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2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

季刊ECzine vol.15特集「Focus One Customer~OMOが生む新形態のコミュニケーション~」

BtoB 新規事業でOMOを実現 建築プロ向け店舗「C'z PRO」でカインズが追求する顧客体験

 「効率重視の建築プロユーザーにとって最適な購買体験とは?」その問いを起点に、新たなサービスを作り上げる。 ※本記事は、2020年12月25日刊行の『季刊ECzine vol.15』に掲載したものです。

 1978年にホームセンターの1号店を栃木県にオープンして以来、全国に225店舗を構えるカインズ。一般消費者向けにDIY 用品や生活用品を幅広く提供する店舗を展開してきたが、2020年8月に新たに建築プロ向け卸売事業「C'z PRO(シーズプロ)」を開始。第1号店となる「C'z PRO東名横浜店」をオープンしている。アプリを用いて注文・受取の利便性を向上し、建築現場に従事する職人へ実店舗とデジタルを融合した今までにない顧客体験を提供するが、こうした発想の起点はどこにあったのだろうか。同施策を推進する新規事業開発部 部長の赤堀洋さんと、プロ特化事業プロジェクトリーダーの久保秀予さんに、事業開始までの経緯や顧客の反応、今後の展開などについて聞いた。

(写真左)株式会社カインズ 商品本部 プロ事業部 新規事業開発部 部長 赤堀洋さん
(写真右)株式会社カインズ 商品本部 プロ事業部 新規事業開発部 プロ特化事業プロジェクトリーダー 久保秀予さん

後発サービスだからこそ 建築プロの購買ニーズを分析

 BtoC向けホームセンター事業で着々と店舗数を拡大してきたカインズが、ついに本格的にBtoB向け店舗の展開を開始し、注目を集めている。既存店舗でもECから注文した商品を店内のロッカーで受け取ることができる「CAINZ PickUp」や、アプリを用いた商品在庫確認などのOMOを実現する同社。C'z PROでもアプリを起点にオンライン、オフラインを融合した新たなサービスを提供しているが、赤堀さんは「建築プロのニーズは一般消費者以上に明確であり、ECのメリットを活かしたOMO展開は必然だった」と語る。

「建築プロの方の購買行動を改めて分析したところ、見て選ぶ楽しさよりも効率性を重視していることがわかりました。買い物はあくまで仕入れであり、仕事の一部。そこに時間を割くよりも、現場での作業に時間をかけたい。休む時間を確保したいと考えるのが自然でしょう。できるだけ時間と労力をかけずに、必要なものだけを効率的に入手したいと考える人が多いということは、C'z PROでは効率性の実現が成否を決める重要な鍵となる。つまり、デジタル活用は不可欠だと考えました」(赤堀さん)

 建築プロ向けサービスとしては、後発となるカインズ。差別化を図るには、他社にない利便性提供が必須であった。

「実店舗は、実際にものを見て比較することができる上、目にしたものをその場で入手できるという強みがあります。こうしたメリットはもちろん維持しながらも、24時間どこからでも在庫検索ができる、多彩な決済方法やピックアップ方法が選択できるといったデジタルの利点を組み合わせることで、これまでにない快適かつ効率的な購買経験を提供できると考えました」(赤堀さん)

 C'z PROの始動にあたり、同社はすでにカインズを利用する建築プロなどへのヒアリングを実施。社内の外商スタッフの意見も参考にしながら、第1号店の品揃えを検討した。久保さんは「オープン後もお客様の反応を見たり、直接お声がけしたりして、品揃えのブラッシュアップを続けています」と語る。

 また、同店の魅力は多様な受取手段にもあると言える。店舗の営業時間内に受け取ることができる顧客に向けては店頭取置、早朝深夜など営業時間外の受取を希望する顧客には24時間受取可能な「ピックアップロッカー」、店舗から半径5キロメートル圏内であれば、当日配送にも対応と多様な選択肢を提供している。決済方法についても、請求書払いを主軸に、ピックアップロッカーではクレジットカード対応を行うなど、顧客のニーズに合ったサービス提供ができるよう、常にブラッシュアップを図っていると言う。

「どういった選択肢がベストなのかは、まだ模索している段階です。しかし、実際に建築プロの方も状況に応じてオンラインとオフラインを使い分けており、ハイブリッド対応でより利便性を高めることができるのは明白です。そこにきめ細やかな対応を加えるのが、C'z PROの目指すゴールになると考えています」(赤堀さん)

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの製作などを経て独立。ビジネス系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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