ゴルフダイジェスト・オンライン(以下、GDO)は、2000年に設立。ゴルフ場予約サービス、メディアサービスから始まり、翌年にはゴルフ用品を販売するリテールビジネスを開始。ECの歴史は、17年目になろうとしている。これにゴルフレッスンの事業を加えた4つが、同社の主要なサービスである。すべてのサービスをあわせたGDO会員は、2018年1月時点で338万人を突破している。
オンラインに特化した企業として、テクノロジーへの投資も積極的だ。新しいものが登場すれば、事例先としてGDOの名前が出てくるといっても過言ではない。注目のLINEやAI、自社アプリや中国のSNS「We Chat」の導入まで、幅広く発表されている。
2017年6月には、サービスの相互利用、リピート利用を促進する狙いで、新会員制度「GDOヤードプログラム」を開始。ECやゴルフ場予約サービスに限らず、さまざまなGDOサービスの利用に対して「GDOヤード」という共通指標を付与。保有「GDOヤード」数に応じてブロンズからダイヤモンドまで5段階のグレードに分けられ、ハイグレード≒ロイヤリティの高い顧客がより優遇される制度となった。
オンラインに特化したGDOの、とくにECの分野において、今回のテーマであるLTVも含め、2018年はどのようなことに取り組むのか。同社の大友広貞さんに話を聞いた。
GDOのECは17年目へ 2013年からシナリオメールを自動化
今回、取材に応じてくれた大友さんは、同社のEC部門であるリテールビジネスユニットで、販売促進チームのマネージャーを務める。自社ECサイトほか、外部ECモールの新規出店等を経験。2011年から、最近マーケティングオートメーションで注目されている、自動シナリオメールの構築に携わっていた。集客、販促ほか、今回のテーマと関連する、顧客育成にも関与する。大友さんはゴルフ好きが高じて、2008年に同社に入社、GDO歴は10年を数えることになる。
「かつてはゴルフが好きだけれどECは素人という人たちが集まって、ゼロベースからやってきましたが、ここ数年は、ECに詳しい人がどんどん入ってきて、組織が大きくなってきました。私は、入社からずっと販促まわりのことをやらせてもらっています」
GDOは、日本のオンラインビジネスの先頭を走る企業のひとつである。そこで10年間、ECを見てきた経験から見た、時代の変遷を聞いてみた。
「ゴルフ用品のEC化率はほかのジャンルの商品に比べて高くなっています。一方でゴルフ用品は、購入する前に実際に触って試してみたいというお客様が多いので、オンラインに特化してビジネスをやっている我々にとってそれは、10年経った今でも変わらない課題です」
ECに限らず、GDOのメインユーザーは40、50代のゴルフ愛好者。ウェブに掲載するコンテンツも、玄人向けのものが好評だと言う。
「サイトのUIも、大きな文字、大きな画像が好まれます。スマートフォンからのアクセスは増えているものの、購入はまだまだPCの割合が多いです」
もちろん、新規顧客の獲得にも積極的だ。とくに、話題のLINE活用については、EC単体で見ると、ほかの施策ほど規模の拡大に貢献してはいないそうだが、LINE IDを使ってサービスにログインできるLINEログインや、LINEの運用型広告である、LINE Ads Platformも活用。当然、そこからECに流れてくるユーザーもいるだろう。
「LINE経由のお客様は、当社のメインユーザーの方たちよりは、若い世代の方が多く、従来のメールマガジンとは、異なる商品に反響があります」