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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

季刊ECzine vol.18特集「Cross over, Enthuse fans!~店舗、スタッフ、EC&デジタル活用の次なる一手~」

アパレルに「体験」は欠かせない 顧客と現場の声から見出す最適解 手探りで垣根を越えるオンワード樫山

 デジタル未経験から新時代の売場を作る。実験場から小さく試す、オンワード樫山のOMOとは。 ※本記事は、2021年9月24日刊行の『季刊ECzine vol.18』に掲載したものです。

 23区、組曲、ICBなど、百貨店を中心にさまざまなアパレルブランドを展開する株式会社オンワード樫山。同社は、2021年4月よりECと連動したブランド横断型店舗「ONWARD CROSSET STORE」の展開を開始している。商業施設のひと区画に各ブランドを出店させる従来の戦略とは、まったく違った新たな試み。百貨店担当の営業から心機一転、これまでにない売場作りに挑む第二カンパニー OMO Div. 課長の前川真哉さんが、新店舗での構想やオープン から半年の軌跡、同社のOMO戦略について語った。

株式会社オンワード樫山 第二カンパニー OMO Div. 課長 前川真哉さん

ひとつのブランドに縛られない 新機軸の複合型店舗

 店舗とECのメリットを融合した新業態ストアとして生まれた「ONWARD CROSSET STORE」。2021年4月10日、埼玉県羽生市に位置する「イオンモール羽生」への出店を皮切りに、愛知県名古屋市の「mozo ワンダーシティ」、千葉県船橋市の「ららぽーとTOKYO-BAY」と計3店舗を同月中に出店し、営業を開始している。自社EC「ONWARD CROSSET」の名前を冠した同店舗は、EC同様にブランド横断型で商品を展開。ブランド固有の世界観を研ぎ澄ました従来型店舗とは異なる視点で、商品のみならずサービスの提供を行っている。

「ONWARD CROSSET STORE」は、当社としても初めて展開する『サービス併設型OMO店舗』です。すでに存在する当社のブランドを集結させたオンライン上の売場をリアルの場にもオープンすることで、ひとつのブランドに縛られない店舗作りを実現しました。また、これまで当社では行っていなかったサービス提供にもチャレンジしています」

 現在、同店で実施しているサービスは計6つ。自社EC内の在庫を店舗に取り寄せて試着・購入ができる「クリック&トライ」を主軸に、顧客の好きな時間・場所でスタイリスト(店舗スタッフ)からアドバイスを受けることができる「パーソナルスタイリング」、動画でスタイリストが商品紹介を実施し、EC購入や試着予約ができる「スタイリングライブ」、顧客の好みや体形に合わせた商品着用イメージを確認できる「カスタマイズ」のほか、同社のブランドに限らず洋服のリフォームやお直しを受けつける「リペア&メンテナンス」、不要になった洋服のリユースとリサイクルを行う「グリーンキャンペーン」と、取り組み内容はさまざまだ。いずれも時代の流れを踏まえ、オンラインで利便性向上を図りながら店舗での体験を追求し、環境にも配慮を行う形となっている。

 同店舗の構想が生まれたのは、2020年3月。コロナ禍によりトライアルや出店のタイミングを見計らいながらも、2020年11月にはPOPUPストアでクリック&トライの実証実験を開始。「反響を踏まえた上で店舗としての形を具現化し、2021年4月から始動することができた」と前川さんは説明する。

「アパレル業界に限らず、世の中全体のEC化が進んでいますが、百貨店ブランドが多くを占める当社はスタイリストによるアドバイスや後押しを求めているお客様も多く、ECで購入することに二の足を踏むお客様も多い点を課題としていました。体験してもらえれば利便性は理解していただけるはず。そう考え、店舗というタッチポイントを活かしながらどちらのチャネルでも気軽に購入してもらえる仕組み作りを模索しています。まだ始めたばかりのため、これで完成形とは考えていません。OMOの理想形を求めて、トライアルを繰り返しています」

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この記事の著者

宇治原 香(ウジハラカオリ)

神奈川県の地域情報紙で7年ほど記者として走り回る。現在は子育ての傍ら、ライターとして活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://eczine.jp/article/detail/9567 2021/10/01 07:00

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