商品詳細ページをくまなく見るユーザーは少数派と理解し対策を
まずは、アマゾンジャパン合同会社にてデジタルマーケティングおよびバイヤーを担当した経験のある小松氏より、ECサイトの売上を作る上での注意点が紹介された。
「ECサイトの売上は『訪問数×CVR×購入単価』の式で表すことができます。売上を伸ばすには、これら3つの要素を上げる必要がありますが、もっとも優先度が高いのはCVRです。訪問数を増やすための集客施策に目が向きがちですが、仮にCVRに課題がある状態で訪問数が増えても、それだけ『買いたい商品がない』、『見つからない』、『(欠品などで)買えない』というユーザーが増え、かえってECサイト自体のイメージを毀損してしまう可能性すらあります」(小松氏)
続いて小松氏は、CVRに影響する主な要因として「商品情報」、「在庫」、「プライシング(価格)」を挙げた。ほかに、レビュー数や配送日数なども影響するが、先に挙げた3つがとくに重要だと言う。
「本セッションでメインテーマとして取り上げるのは、商品情報です。商品情報には、訪問者の購入の決め手となる情報が掲載されていること、そして、条件にマッチした商品をスムーズに検索できることが求められます。そのためにとくに注力すべきポイントが、ラベルとカテゴリです」(小松氏)
カテゴリは文字どおり、ECサイトのナビゲーションメニューでもよく使用されている分類のことを指す。ラベルとは、ECサイトの商品タイトルを構成する各要素(属性)を指し、たとえば「ブランド名」、「商品カテゴリ」、「商品名」、「型番」、「スペック属性」などが該当する。
「ユーザーが目的の商品にたどり着くまでの検索の動きとして、ナビゲーションメニューのカテゴリをたどる、あるいは検索窓にキーワードを入力するという大きくふたつのルートが存在します。当然、前者ではカテゴリのわかりやすさ、探しやすさが重要です。
また、いずれのルートも該当する商品一覧ページが表示されますが、ユーザーはそこで商品タイトルを見て、ブランドや大まかなスペックなどから一次振り分けを行います。つまり、商品を探す段階からラベルも重要な役割を担うのです」(小松氏)
次に、ユーザーが商品詳細ページに移動して購買判断を行う上では、適切なラベルで十分な情報を網羅した商品タイトルの掲載が求められる。
「ECサイトを訪れるユーザーの行動を分析すると、商品詳細ページの情報をくまなく見ている人はごく少数です。多くは商品タイトルの情報から自分が求める商品なのかどうかを判断し、補足的にレビューなどを見て、購入に至ります。そのため、購買判断にあたって重要とされる情報(ラベル)を商品タイトルに入れ込むことが必要です」(小松氏)
ラベルやカテゴリを中心とした商品情報の最適化は、商品を探しやすくしたり、購入判断に十分な情報を提供したりする上で欠かせない作業と言える。そのため、「たとえ数万SKUを扱う大規模ECサイトであっても、そのすべてに必要な商品情報をもれなく記載し、最適化しなければならない」と小松氏は指摘する。
「売上の柱となる主力商品にそのリソースを割くことができても、運用リソースの関係上、個々の売上が小さなロングテール商品には情報の漏れやわかりにくさが生じてしまう。こうしたことは往々にして起きがちですが、だからこそ伸びしろのある領域だとも言えます。ぜひ手を加えていきましょう」(小松氏)
とは言え、大規模ECサイトで人手を使って膨大な商品情報を整理し、運用・管理を行うのは非現実的と言えよう。そこで有効となるのが、AI活用だ。ラベルやカテゴリの最適化に関する業務の一部を自動化し、スケール可能な仕組みを構築することで、運用の効率化と成果の最大化を実現できると言う。
ホワイトペーパー「ECサイト運営にてAIを使いこなすコツとは?」
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