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「人」と「製品」が強固なつながりに 自社の強みと向き合いブランド育成 木村石鹸工業の6年を振り返る

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2021/07/16 07:00

 OEM専門企業が方針転換で窮地を脱する。「ファンの大切さ」への気づきが導く新境地とは。 ※本記事は、2021年6月25日刊行の『季刊ECzine vol.17』に掲載したものです。

 インテリアショップの片隅に、雑貨と共に並ぶナチュラルテイストなパッケージ。生活に溶け込む同製品は、「SOMALI」と名づけられた木村石鹸工業株式会社の主力製品だ。大正13年に創業し、手作業の釜焚き製法にこだわり高品質な製品を提供してきた同社は、長年OEM専門でビジネスを展開。しかし、デフレーションや原材料の値上がりが進む中苦戦を強いられていた。「利益を削りながら生産を行うことは健全ではない」——そう考えたのは、2016年より4代め代表取締役社長に就任した木村祥一郎さんだ。大学在学中より外部で起業しビジネスを行っていた同氏は、2013年に木村石鹸工業に入社。外的要因に左右されない戦略を模索した結果、現在は多様な自社ブランド製品をEC中心に展開し、想いに共感するファンと強固なつながりを築き上げている。木村石鹸工業の新たな挑戦と個性的なSNS展開について、話を聞いた。

木村石鹸工業株式会社 代表取締役社長 木村祥一郎さん

1,200円の洗剤は高くない 接点を変えて得た発見

 大阪で大正時代から石鹸作りと向き合い、創業90年を超える木村石鹸工業。浴場用洗浄剤や業務用ランドリー洗剤、家庭生活用洗浄剤などを外部メーカーより委託され製造していた同社の転機は、およそ6年前にさかのぼる。デフレーションの加速により物価が下落する反面、進む原材料価格の高騰。同社も煽りを受け、「利益が減少する中でも、新機能開発を取引先からは求められ、両立に悩んでいた」と木村さんは当時を振り返る。

 2013年に家業を継ぐことを決意し、木村石鹸工業に入社した木村さんは、現状打破する術を模索すべく、自社の強みを整理したと言う。そこで気づいたのは、「製造の一部を請け負うのではなく、すべての工程を当社で手掛けている」ということ。自社でブランドを作り、顧客に届ける手段を開拓すればよいのではないかと突破口を見つけ、2015年にメーカー直販という新たなステージへの挑戦を決めた。

「最初に販売を開始したのは、『SOMALI』のシリーズです。このシリーズの台所用洗剤は、元々ある企業からの要望を受けてOEM用に制作したもので、『手肌に優しい』を売りに開発したものの、価格帯が顧客になじまず、まったく売れませんでした。社内からは『高いからだめなんだ』『石鹸の洗剤だから売れない』と落胆の声が上がっていましたが、私はフィットする顧客層に目がけてピンポイントで届ければこの製品は売れるのではないかと考えたのです。

 そこで自社ブランドとして販売するにあたりデザインを刷新し、感度の高い人々が集まるインテリア系の展示会に出展申込をしました。その展示会はデザインの事前審査があったのですが運よく通過し、まずはイン テリアショップや雑貨店のバイヤー向けに認知アップを図りました」

 家庭用洗剤は生活感ある商材。デザインに目を向けられる展示会でどのように受け入れられるか、木村さん含め社員も緊張の面持ちで当日を迎えたが、大成功だったと言う。

「私たちが想像していた以上の反響を得ることができました。何十万円、何百万円という商材が多数扱われる展示会の中で1,200円だったこともあるかもしれませんが、これまで『安くないから売れない』と言われ続けていた製品が『安い』『よい製品ですね』と高評価を受け、当社の営業部員も驚いていました。この展示会で約700枚もの名刺をいただき、ここから中川政七商店など実店舗での取扱にもつながりました。何より、社員一同が自社製品に自信を持つきっかけ作りができたことは大きかったですね」

 こうしてSOMALIは、木村石鹸工業を代表するブランドのひとつとして歩みをスタート。洗練されたデザインや肌に優しい石鹸を使った製品、手作業の製法に共感する実店舗・顧客との接点を広げることで、OEM製品とは異なる顧客層へのアプローチが実現し、徐々に自社ブランドの認知・価値向上にもつながった。

「展示会出展をきっかけに、およそ40店舗での取扱が決まりました。実店舗の接点が生まれたことで認知が広がり、ブランドのファンになってくれた方が自社ECでリピート購入してくださったり、展示会での評判を耳にしたのかメディアに取り上げていただく機会も増えたりと、この展開がブランドの広報的な役割としても作用しています。ブランドとしての動きが一気に加速しましたね」

この記事は、紙の定期購読誌『季刊ECzine』に掲載した限定公開の記事です。
続きは以下の方法でお読みいただけます。


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