく、最終的にそれらが利益創出や顧客のLTV向上につながるのか。これらをしっかりと議論できる環境が整っているのも、バルクオムの強みだと思います。

磯山 やはり、トップからの呼びかけは大事ですね。

株式会社wevnal 代表取締役 磯山博文氏

西部 また、バルクオムでは最小限のアクションでファクトを積み上げ、仮説の精度を高める「LEAN(リーン)」と、施策や期日を明確にするよう呼びかける「DEFINE(ディファイン)」を「THE SPIRITS(行動規範)」として掲げています。ミーティングの中でも「それはLEANだね」「もっとDEFINEして」といった議論が日常的にされていて、高速にPDCAを回す文化が浸透しているのも特徴です。

磯山 「THE SPIRITS」が文字通り「精神」として定着しているのですね。社歴が浅いメンバーがいきなりLEANとDEFINEを実行するのは難しい気もしますが、そこに対して何か工夫していることはありますか?

西部 情報の透明化は意識しています。LEANとDEFINEを重ねるには余計なコミュニケーションコストを削減すること、そして自ら調べれば欲しい情報へクイックにたどり着ける環境が欠かせません。そのため、打ち合わせ用のスライドから売上についての資料までクラウド上で共有し、基本的には社員全員が欲しい情報を得られるようにしています。

磯山 社内の慣習を知らない新卒や、過去事例をリアルタイムで目にしていない中途社員でも自分なりに仮説を立てて動ける環境があるということですね。

西部 そうですね。僕も入社したばかりの身だからこそ、非常に風通しの良い環境だと感じています。また、権限委譲の範囲も明確なので「これは自分が判断して良いことなのか」といった迷いが生じない点も、素早くLEANとDEFINEができる秘訣だと思います。

学習データが豊富なD2C AI施策の勝算はどこにある?

磯山 素早さといえば、wevnalから「BOTCHAN AI」の提案をした際も、すぐに「一緒にやりましょう」といっていただけたのが印象的です。西部さんは、LTV向上に向けた体験設計やツール選びで何を重視しているのでしょうか。

西部 ブランドを体現しつつ、手厚い接客を提供できるようなコミュニケーション設計を意識しています。そのため、問い合わせ手段は顧客との双方向性がある電話とLINE、チャット接客を中心とするのが望ましいと考えました。

 しかし、24時間対応の難しさや社会全体の人手不足なども考慮すると、すべてを有人で対応するのは非現実的です。「どのようにして効率化するか」と考えた結果、バルクオムでは「最新ツールを使い倒そう」という結論に行き着きました。そして様々なツールを比較検討し、24時間365日の問い合わせ対応は「BOTCHAN AI」で実現し、継続を呼びかけるコミュニケーション設計には「BOTCHAN Keeper」を、注文時の顧客の利便性向上、受注改善には「BOTCHAN Payment」を採択しています。

磯山 ChatGPT活用は、当社が提案する前から視野に入れていたのでしょうか?

西部 世間でChatGPTが話題になる前から、社内でAIに関心の高いメンバーが自発的に実験を重ねていました。当社はD2Cで、製品と顧客に関するデータを社内で保持しているため、学習させるデータは既に大量に存在する状況です。LPの文言作成や顧客対応など、様々なジャンルのプロンプトを作成する中で、AI活用をすべきという認識は高まっていました。

 しかし、バルクオムの製品には薬機法が絡んできます。この制約がある以上、すべてをAIに委ねるのは難しいと思っていました。仕組み化して対応するのも不可能ではないですが、自社だけで完結するのはリソースの関係上難しい。そう思っていたところでwevnalさんからご提案いただき、「これは迅速に着手すべきだ」と判断しました。EC業界に特化したサービスを提供しているwevnalさんだからこそ、リスクヘッジも考慮したAI活用ができるのではと期待しています。

AI×人の力で次世代コンタクトセンター実現へ

磯山 接客にAIを取り入れてみて、既に感じている手応えはありますか? CRMに活かせそうなポイントや、今後の展開として検討していることがあれば教えてください。

西部 2023年6月にwevnalさんからプレスリリースを出した後は、「おもしろいことをしている」といったUGCが発生し、社内でも盛り上がっていました。バルクオムの顧客にはデジタルリテラシーが高い方も多く、相性が良いのではと予想していましたが、この読みは当たったようです。

 しかし、「BOTCHAN AI」により実際に顧客満足度がどれだけ向上したのか、解約率の低下やLTV向上につながっているのかといった数字面での検証は、時間をかけて行う必要があると考えています。定期開催している顧客アンケートやヒアリングで実態を把握し、より良い活用法を模索したいですね。社内では「“バルクオムの人格”を盛り込んだ接客を実現したい」といった声も上がっています。

磯山 有人対応とAI対応の棲み分けは、どのように考えていますか?

西部 私は、「人にしか生み出せない体験の追求」と「効率化に向けた自動化」は別軸で取り組むべきだと考えています。今後、AIが世の中に浸透すればするほど、人は必然的に自身の存在価値と向き合う機会が増えるでしょう。バルクオムではAIで効率化できる分、人による次世代のコンタクトセンターの在り方を模索しようとしています。たとえば、当社ではまだ肌悩みの相談に乗れるような窓口やVIP専用ダイヤルの開設などはできていません。しかし、AIを使って既存の顧客対応工数が削減できれば、こうした新たな価値提供も実現できるはずです。顧客が便利さを感じられる形で、人とAIをフル活用していきたいと思います。

磯山 「ツールをどう使うか」ではなく、あくまで「顧客のとらえ方」が主軸ということですね。

西部 バルクオムを利用するメイン層は、20代から30代の男性です。新しいサービスへの感度が高く、ライフステージとともに変化し続ける方々に合ったサービスは何か。どのような形でテクノロジーによる効率化と、人による細やかなサービスをアウトプットすべきか。常に自問自答し、新たな策を講じなければならないと考えています。

 また、今後より認知を高めていくには、ブランドキーワードである「FAME(Fashion、Art、Music、Entertainment)」をフックとした価値提供の追求も欠かせません。さらに驚きや楽しい気持ちを与えられるようなイベント開催、特別な体験提供などを1つずつ形にしていく予定ですので、ぜひともご期待ください。

ChatGPT搭載でオンライン接客の自動化を実現する「BOTCHAN AI」

BOTCHAN AI」は、オンライン上のユーザー接客を自動化することでカスタマーサポート業務のコストをカットし、ユーザーへのパーソナライズレコメンドでCVRを最大化させます。膨大なコミュニケーションデータからユーザーのペルソナ解像度を高めることで追客支援を実現し、LTVを最大化させます。

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提供:株式会社wevnal

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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