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おさえておきたいEC・通販先進企業

非家電にも注力のビックカメラ|企業の歴史や事業内容・最近の流れをひも解く


 ビックカメラといえば大手家電量販店ですが、非家電製品の取り扱いにも注力しています。DXを推進し、オフラインとオンラインを連携させた新たな価値の創出にも取り組んでいます。今回は、ビックカメラの基本的な特徴や最近の動向について紹介します。

 ビックカメラはターミナル駅を中心に出店している家電量販店であり、さまざまなジャンルの家電を取り扱っています。特にカメラやPC、スマートフォン関連で強みを持っており、現在は非家電製品にも注力しています。

 本記事では、ビックカメラの企業情報や事業内容、ほかの家電量販店と違ってどのような部分に特徴があるのかを解説します。

株式会社ビックカメラの企業情報・事業内容の概要

 ビックカメラの特徴を知るために、企業情報や事業内容などの基本的な部分から見ていきましょう。

株式会社ビックカメラの企業情報

 株式会社ビックカメラの企業情報は、次のとおりです。

社名 株式会社ビックカメラ
本社所在地 東京都豊島区高田3-23-23
設立年月日 1980年11月(創業は1978年5月)
代表者名 代表取締役社長 木村一
株式公開 東証プライム市場上場
資本金 259億2,900万円
おもなグループ会社

株式会社コジマ

株式会社ソフマップ

株式会社ビック酒販

豊島ケーブルネットワーク株式会社

日本BS放送株式会社

東京カメラ流通協同組合  など

 ビックカメラの2021年8月期連結売上高は約8,340億6,000万円と、国内でも有数の家電量販店です。事業所は2022年6月現在、全国45店舗展開しています。

株式会社ビックカメラの事業内容

 ビックカメラはカメラ店から事業をスタートしている経緯から、カメラの販売に強みを持っています。ほかにも、ビジュアル製品やオーディオ製品、PC・OA機器、携帯電話、家電製品、時計、ゲーム、メガネ、コンタクト、医薬品、玩具、スポーツ用品、寝具、酒類などの販売を行っています。

 同業他社であるヨドバシカメラも、PC・スマートフォン関連に強みを持っていますが、ビックカメラでは医薬品や酒類などの販売にも力を入れており、家電以外の部分でも取り扱うジャンルを増やしているところが特徴といえます。

株式会社ビックカメラの沿革

 ビックカメラがどのような企業であるかを把握するために、企業の沿革についてもおさえておきましょう。ビックカメラの沿革をまとめると、次のとおりです。

年代 沿革
1978年5月 創業
1980年11月 株式会社ビックカメラを設立
1992年9月 池袋本店を開店
1992年12月 ビックポイントカードを導入しポイントサービスを開始
1999年12月 日本ビーエス放送株式会社(現在の日本BS放送株式会社)がBSデジタルデータ放送を開始
2001年12月 株式会社ビック酒販を設立
2003年10月 インターネットショッピングサイト「ビックカメラ.com」を開設
2005年1月 株式会社ソフマップと資本業務提携
2006年2月 株式会社ソフマップを子会社化
2006年8月 ジャスダック証券取引所に株式を上場
2008年4月 環境省の「エコ・ファースト制度」第1号に認定される
2008年6月 東京証券取引所市場第一部に株式を上場
2010年1月 株式会社ソフマップを完全子会社化
2011年8月 ドラッグ事業を有楽町店で開始
2012年6月 株式会社コジマを子会社化
2017年6月 子育て支援のための都市型立地保育園「BIC KIDS」を開設(東京都)「ビックカメラAKIBA」を開店
2021年6月 コーポレートベンチャーキャピタル「ビックイノベーションキャピタル」を創設
2022年4月 コンシューマー製品の修理を行う株式会社東京サービスステーションを吸収合併

 株式会社ビックカメラは創業40年以上の歴史ある企業です。日本各地の主要ターミナル駅に出店しており、多くの人通りが見込める場所に大型店舗を開店する傾向が見られます。

 そのため、駅を利用する人であればビックカメラの看板を目にする機会が多くなるので、おのずと宣伝効果を高めているといえるでしょう。

株式会社ビックカメラの強みや特徴

 株式会社ビックカメラは家電量販店ですが、非家電分野の取り扱いにも力を入れています。同業他社にはない強みとなる部分や特徴について見ていきましょう。

株式会社ビックカメラのおもなビジネスモデルと強み

 家電量販店は従来、大量の商品を低価格で販売することに強みがありましたが、近年の国内需要の縮小とEC需要から、ビジネスモデルの変革が迫られているといえます。

 このような背景から、大都市ターミナル駅前に大型店舗を出店することを事業基盤としていた株式会社ビックカメラでは、店舗販売と並行してECサイト「ビックカメラ.com」の運用にも力を入れています。

