小売企業などに売上増加と在庫削減の両立を支援するSaaS(クラウドサービス)「FULL KAITEN」を開発・提供するフルカイテン株式会社は、すべての在庫を商品ごとの在庫リスクに応じて分類し可視化する同サービスの機能を一部改良した。
これにより、ユーザー企業が「在庫日数(の上限)」や「売り切りたい日付」を任意に設定し、それらを基準に適正在庫ないしは不良在庫を判定することが可能になり、「販売期間に見合った量の在庫を持っているか」「何日で売り切れる分の在庫を持っておくか」といった能動的な判断に役立つという。
今回改良を行ったのは、同システムの「消化率向上機能」の一部。同機能では、すべての在庫をSKU単位で分析し、在庫リスクに応じて「フル回転在庫」「過剰在庫」「不良在庫」の3段階に分類する。
従来は、現在の在庫量と納品リードタイムで算出する数値を指標として同システムがユーザー企業を問わず一律に自動で3分類していた。これに対し、今回の改良ではユーザー企業が3分類する基準を任意に設定できるように。具体的には、ユーザーが販売期間や完売予測期間を設定すると、同システムが過去の売上データなどを基に予測する、完売に要する日数と比較を行う。
ユーザーが設定した期間内に在庫が完売すると予測された商品は「フル回転」、期間を越えても売れ残ると予測された商品は過剰在庫または不良在庫へ分類される仕組み。
販売期間が決まっているシーズン商品を売り減らしていく場面では、完売予測日(売り切りたい日にち)を設定。たとえば完売予測日を3月31日、滞留を許容する日にちを5月31日にそれぞれ設定した場合(図1)、在庫分類は次のようになる。
- フル回転:3月31日までに売り切ることができると予測された商品
- 過剰:3月31日を越え、5月31日までに売り切ることができると予測された商品
- 不良:5月31日を越えても売り切ることができないと予測された商品
また、定番商品を消化する際には、完売予測期間を設定することで「何日で売り切れる分の在庫を現在持っているか」が可視化される。
たとえば、
- 60日後までに売り切ることができる数量を適正水準
- 120日経っても売り切ることができない在庫は不良在庫
とみなす場合、在庫分類は図2のようになる。
これにより、SKUごとに「何日間の売上分の在庫を確保しておくか」という商品政策上の日数と比較した在庫リスクを把握できるようになる。
図1、2いずれの場合も、「過剰」「不良」に分類される商品の中には、販促が手薄なだけでまだまだ売れる隠れた人気商品が含まれており(図3)、これらの販促を強化することで手持ち在庫を使って売上を増やし在庫を減らすことが可能になるとのこと。
今回の機能改良により、商品を大量に仕入れ、売り減らしていくような販売スタイルの企業にも対応できるようになった。