こんにちは、編集部のワダです。何はともかく、Shopifyのブームはすごいですね。ECzineでも、2020年半ばあたりから1年間、ひたすらShopifyを追いかけてきたなと思います。
ECzineはいちおう、ECに関するテクノロジーを追いかけてるつもりのメディアなので、ひとことで言えば「ヘッドレスコマースであること」がShopifyのいちばんの特徴で、素晴らしい点だと考えています。
というのも、ECzineは「コントロールしやすい自社EC(本店)も頑張ろう、ちょっとITとか難しいかもだけど」というコンセプトのもと、2013年11月に始めたのですが、それから数年、オムニチャネルにしろ、SNS連携にしろ、〇〇Payにしろ、とにかくECプラットフォームと他のサービス連携がサクッといかなくて、EC事業者さんが「やりたいことができない」状況にあるのが歯痒かったからです。
ITをかじると「違う会社のサービスだものね」などと連携できないことに理解を示してしまうものですが、いやいや、EC事業者はECで生計を立てているため死活問題ですよね。「どうして連携できないんですか!!」と怒って良いと思います。でも怒ったからといって連携が進むわけでもなく、「あなたの意見が通るほどお金払ってます?」みたいな世知辛い話もあり……。お金持ちでITがわかる(発注できる)会社が、先んじて連携を進めることができたという具合でした。
それがShopifyでは、Instagramやショッピング広告、TikTokとの連携はもちろん、NFTの販売もできるようになるとか? とにかく早くて柔軟、「部長がそうおっしゃると思って、あらかじめやっておきましたから!」みたいな感じです。ヘッドレスコマースうんぬんがわからなくても良いのです。トレンドに敏感で、創意工夫される方ほどShopifyに夢中なのも理解できます。
さて、書籍の話はまだかと突っ込まれそうなのでそろそろ書いてゆきます。一連のShopify関連の取材を経て、「素敵なECシステムが出てきてよかったですね。制作会社も優秀、良さげな国産アプリも出てきて便利!それら使って各自頑張ってくださいな」などと思っていたのですが、EC初心者の方からすれば、「いや、どう頑張れば良いか教えてよ」ですよね。
そのような場合は、体系立ててまとまった書籍をお手元に置いておかれると良いと思います。玄人の方からしても、「こうするとなんか動いたからとりあえずそうしてるけど、他人がどうしてるかは気になる」答え合わせニーズもあると思いますし。
いくつかあるのですが、ここでは2冊紹介します。ECzineでもお世話になっている著者の皆さんが執筆され、“他社から”出版されたものです。ホントウニオメデタイコトデスネ。
ちなみに、Shopifyが公認している制作会社は「Shopify Experts」なる肩書きを持っています。今やShopifyに関する情報は、粒度もレベルもバラバラなものが大量に溢れているため、飲み込まれそう……という方は、Shopify Expertsが発信する情報から優先して吸収していくと効率的だと思います(Twitter見ると変なこと言ってる人もいますけど)。
『Shopify運用大全 最先端ECサイトを成功に導く81の活用法』(インプレス)
目次
Chapter 1 最先端ECを実現するShopify とは?
Chapter 2 ECビジネスで活用するための基礎知識
Chapter 3 フロントとバックオフィスの必須知識
Chapter 4 “ひとり運営”のための効率化大全
Chapter 5 グロースハックでさらなる高みを目指す
Chapter 6 Shopifyエキスパートとの協業
Chapter 7 最上位プランShopify Plusの活用
運用大全だけあってShopifyの運用ノウハウがよくわかる本です。ECの運用がわかる、と言っても良いかもしれません。ああ、ECって本当にやることいっぱいありますよね〜というのを、この本の厚みが物語っています。「こんなにあるの?自分には無理」と挫けそうになるかもしれませんが、厚い分網羅されているため、将来ぶつかるであろう壁をあらかじめ知ることができるとも言えます。やることいっぱいあるのに、なぜかひとりで運営できてる人もいますけどね……。
ひとつの商品をひと月で10個売ればそれでよしというEC事業者さんの場合は、とりあえず始めてしまって、集荷時間に梱包が間に合わなかったり、注文を受けたけれど在庫がなかったりを経験して、『週刊少年ジャンプ』の主人公のように強くなっていけば良いと思うのですが、最近はいろんな企業さんがECに参入されています。大きい会社で偉い人がよくわからず決めた結果、現場が血みどろではお気の毒ですから、EC運用業務全般を学ぶという意味でもご活用いただくと良いと思います。
『いちばんやさしいShopifyの教本 人気講師が教える売れるネットショップ制作・運営』(インプレス)
目次
Chapter 01:Shopifyと最新のネットショップ事情を理解しよう
Chapter 02:Shopifyで自分のネットショップを作成しよう
Chapter 03:ネットショップ公開に向けた準備を行おう
Chapter 04:ネットショップの運用に取り組もう
Chapter 05:SNSやメルマガ、広告を使って集客しよう
Chapter 06:ネットショップを成長させよう
Chapter 07:Shopifyアプリで思いのままにカスタマイズしよう
Chapter 08:ネットショップの「これから」を考えてみよう
『Shopify運用大全』をざっと読み(最初はざっとで良いです!)、なんとなく全貌を理解したら、本書を片手にShopifyでサイトを作ってみると良いと思います。案ずるより産むが易し。それでも、「管理画面こわい!隣に教えてくれる人欲しい!」という人にオススメなのが本書です。全ページカラーで画面キャプチャを見ることができ、また「このパーツはこういう意味だよ」と丁寧に説明してくれている、たしかにやさしい本だと思います。
ECサイト制作だけでなく、作った後のEC運営の項目があります。EC運営は前述のとおりやることいっぱいなのですが、超初心者さんでもかならずおさえておきたいポイント、というのを絞ることはできます。そしてShopifyの場合、本体にその機能がなくとも、フォローしてくれるアプリが作られていることが多いです。書籍でプロが紹介しているアプリは、おおよそインストールして間違いないと思いますので、まずは使ってみると良いでしょう。
マーケティング要素も入ってきてカタカナ・英語が増えてくるため、後半の運用パートはややハードルが上がるかもしれません。でも、ShopifyでECサイトを作りきることができた人なら、次のハードルもきっと越えられると思います。ECコワクナイ。頑張ってください。
まとめ的な
ECはとくに、同業他社の事例が気になる方が多いと思います。食品なら冷凍の配送はどうする、スキンケアならステップメール、アパレルなら販売員のInstagramと連携したいなど、共通することも多いでしょう。鉄板施策は、きちんと把握しておくべきだと思います。
ただ一方で、業種業態を超えた「ShopifyでECをやりたい人たち」というくくりもあると思います。「D2Cを実現し、いつまでも顧客の心を掴んでいたい人たち」と言い換えても良いような。ECは実は古くて何十年かの歴史があり、「リアルよりお得」で売り出していたこともあり、前者の事例やテクニックが豊富ですが、後者の場合は正解はなかなか固まらず、常に時代の最先端で揺らめいています。答えはお客様と双方向で、ECを日々運営しながら常に探すしかなさそうです。ある程度正解が見えたかに思えた頃には、トップランナーは別のことをしているはずです。
Shopifyは、このような新しい挑戦を応援してくれるサービスのひとつだと思います。紹介した2冊を手元に置きながら、最初のサイト制作やよくある運用のトラブルでつまずかないようお気をつけください。
とはいえ、ShopifyでECサイトを作れば万事解決!ではありませんので、くれぐれもご注意を。
最後に、いつもお世話になっている著者の皆さん。“他社で”のご執筆活動、たいへんお疲れ様でした!