立地は検索対策、ビラ配りは広告・SNS 自社ECの集客はリアル店舗と同様に考えよう
――「集客不足が原因となり、自社ECの売上不振に悩む企業・ブランドが多い」とのことですが、なぜこうした状況が作られているのでしょうか。
自社ECにおいて集客不足に陥る企業・ブランドが多い要因は、大きく分けてふたつあります。ひとつは、「ウェブに出店しさえすれば自動的に売れるだろう」という思考で自社ECを運営し始める企業が多いことです。ウェブへの取り組みを行う企業・ブランドが少なかった時代には、モールに限り「出せば売れる」という状況が作られていました。しかし、ウェブでの競争が激化している現代においては、集客への理解および知識は必須となっています。
リアル店舗にたとえると、自社ECは路面店、モールは大型ショッピングセンターだと言えますが、自社ECの出店はウェブという広大な砂漠に路面店をオープンするようなものです。人が歩いていないという状況でどのように呼び込むのか、まずウェブにおける集客の概念を持ち、その重要性を認識することが大切です。
なお、この集客の概念・重要性は、初めてウェブへの取り組みを開始する場合だけではなく、モールで売上を作ってきた企業・ブランドが自社ECを出店する際にも、改めて意識する必要があります。モールの場合は、ある程度の集客をモール側で行ってくれるので、キャンペーンなど用意されたものの中で自社のアピールができれば、自ずとアクセス数が増加し、購入機会を創出することができます。自社ECに比べて集客の難易度が大幅に低いため、両者の勝手の違いから苦労する企業・ブランドが多いです。
続いて、集客不足に陥る企業・ブランドが多いふたつめの要因は、自社ECにおける成功事例以外が目に入りにくいことです。一般的な知名度が高い企業・ブランドでは、商品の認知がそもそも進んでいる状態にあり、自社ECを出店しただけである程度売れる場合もあります。こうした成功事例がメディアなどで取り上げられ、自分たちも同様になると思い込んでしまう企業・ブランドも多いと感じています。
また、一方で知名度が高い企業・ブランドでも自社ECの売上が想像以上に低いケースもあります。こうした企業・ブランドでは、リアル店舗であたり前にできている集客が自社ECではできていないことが多いです。リアル店舗を新規出店する際には、立地条件の比較検討やビラ配り、情報誌への出稿などを行いますよね。実はウェブでも同じことをしなければならないということをまず理解することが大切です。ウェブにおける立地条件は検索対策、ビラ配りは広告・SNSにあてはまります。自社ECの集客には、こうしたイメージをもって取り組むとわかりやすいのではないでしょうか。