多様化するビジュアル活用の鍵は「タグる」という感覚の理解から
井上氏はセッション冒頭で、開口一番このように語った。
「Googleによれば、ネットショッピングをする人の50%が、『意思決定にビジュアルが役立つ』と答えています」(井上氏)
こうした結果を踏まえ、すでにGoogleでは検索におけるビジュアル訴求を重視している。たとえば『NIKE スニーカー』と検索すると、検索結果一覧にはさまざまな商品の写真とともに、商品名や商品を掲載しているECサイトのリンクが出現する。「ショッピング」「画像」タブにおいては、テキスト情報よりも画像情報が大半を占めている状況だ。
「ひと昔前はテキストベースの検索結果が主流でした。しかし、今は画像がメインとなっています。当社のクライアント各社と話をしていても、今はビジュアルを重要視する事業者が大半です」(井上氏)
もちろんGoogleも事業者側も利用者のニーズに合わせて対応した結果、このような変化が生じていると言えるが、この動きは検索の代名詞とも言える「ググる」という言葉をもはや過去のものへと押しやっている。井上氏も「今は『ググる』だけではなく、『タグる』という消費者行動は想像以上に普遍的になっている」と説明する。
「タグる」とは、「ハッシュタグ(#)で検索する」と「手繰る」の意味合いを持ち、InstagramなどのSNSでもの・ことを探す際に用いられる検索手法だ。直感的なビジュアルをきっかけに情報を深掘りする行動は、いまや通勤時間や仕事の合間、余暇の時間などいつ何時も欠かさず所持するスマートフォンで行われている。
「文字を読むのは、集中力を使います。生活の合間で行う『タグる』は、集中せずとも行える消費行動です。事業者は、直感的に得ることができる情報にフォーカスを当てる必要があるでしょう。ただし、決してテキストが不要になったわけではありません」(井上氏)
「タグる」行動が浸透した背景には、情報のリアルタイム性も関係している。「ググる」という行動により得た情報はSEOによる結果であり、そこに最新の情報が掲載されているとは限らない。対する「タグる」ことで得た情報は、SNSの利用者が投稿した鮮度高いものと言え、最新の情報をより素早く見つけることができる。こうした利便性により、10代・20代といった若年層だけではなく、30代・40代・50代にも「タグる」行動が浸透しつつあると言える。
「『タグる』という行動は、いわばウィンドウショッピングをしている状態です。そこから購入検討の段階に入った際には、スペック・レビュー・ショッピングガイドを読むといった行動を起こすため、文字情報は欠かせません。しかし、そこに至るまでに直感的な情報、つまりビジュアルを届ける必要があるのです」(井上氏)
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