 「ビックカメラ.com」は一律送料無料を掲げていましたが、2020年10月21日よりこれを改定し、税込み2,000円以上購入で送料無料としています。2,000円以下のEC売上が競合他社に奪われたとしても、有料化によりECの利益が改善するほうがメリットであると捉え、見直しに踏み切ったと説明しています。

 また、同社ではECサイトと実店舗で同質のサービスが受けられるように、シームレスなチャネル展開を行っています。BtoCだけでなくBtoBの分野も強化しはじめています。

 特徴的なサービスのひとつが「ネット取り置きサービス」です。ネット上で商品を選び、店舗で商品の受け取り・支払いができるというものです。会社の近くや外出先、帰宅前に商品を受け取りたいなどのニーズに対応しています。

 さらに、以前から強みを持つPC・スマートフォン関連商品以外にも、寝具や衣料品、酒類といった非家電分野の品揃えを強化しています。現在では取扱商品に占める非家電分野は全体の約17%を超えてきており、今後も家電以外のジャンルにも幅を広げていく傾向が見られます。

展開しているサービスの特徴

 2020年2月、株式会社ビックカメラは日本橋三越本店に新店舗をオープンしました。富裕層向けに高級家電を販売したり、豊富な経験を持つ販売員(コンシェルジュ)が同席して顧客のニーズを丁寧に聞き取りながら販売をしたりと、顧客体験の質を向上させるための取り組みを展開しています。

 また、「PREMIUM ホームトータルサポート」というサービスでは、家電を購入した顧客の自宅に訪問し、配送設置や初期設定、使い方のレクチャー、定期的なメンテナンスなどをトータルでサポートしています。丁寧な接客やサポートを行うことで、富裕層向けの市場を開拓していく戦略です。

 ビックカメラでは以前から、百貨店やデパートのような富裕層向けの店舗づくりを志向しており、今後もハイレベルな接客対応が行える人材の育成を進めていく方針です。

 このように時代の変化に対応した販売戦略をしっかりと打ち出している点は、同社のサービスの特徴だといえるでしょう。

株式会社ビックカメラの最近の動き

 株式会社ビックカメラの最近の動きとして特徴的なのは、オンラインでの販売や法人向けの家電サブスクリプションに力を入れている点が挙げられます。ここでは、どのような取り組みを行っているのかを紹介します。

オンライン接客支援サービス「接客オンデマンド」を開始

 2020年11月5日、株式会社ビックカメラは通販サイトのビックカメラ・ドットコムにおいて、オーディオメーカー製品の商品説明や実演などをオンラインで行うサービスを始めました。具体的には、完全ワイヤレスイヤホンなどの新製品の特徴や仕様の説明を専用スタジオからオペレーターがオンラインで案内する、などのサービスです。

 顧客が気になる部分を直接オペレーターに尋ねられるのがポイントであり、実際に製品を使用したときの実演や動画、画像による解説を織り交ぜながら分かりやすく説明してくれます。「お店の接客を自宅で」がコンセプトであり、一般的なリモート接客とは違って、専用アプリや事前予約は一切不要です。

 店舗に設置された端末でも閲覧できるように環境が整えられており、気になったときにすぐにオペレーターに尋ねることができます。オンライン上でタイムリーに対面で案内する仕組みを用意することで、競合他社との差別化を図っています。

SHOWROOMとライブコマース領域での協業

 2022年1月14日に、株式会社ビックカメラはSHOWROOM株式会社と資本業務提携を行っています。インターネット上での生配信を通じて、動画内で商品の紹介や販売を行う「ライブコマース」の領域において相乗効果を図ることが目的です。

 ライブ配信を通じて新たな買い物体験を提供することや、豊富な専門知識を持つ信頼度の高いコマースライバーの育成、ビックカメラの顧客とSHOWROOMユーザーの相互送客などが基本的な提携内容として掲げられています。

