eコマースで発生するトラブル 本人確認で防止が可能なものも
何らかのサービスを利用する際、本人確認を求められることがある。オンライン上のサービス利用時に、顔写真や身分証の写真を撮影してアップロードした経験がある人も多いだろう。では、そもそも本人確認にはどういったものが含まれるのだろうか。
「本人確認にも様々な種類がありますが、大きくは『身元確認』と『当人認証』に分類できます。IDやパスワードによるログイン、さらにはアパートの部屋に鍵を使って入るのも、当人認証の一つです。
ただ、どれだけ当人認証をしても詳しい属性まではわかりません。そこで有効なのが、身元確認です。運転免許証やマイナンバーカードなど、一点だけ発行される身分証を用いて本人かどうかを確認します。
身元確認と当人認証を組み合わせることで、本人確認の強度も変わります。身元確認は実際の身分証で行い、当人認証はSMS認証を行うなど、組み合わせて使うことで確認のレベルを上げられるのです」(千葉氏)
こうした本人確認をオンライン上で行う技術がeKYCだ。eコマースでは、決済時のクレジットカードの不正利用や個人情報の漏洩の懸念がある。フリーマーケットなど二次流通も増えており、eKYCの需要は高まっている状況といえるだろう。
インフルエンサーマーケティング事業などを展開するC Channelでも、eKYCの必要性を実感しているという。
「当社でも、古物買取や二次流通におけるトラブルに課題がありました。たとえば、クライアントから預かった商品が不正に別のマーケットプレイスで出回ってしまう、プロモーションのためにインフルエンサーに貸した商品が返ってこないといったケースです」(遠藤氏)
遠藤氏の挙げたトラブルに加え、高額商品の販売、アパレルをはじめとする商品のレンタルにおいても同様だと千葉氏は補足する。
「たとえば、限定商品を多く扱う『プレミアムバンダイ』では、ユーザーアカウントの本人確認に、当社のeKYCサービスを導入しています。最近ではレンタルやサブスクリプションサービスも増えており、前出した商品を返却しない、他の人に売ってしまうといったトラブル防止にもeKYCの活用が進んでいます。
さらにマーケットプレイスでは、出品された商品が偽物であることも少なくありません。そのため当社では、個人だけでなく法人確認まで行っています。eコマースやプラットフォームサービスにおいて顧客確認のデューデリジェンス(リスクリターンの把握調査)は、今後ますます重要度が高まってくると感じています」(千葉氏)