商品の認知や好感度を上げ、ブランドイメージの向上にも大きく寄与すると言われる「SNSマーケティング」。最大の強みは、ユーザーが自発的に行うシェアやリツイートなどによる“拡散力”にあると見られるが、「なかなか拡散しない」「成果につながらない」と悩む担当者も多い。一方、Twitterを中心としたマーケティングサービスを展開するホットリンクのCEO特別補佐 石渡広一郎さんは、「広告が効かなくなってきた今こそ、SNSマーケティングの好機」と語る。その真意とは何か、成果につながる方法を聞いた。
情報の99%が届かない時代 信頼あるクチコミが有力な情報源に
もはやマーケティングに不可欠な存在となったインターネット。しかし昨今、「なかなか効果を出しにくくなった」と語るマーケティング担当者が増えてきていると言う。
「Googleのアルゴリズムが変動したことで、Amazonや楽天などのサイトが上位を占めており、中小企業の自社サイトやオウンドメディアのSEO効果は低下気味です。また、リスティング広告をはじめペイドメディアでも出稿企業が増えて費用が高騰していることに加え、GDPR(EU一般データ保護規則)対応でリターゲティング広告も今後難しくなり、出稿枠も効果も減少していくことでしょう」
そんな状況下でも到達力や影響が大きいのが、家族・友人・知人、そして同年代や似た価値観を持つ人からの“クチコミ”だ。情報過多で玉石混交になるほど、人は親和性の高い人からの情報を信頼する傾向にあると言われ、「知人のSNS投稿で知り、良いと感じて購入した」という人は年々増加傾向にある。そうした社会的関係を通じて情報を伝搬すること、すなわち「ソーシャルをネットワーキングすること」がこれからのマーケティングには不可欠というわけだ。
「私たちはクチコミを『UGC(User Generated Contents:ユーザーが作ったコンテンツ)』としてとらえ、UGCを拡散する仕組みを持つSNSを事業の主戦場と見ています。SNSのアクティブユーザー数はLINE 8,100万人、Twitter 4,500万人、Instagram 3,300万人とマスメディアにも匹敵する規模でありながら、多くの企業やEC事業者はアカウントを作ってオウンドメディアとして情報の更新をするだけで、アーンドメディア(earned media:信用や評判を獲得するためのメディア)として十分に活用できていないことが多いのです。そこに大きなポテンシャルがあると期待しています」
また、情報を伝達させる手段の変化に加えて、SNS時代にはものを買う行動も大きく変化していると言う。インターネット時代の購買行動プロセスは「AISAS」と呼ばれ、興味を持ったらすぐに検索し、購買する流れであった。しかし、SNS時代はUGCがアテンションの起点となり、商品が気になったらまずSNS検索で評判に触れ、購買行動後にはUGCが拡散され、さらなるUGCが生まれる流れになりつつある。ホットリンクでは、この購買プロセスを「ULSSAS(UGC・Like・Search1・Search2・Action・Spread)」と名づけ、戦略立案の基盤としている。
「ULSSASではUGCが大きなカギを握ります。どうやってUGCが生まれるようなコンテンツを作るか、どうやって拡散させるかを徹底的に考える必要があります」