法人専用ECサイトでサブスク・レンタル事業を開始

 2022年4月12日、株式会社ビックカメラはモノのサブスク・レンタル事業に取り組む株式会社TENTと協業したことを発表しています。今回の提携では、TENTが運営をしているレンタルモールカウリルの仕組みを活用して、法人向けの家電サブスク・レンタルサービス「ビックカメラfor business サブスク&レンタル」を開始しています。

 企業がイベントや展示会、研修などで一時的に使うノートPCやプロジェクターなどを短期レンタルしたり、オフィスや店舗で使うオフィス家電サブスクリプションサービスを行ったりすることが公表されています。必要なモノを必要なときだけ借りられるサービスとして、さまざまな企業から活用されることを想定しています。

目を通しておきたいビックカメラのトピックス

2023年11月14日:ビックカメラら3社、物流施設におけるロボットを活用した実証事業を開始 人との効果的な役割分担など検証

 ビックカメラ、三菱HCキャピタル、山善は、経済産業省による委託事業「令和5年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業」に採択され、物流施設において協働ロボットの活用事例創出に向けた実証を行う旨を発表した。

2023年1月26日:日本酒ソムリエ AI で接客DX!「KAORIUM for Sake」ビックカメラ有楽町店に導入決定

 嗅覚のデジタライゼーションによって新たな顧客体験を提案する SCENTMATICとビックカメラのお酒の専門店「ビック酒販」は、「ビックカメラ有楽町店」内のビック酒販に、“なりたい気分”や“好みの 味わい”に合わせてぴったりのお酒を探せる日本酒ソムリエ AI「KAORIUM for Sake」を設置した。

2022年9月15日:「DX 宣言」実現に向けたDX子会社 株式会社ビックデジタルファーム設立のお知らせ

ビックカメラは、2022年6月に発表した「DX 宣言」の実現へ向けて、ビックカメラグループのDXを推進する「株式会社ビックデジタルファーム」を2022年9月15日(木)に設立した。

2022年7月8日:ビックカメラ、天然水工場完成 「製造小売りへ第1弾」

ビックカメラは7日、山梨県富士吉田市に建設していた天然水工場の竣工式を開いた。富士山の天然水を全国に宅配するウオーターサーバーサービスを2022年秋にも始める。

2022年6月13日:ビックカメラ、DX宣言の実現に向けてSalesforceを全面的に採用 ~店舗とデジタルの垣根を越えた良質な顧客体験を実現、内製化を支援するシステム基盤の構築とDX人財育成も支援~

セールスフォース・ジャパンは、ビックカメラがDX宣言の実現に向けてSalesforceを全面的に採用したことを発表した。

2022年4月14日:プライバシーを守る防犯・見守りAIカメラ「JUSTY」提供のJUSTICEYE プレステージAで総額8億円の資金を調達 ~高性能・超小型の新型カメラ、2022年4月15日レンタルサービス開始へ~

防犯・見守りAIカメラ「JUSTY(ジャスティ)」をはじめ、防犯・監視カメラソリューションの提供を行うJUSTICEYE(ジャスティスアイ)は、ビックカメラなどを引受先とする第三者割当増資等により、約8億円の資金調達を完了した。

2021年12月10日:大型家電買い替えで、無料下取りサービス開始

ビックカメラは、重要経営課題(マテリアリティ)として「循環型社会(サーキュラーエコノミー)への取組強化」を掲げており、推進活動の一環として、大型家電の無料下取りサービスを2021年12月6日より開始した。

2021年3月4日:ビックカメラ、3 年連続「ホワイト 500」に認定 ~健康経営優良法人 2021(大規模法人部門)~

ビックカメラは、経済産業省が進める「健康経営優良法人認定制度」において、「健康経営優良法人2021(大規模法人部門)」認定と同時に、認定企業の上位500法人に与えられる「ホワイト500」にも認定された。

まとめ

 株式会社ビックカメラは、国内の主要ターミナル駅に大型店舗を構える家電量販店であり、全国に45店舗を展開しています。家電以外の分野でも取り扱う商品を増やしており、オンラインでの販売にも力を入れているのが特徴です。

 単に家電を販売するだけでなく、「PREMIUM ホームトータルサポート」では、配送設置サービスや初期設定、使い方のレクチャー、定期メンテナンスなどを1つのパッケージとしてサービス展開しています。また、オンラインとオフラインを連携させ新しい魅力や価値の創出にも力を入れており、従来の戦略にとらわれない動きも見せているといえるでしょう。

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この記事の著者

EC研究所(イーシーケンキュウジョ)

ECについての情報を調べ、まとめてお届けします。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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