社内では見抜けない!インフルエンサー起用時のリスクを本人確認(eKYC)で発見
千葉氏と遠藤氏が挙げるように、eコマースには利用者が直接見えないからこそ起こりやすいトラブルがある。これらのトラブルを未然に防ぎ、企業としての信頼と売上を守るため、C ChannelはTRUSTDOCKのeKYCサービス導入を決めた。
「当社では、インフルエンサーマーケティングだけでなく、企業とインフルエンサーをマッチングするサービス『Lemon Square』を提供しています。たとえば、大手化粧品メーカーがSNSを通じて商品をプロモーションする際、Lemon Squareに登録しているコスメや美容を専門とするインフルエンサーに依頼します。以前はアイドルやモデルの起用が一般的でしたが、最近は商品を届けたい顧客にとって身近な存在がプロモーションしたほうが、効果が出る傾向にあるからです」(遠藤氏)
商品のプロモーションを左右するインフルエンサーの起用時に必要となるのが、eKYCのプロセスだという。
「プロモーションへの対価を支払うインフルエンサーだからこそ、限定商品を転売されないように本人確認をする必要があるのです。当社ではTRUSTDOCKのeKYCサービスを利用し、依頼するインフルエンサーのリスクチェックを事前に行っています。
実際に、自分で調べた上では信頼できると判断していたインフルエンサーでも、リスクチェックでヒットし、アラートが挙がることがあります」(遠藤氏)
サービス導入以前のC Channelは、インフルエンサーから個人情報を収集し、システムのオペレーション担当者や法務担当者などが本人確認を実施、社内に情報伝達をする仕組みであった。オンラインで完結するeKYCは、こうした「管理体制の改善にも役立つ」と千葉氏は話す。
「本人確認には、煩雑な管理や情報漏洩の危険がつきまといます。eKYCの導入は単に本人確認をデジタル化するのではなく、情報を一元管理できる、セキュリティの強度を高めるといったメリットもあるのです」(千葉氏)
eKYC導入のメリットは、企業側だけのものではない。競争の激しいインフルエンサーにとっても、身分証を用いて本人確認をすることで信頼を獲得し、企業から継続的に起用されるきっかけとなる。
安全性の高いインフルエンサーの起用や情報管理を実現するにあたって、TRUSTDOCKのeKYCサービスを選んだ理由を遠藤氏はこう語る。
「導入が容易だったことが決め手の一つです。システムの組み込みでは、複数用意されているAPIを各種サービスに合わせて使い分けられますし、マニュアルも理解しやすいです。導入に向けたミーティングも少なく実装できました」(遠藤氏)
TRUSTDOCKのeKYCサービスでは様々な種類のAPIが用意されているが、導入企業の学習コストを減らすため、仕様をできるだけ揃えている。加えて、運用を始めてからも業務プロセスが簡略化され、工数の削減につながる。
「当社の場合は定期的に監査が行われます。その際に、『本人確認は実施していますが、データは保持していません』と回答ができると、リスク判定が低くなります。つまり、これまで手間をかけていた監査やデータ管理がスムーズになるのです。
その他、手動での対応が必要な業務は月に数件でした。たとえば、住所の表記が統一されていない場合にはアラートが出ます。アラートが出た部分のみ対応すれば良いため、運用の負担も少ないです」(遠藤氏)
TRUSTDOCKでは、身分証の画像や顔写真などの個人情報を、導入企業が保管せずとも確認できる。業法に保管義務が定められていない場合は、これにより社内の事務作業の簡略化に加えて、サイバー攻撃の防止などセキュリティへの対応までカバーしているのだ。